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〈chapter:04-03〉

【前回のあらすじ】


委員長はカノンちゃんが大好きです。

「いいから、話を誤魔化さないでください直江くん!」

「そっちこそ落ち着けって委員長! それに前から言ってるけど、俺はそこの馬鹿に、これっっっぽちも興味はないから! 喜んでお譲りするから! なっ!?」

「ナオきゅんナオきゅん。今のは私の聞き間違いかな? かな?」


 さすがに聞き捨てならない発言に桃源郷トリップから帰還しました。

 しかし困惑する私を無視して、ナオきゅんとユリりんの激しい言い争いは続きます。


「直江くん! そんな可愛らしい顔でそんなこと言っても、全然説得力がありませんよ!」

「あれっ!? 俺、何気にディスられてる!?」

「カノンちゃんは渡しません! カノンちゃんは、わたくしのものです!」

「どうぞどうぞ」

「またまたぁー。ナオきゅんったらそんな、芸人みたいなネタフリを──」

「どうぞどうぞどうぞどうぞ」

「ネタじゃないっ!?」


 激しく動揺する私に、ナオきゅんはとても冷めた目を向けていました。


「あのなあバカノン、勘違いするな。俺にとっておまえはいわば、鉛筆のうしろについているあの、使いづらいうえに消しにくくていらない消しゴムみたいなものだ」

「今はっきりと『いらない』って言った!」


 この人、オブラードに包む気ゼロだよ!


「いらない消しゴム以下だ」

「わざわざ繰り返した!?」


 前より酷くなってるし!


「はやくなくならねえかな……」

「ねえねえナオきゅん、それはあくまで消しゴムの話だよね? けっしてなにかの比喩表現ではないんだよね!?」

「……」(パラパラ)

「なぜそこで黙る!? そして何事もなかったかのようにまた小説を読もうとしているの!? うわぁ~ん、おねがいだから否定してよぉ~! っていうかちゃんとこっちを見てよナオきゅぅ~んっ!」

「黙れバカノン。読書に集中できねえだろうが。あっちいけ」

「そんなこと言わずに! ぷりーず、らぶ、みぃ~っ!」

「んもうっ! そこまでです!」


 ふたたびユリりんが割り込んできて、私たちを物理的に引き離します。


「だからそうやって、すぐに教室でイチャつかないでくださいっ! ここは神聖な学び舎ですよ!?」

「その通りだよナオきゅん! たとえどんなに本当は家庭が冷めていても、外ではちゃんと円満な夫婦を演じないと!」

「そんな仮面夫婦は死んでもお断りだし、そもそも俺とおまえは夫婦じゃない」

「なら愛人? もしくは通い妻? はたまた愛の奴隷かしら?」

「いったん肉欲から離れろ」

「それは無理ですね。私の脳内はキホン、ナオきゅんとのそういうエッチぃ妄想でいっぱいですから」

「そうか。俺はそんなおまえを本格的にシバかねぇとと思っているがな」

「え? 縄で? 鞭で? 蝋燭で?」

「グーで」

 

 ゴッツンコ☆


「……ぐすんナオきゅん。だからDVは、愛情とは違うんだよ……」

「違いますぅー。これは躾ですぅー。いわゆる一種のコミュニケーションですよ?」

「ナオきゅんはいったい、誰に対して言い訳をしているのかな?」

「だぁーかぁーらぁーっ!」


 バン!

 バンバンバン!

 またしても自然と会話の外に追いやられていたユリりんが、机を激しくバッシング。


「そうやって……いつもいつも、直江くんは素っ気ない態度でカノンちゃんの興味を惹こうとして、ズルいんですよっ! この泥棒猫! 間男! 結婚詐欺師! 男として最低だとは思わないんですか!?」

「心外にもほどがあるわ! さすがに侮辱罪で訴えるぞ!」

「な、ナオきゅん、そこまでマジ顔で否定しなくても……」

「黙れバカノン! それにもとはといえば、ぜんぶおまえのせいなんだからな! ちゃんと責任とれよな! 具体的にはヨーロッパかアメリカにでも移住して、それから委員長の親御さんに頭を下げて来い!」

「うぇぇ!? い、意味がわかりませんよぉ~」


 あまりに理不尽で意味不明な言いがかりに、さすがにショックを受けてしまいます。

 またそんな私の視界の端では、なぜか顔をユリりん顔を真っ赤にして……


「わ、わたくしのほうが絶対に、カノンちゃんを愛していますから!」


豆知識。

ヨーロッパやアメリカの一部では、同性愛による結婚が認められています。


お読みいただき、ありがとうございました。

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