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依頼書生活  作者:
4/6

依頼書生活4

「んふぁ」

うるさい。

ピピピピという電子音が聞こえて俺は起きた。

よく見ると、前回寝坊して学校を休んだので対策のための目覚ましである。

そして時計を確認する。

6時。よし予定通り。

布団から名残惜しくも出ていき、冷蔵庫を開く。

「何かないかねぇ。」

なかった。

いつも作り置きしている芋をつぶして焼いたカロリーメイトみたいなやつもない。

卵もないのでTKGもできない。

あるのは牛乳パックが5本。

それだけだ。

「しゃぁねぇか。」

今日ぐらいコンビニで買って食ってもいいだろう。

昼食用のカロリーメイトもないのでコンビニで買っていかなければならない。

めんどくせぇなぁと思いながら、家を出る7時まで適当にスマホを見て時間をつぶす。

学校は8時30分までに教室にいればいいので結構ゆっくりでも大丈夫だ。

スマホを見ていると気づけば7時になった。

そのままバックをからい、外に出た。

自転車に乗り、学校に向かってこぎだした。




途中で朝ご飯と昼ご飯を買うためにコンビニに寄る。

コンビニの店内は焼き立てパンがある以外は普通の店内だ。

焼き立てパンコーナーに行き、どう見ても焼き立てじゃない塩パンを取る。

そのままカロリーメイトを買い、レジに行く。

…………何でいるんだ。

店員をやっていたのは…つい前に来た依頼人様だった。

「久しぶりですね。」

そういって笑いかけてきた。

俺は真顔で商品を出した。

「いやぁ、彼女の誕生日プレゼントのためにお金が必要でしてねぇ。」

そんな聞いてもいないことを言ってきた。

こいつ学生なのになんでこんな朝からバイトしてんだと思えばそういうことか。

特になんも返答せずにレジを通したパンとカロリーメイトを取る。

「872円でーす。」

そういわれたので俺は手にもともと握っていた872円を出す。

こういうのを準備しなければ、お金を出すときに焦ったりして迷惑をかけるかもと思ったからだ。

その配慮はこいつにはしたくなかったが。

さっさとコンビニを出てすぐさま自転車に乗る。

そのままクソと悪態付きながら学校に向かった。




学校の教室に入る。

そこはいつも通りうるさく、ガヤガヤとしていた。

俺もそのうるさい中に混ざってみたいものだが、そんなことはできない。

なので素直に席に座る。

持ってきていた本を出し、読みだす。

そうすると集中できるのかあたりがガヤガヤしているのもBGMとして聞こえるようになってきた。

そして気づけば先生が入ってきて、話し始めた。

適当に聞き流していると最後に気になることを先生は言った。

「あー。今日は定期テスト初日だからな。やり方は黒板張っとくからしっかり読んどけよ。」

そういって先生は出て行った。

は?定期テスト…あの地獄か?

おいおい俺はすべての授業を聞き流した男だぜ。

わかるわけがないだろう。

今まではどうしていた。

思い出せ。

……………そうだ。諦めたんだ。

教科書は読んだっけ。ワークだけは少しやったような。

クソ、今日の教科は…!

数学・公民・英語。

大嫌いオールスターズじゃないか。

とにかく俺はいそいでワークと教科書を引っ張り出し、勉強を始める。

は?どうしてここは12になるんだ?

あぁ、ここを割ると。いや違う。ここをかける?

あぁぁぁぁぁ!クッッッッソが!

誰だ!定期テストなんか作ったのは!

そんなわけで俺は一切わからないままで定期テストに臨んだ。




定期テスト”初日”が終わった。

みんな、どうだった?なんて話をしている。

その横で俺は死んだみたいオーラを出しまくってやる。

嘘だろ…まだ初日だなんて。

終わってやがる。

…まぁいいか。とりあえず行ってるだけの高校だし。

前回寝坊した時と全く同じ言い訳である。

だがそこそこいい免罪符になるのでまだまだ酷使するぜ。

とりあえず残っている授業はすべて聞き流し、絶望感満載で帰宅することになった。

帰り道、気持ちが重いと足取りが重くなるもんらしい。

部活動がもう始まっていた。

オーラーイという野球部の声。ぱこーんというテニス部のボールを打つ音。走る音、ボールをける音。サッカー部だろう。

それと吹奏楽部の音色。バレー部の声も聞こえた。

俺はいつも通り帰るときに通るサッカー部の練習を見る。

前にも見たがあの茶髪の子。

前にもまして髪が伸び、ほぼほぼ校則違反だった。

だが、それで怒られていないのなら別にいいだろう。

ということでそのまま自転車に乗って家に帰った。




家に帰ってから、いつも通りノートPCを開く。

そして依頼予約が来ていないか確認する。

よし。いつも通り来ていない。

あの青年の告白援助依頼からもう1週間ほど何もなかったのでそろそろ財布が寂しい。

なので今日も店は開ける。

もちろんその時間までは暇なので明日の定期テストの勉強を始める。

もちろん、普通に勉強するとめんどくさくなるので範囲をAIに読み込ませる。

これで要約してもらい、現代文なんかはOKだ。

これで一通り勉強していると、気づけばもう7時半だ。

なのでいつも通り開店準備を始める。

だがまぁお客様はそうそう来ない。

開店休業とはこういうことを言うんだなぁ。

相変わらずノートPCでだらだらしながらお客様を待つ。

…………………………暇だ。

とにかくやることがない。

気づけばもう12時だった。

「今日はもう来ないか。」

そう呟きはぁと息を吐く。

財布がさらに薄っぺらくなる。

そう気分が落ち込む。

だが、神様は本当にいるらしい。

ドアが三回コンコンコンと鳴らされた。

「どうぞ。」

少し声が嬉しそうになってしまった。

これでようやく少し財布が分厚くなる。

財布の厚みは心の余裕の厚み!

