依頼書生活3
「んぁ」
眠い目をこする。
そして布団から出る。
椅子に座り、スマホを起動する。
時計を確認して…11時⁉
やべぇ。やべぇよ。大遅刻だ!
終わった。
今から行くか?
行ってもどうせ無駄か。
…まぁいいか。とりあえず行ってるだけの高校だし。
そう自分に言い聞かせ、遅めの朝食をとる。
あったかい牛乳に今日はパンである。
牛乳にパンをつけて食べる。
おいしい。
もう開き直った俺は味わって食べる。
といってもそこまで量があるわけでもないのですぐに食べ終わる。
朝食を食べ終わるとあとはやることがない。
なのでPCを起動し、予約依頼が来てないか確認する。
といっても今日は予約なしでもOKな日だし、あんま関係ないんだが。
そしてやはり予約はなく、俺は安心しながらゲームを開始した。
相当な時間ゲームを続け、気づけば7時である。
あと1時間で開店だ。
なのでノートPCを持って、仕事部屋に行く。
そこでは適当にニュースを流し見する。
こうしておけば時間が気づけばとける。
そしてニュースを見て、途中で動画を見始める。
そうやってぐうたらと時間をつぶしていると、気づけばもう12時である。
もう今日は来ないかな。
そう思うとそれがフラグになったのか。
コンコンコンと三回ノックが鳴った。
「どうぞ。」
いつも通りに言う。
だが内心、いやだと思っている。
部屋に入ってくるのはなんか、どう見ても高校生である。
もしかしたら俺と同じ高校かもしれない。
それにしても夜遊びとは感心しないなぁ。
まぁ俺も働いているんだけど。
その高校生は、緊張していそうだ。
どうすればいいのかわからないのかなんかおろおろしてる。
「どうぞ。」
椅子に手を向けながらそう言う。
伝わったのか少しぎくしゃくしながら椅子に座った。
少し待ってみる。
話し始めはそっちがしてくれないかなぁ。
そんな目をしながら見る。
「……」
なんか言いそうなんだけどなぁ。
どうもそこまで気が強いわけじゃないらしい。
意地悪してしまった。
いじわるとかかわいい女子じゃないと許されないのに。
「依頼内容はどのようなことでしょうか。」
もしかしたら俺よりも下かもしれないが、敬語を使う。これ社会の常識。
「相談に乗ってもくれるんですよね…?」
ここでいいえと言ったらどうなるんだろうか。
「はい。内容によりますが、助言等もしますよ。」
素直に答える。
「…えっと、僕………好きな人がいて………」
恥ずかしくなったのか最後らへんが小さい声だった。
顔も赤くなっている。
「その、……告白のセオリーとかって……」
どうすればわからないのか。
そんなこと言われてもモテない男にそんな相談されもだな。
「僕が考えてるのは……」
恥ずかしがっているのか相当止まったりしたから要約すると、
その子は部活に入っているらしく、結構遅く下校するらしい。
その時に河川敷に来てくれっていう旨の手紙を朝靴箱に入れるとか。
そしてそこで告白と。
なんでこの程度の説明で15分も使うのか。
まったくもってわからないが、別にいいだろう。
というかこの話を聞いている俺が恥ずかしい。
「その、手紙に自分の名前は書くの?」
「はい、まぁその予定では…」
相手に嫌われてたりするとその時点で来ないが、大丈夫か?
「その子は下校時には一人で帰ってるのか?というか君は部活に入っているのか?」
「えっと、僕が見る限りは友達と帰っている…と思います…自分は入ってはいます。」
うん。めんどい。
友達と帰っている途中でその河川敷で別れるのも怪しまれるだろうし、結構厳しくないか。
「あー、それだと、河川敷で友達と別れる必要があるわけだその子は。」
「…怪しまれますかね……」
自分は首を縦に振る。
「その子が途中で一人になるなら、その時にやるべきだろうな。」
「でも…なんで途中で友達と別れるって知ってるんだとか…思われたら…」
そういうこと考える人か。
告白なんて恥ずかしがったらダメだろうに。そんなこと気にすんなよ。
「そうだなぁ。都合よく、悪役がいれば楽なんだけどなぁ。」
そう小さく言う。
悪役がいればその子を襲ってもらってそいつをこいつが撃退する。
そういうテンプレができる。
いわゆる吊り橋効果とかいうやつだ。
「悪役…それで僕が助ければいいってことですか…?」
おっと、聞こえていたらしい。
「まぁそんなとこだ。そういうやつがいればすごく楽だ。」
そいつが感情的に動じないやつだとダメだけどな。と付け加える。
するとなんかその少年はなんか真剣そうに考え出した。
おけ。テンプレ入った。
これは俺がやれとかなるやつだ。
やだな。やりたくねぇ。
「あの…悪役をお願い…」
「ヤダ。絶対ヤダ。」
即答。
嫌に決まってんだろ。
俺は正義の味方じゃなくても悪役でもないんだよ!