ということで入って来た人は何とも見覚えのある人だった。

誰だろうか。

………あああ!

あのむかつく野郎が告白した相手!

思い出したころ、その人は席に座った。

「…えっとぉ。依頼を受けてくれるって聞いてぇ。」

………。

「最近、彼氏ができてぇ。周りの女子がぁ、嫉妬してるんですぅ。」

そういってその人は甘えるような声で顔でこちらを見てきた。

ぶりっ子かよ。

「だからぁ、なんていうかぁ、そんなことやめてほしいなぁってぇ。」

言葉の端々を伸ばし、これがかわいいと思っているんだろうか。

話が長くなる。そのうえ俺だけかもだが、イラっと来る。

「お願いできますぅ?」

そういって甘える声を出した。

顔が近い。

「……あー、えっと、日ごろその、嫉妬してくる人たちにはどういう態度を…?」

こういうやつは苦手だ。

「えー。普通ですよぉ。」

その普通がわからないから聞いてんだろうが!

「えっと、普通とはどのような感じか詳しく教えてもらえますか。」

「えー。関係ありますかぁ?その質問。」

関係ありまくりだこのぶりっ子!

俺が受けるか受けないかの大事なところだぞ。

「それ次第で、使う手段も変わる可能性があります。それに、少しでも知っておくと使える手段が増える可能性もあります。」

途中で言葉を挟ませないために一気に言う。

ほへぇみたいな変な声を出し、そいつは話し出した。



話が長すぎたので端折ると、

まず付き合ってすぐは、特に何も言わなかったらしいが、心の整理がつくと、べらべらと友達に自慢を始めたらしい。

そして、遊びの約束なんかも、連絡なしにドタキャンし、それを何回も繰り返したらしい。

後日、彼氏がどうしてもっていうからぁとか自慢ともとれるようなことを繰り返し言ったらしい。

とどのつまり、彼氏のことを自慢し、友達とのことをおろそかにし、友達の反感を買ったと。

……あほだなこいつ。

これで普通とか頭どうかしてんじゃないのか。

そんなに彼氏がいるからぁとかなら友達と縁切ってなんかあったら彼氏に助けてもらえよ。

「えっと、友達と交友関係は続けたいってことでいいのかな?」

「私はぁ、そんな嫉妬してくる人なんかぁ友達になりたくないけどぉ。やめてあげたらかわいそうかなぁってぇ。」

なんだこいつ。

これで話しかけてくれた友達とやらがすさまじくいい奴らしい。

……………ん?待てよ。俺は解決しなくてもいいわけじゃない。

別に断ってもいい。それにこんなやつの依頼なんか受けたくもない。

あ!そうだ。前金もらって、こいつら別れさせてやろう。

俺があの狐の面かぶってきて、適当に説明すればいいだろう。

よし決定。こいつら破局させてやろう。

俺は!リア充撲滅委員だ!

高速脳内会議をすませ、相手に切り出す。

「いいですよ。その依頼受けます。私の依頼所は前払いなので依頼料、5万円もらえますか。」

そいつは5万円を迷いなく出した。

そうだった。こいつの彼氏金持ってたな。

クソが。

その五万円を俺は受け取り、財布に入れた。

「少し待ってください。」

そういって俺は席を立ち、居間に向かう。

そして狐の面を手に取る。

仕事部屋に戻り、机に狐の面を置く。

そいつは狐の面をみただけで縮こまった。

「お前は、気持ちの悪い男に襲われたらしいな。そしてその時に彼氏さんに助けてもらったと。」

なんで知ってるの。

そう目でこっちに問いかけてくる。

その目は恐怖で埋め尽くされている。

俺がやったことは相当トラウマになったらしい。

別に俺の知ったことじゃないが。

「ちなみにその気持ちの悪い男”役”は俺だ。」

役のところだけ強調して俺は言った。

どういうこと。

そう思っているだろう。

なんとなくわかる。

「わかるか?お前の彼氏は俺に依頼した。好きな人に告白するので成功しやすいよう、悪役になったくれってな。」

そんなことはない。

そう信じたがっている目をそいつはした。

だが、嘘じゃない。

「見事にそれは成功したみたいだな。お前は見事に引っ掛かり、告白に成功したらしい。」

「嘘。嘘。嘘。嘘だ!」

そいつはこんな深夜なのに大声を出した。

事実には目を背けるらしい。

「そんなの証拠が…」

「うちには、契約内容を裏切られないよう、ボイスレコーダーの一つや二つはあるが。」

そいつの顔がさらに絶望色に染まる。

「嘘!そんなことするはずがない!」

そう深夜というのに彼女は叫び、部屋から出て行った。




俺は閉店準備をすませ、いろいろ考える。

ああいうのは、疑っていないと言い張っても心の奥では少しだけ疑問という亀裂が入る。

その少しの亀裂から割れていくものだ。

俺は、そいつが誰にも嫉妬されない状況を作ったのだ。ちゃんと依頼はこなした。

だからこの5万円は俺のものだ。

屑と言われようが知らない。

もう何度か言われている。

大体、そんなことに金を使ったあのむかつく野郎が悪いのだ。

愛は金で買えないという言葉を信じなかったやつの末路だ。

そうやってあいつに責任を押し付た。

それから布団に潜り込んだ。

そして目をつぶる。

目をつぶれば真っ暗になる。だけどその真っ暗な視界に何とかなく、

赤と緑を混ぜたような色が見えた。それと同時に赤色も。

そしてすぐに眠りについた。

評価等大歓迎です。辛口でも構いません。不定期更新です。

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