「そこを何とか…」
「いやだいやだいやだ。」
子供みたいに駄々をこねる。
そんなことやりたくない。
「じゃぁ、これでお願いします…」
そういってその少年は何枚かの紙切れを渡してきた。
一枚1万円の価値のある紙切れだ。
俺はその紙切れをすべて回収する。
たくさん持ってんな。紙切れ。
「よし。しゃぁねぇな。やってやる。」
「ありがとうございます。」
そういってその少年は笑顔を浮かべた。
怖えぇぇ。やり手の目だ。
「じゃぁ、詳細の話し合いを始めましょうか。」
その言葉で話し合いは始まった。
相談料を受け取り、そいつは席を立った。
「では、お願いします。」
そういって最初の緊張はどこへ行ったのか。
余裕たっぷりといった様子でそいつは部屋を出て行った。
「ふぅ」
久しぶりの野外活動だ。
予定をまとめるとこうだな。
今週金曜日、部活終わりその子が友達と別れ、少ししたころ。
見立て的には8時ほどとのこと。
そこにエアガンを持って、野外活動用の狐の面をつけた気が狂ったという設定の俺が待機。
その子が来たら、できる限り気の狂った様子で突撃。
できるだけ弾を当てないようにエアガンを連射。
そこに颯爽とコンビニに行く予定という設定のあいつが登場。
見事に撃退された俺は逃げ、その後その子といい感じに…という手はずだ。
まぁ頑張れ俺。
そう思って俺は店じまいをし、寝た。
そして、当日の金曜日。
俺は全身ジャージに身を包み、エアガンと狐の面をつけて張り込んでいた。
12月の冷たい空気が体温をさらっていく。
「さみぃ。」
なんでこんなことになってんだ。
紙切れなのになんて力だ。
時計を確認する。
予想時刻の8時まであと3分ほど。
俺はじっと待つ。
人通りの少ないこの道は俺の今の服装を見るやつはいない。
通報もされないわけだ。
また時計を待つ。あと1分。
あくまで予想だから来ない可能性もあるが。
…8時。
目標の姿は見えません。
まだかなぁ。
そう思って時計を見る頻度が上がる。
8時1分、2分、3分…
まだか。
8時5分を回った時。
その子は現れた。
ふむ。美人というよりかはかわいいのほうがあっているな。
気づかぬ間にそんなことを考えてしまう。
そんな考えを振り切り、足に力を込める。
そして、俺の前をその子が通り過ぎたとき、俺は立ち上がり、声を出す。
「アハ!アハハ!」
寒い中長時間いたせいか、声が少し枯れている。
それも少し、気が狂った感じに拍車をかけていた。
さっきまで穏やかな顔だった子は、一気におびえたような顔になる。
「アハ!お兄さんと一緒に遊ぼうよぉ」
できる限り気持ち悪く。気が狂ったように。
俺の演技がうまく決まったのか、一段とその子の顔から血の気が引く。
逃げようとその子は走り出した。
「待ってよぉ!遊ぼぉ!」
そういってエアガンの引き金を絞る。
エアガンからBB弾が次々と出る。
「痛ッ!」
当たったのか、そんな声をその子が出す。
はよ来いよあいつ。
そう思いながら、たまにアハハ!という声を出しながらエアガンを連射する。
思いが通じたのか、あいつが自転車に乗って来た。
「おい!」
思いきり大きな声をあいつがだした。
それを聞いて俺は足を止める。そしてそいつに振り替える。
そして邪魔が入った。という感じの顔を作り、
「邪魔なんだよぉ!」
そういい、エアガンを連射する。
もちろんそこそこ外してる。そいつはこちらに向かって走り、思いきり殴って来た。
冬なのでいつもより痛い。
「邪魔だぁぁ!」
そう叫び、また連射した。
さらに殴られ、頬がひりひりする。
「クソが!覚えてろ!お嬢ちゃん、またね!」
そういって俺は逃げた。
あとはあいつ次第だ。
痛む頬をさすりながら家に向かって走った。
「ふぅ。」
家に帰りついて、息を吐く。
疲れた。
全く、あの紙切れのせいで。
ケガの具合を調べるために鏡の前の立つ。
切り傷多数。擦り傷多数。
おい!あいつ、手加減を知らないのか!
あいつにイラつきながらも、俺は絆創膏を張っておく。
それから布団に潜り込む。
そして目を閉じる。
目をつぶれば真っ暗になる。だけどその真っ暗な視界に何とかなく、
緑色が見えた気がした。少しすると赤色も。
そしてすぐに眠りについた。
評価等大歓迎です。辛口でも構いません。不定期更新です。




