夢の終着駅
『この悪夢の世界…そして、もっと言うと…"君"が今まで見てきた世界の正体は。君の…悪夢の世界なんだ。……そして…私と遥香は、君の闇の部分と光の部分なんだ』
もう何がなんだか分からなかった。
私は…私だ。
ふざけてるにもほどがある。
それに、私が今まで見てきた世界が全て悪夢だって…?
……
………………
ふざけるな。
ふざけるな…!
ふざけるな!!
『私はそんなの認めない…!私は私だ!!他の誰でもない!!』
私は喉をガラガラにするほど、叫んだ。
認めたくなかったから。
私が私じゃないことを。
いや、違うな。
本当のところを言うと、まだ何がなんだか分かっていなかった。
私は誰だ…とか。ここはどこだ…とか。遥香は…エリカは…とか。どうして…ハンスさんは…とか。ゾルゲ…あいつは一体なんだったの…?とか。
私は本当にもう何がなんだか、分かっていなかった。
ーそして…そんな私をよそに、エリカは床に落ちていた投擲ナイフを拾ってから、続けた。
『そっかあ。それじゃあ、もっと分かりやすく言おうか』
私は戦闘を予測して、構えた。
『アンリ……貴女自身が悪夢なんだよ。そして、私は…!アンリ!!貴女の苦しみを増幅させることによって!!この悪夢を!!Xシナリオクラスの悪夢を!!限界まで膨張させてから現実世界との境界を消す!!これこそが!!私の描く新しい世界秩序!!!その名を!!アイのシナリオ!!!!!』
エリカがそう叫ぶと、投擲ナイフが投げられた。
ーこの時の私は、キューピットからもらった魔法の力で何かバリアみたいなものが出てきて、私を守ってくれるとか…なんて勝手に思っていた。
だけど……実際は。
・・・・・・・・・・・
そんなものはなかった。
その避けれるはずのないほどの速度で投げられた投擲ナイフは、私の心臓をそのまま貫いた。
だけど……
私は死ななかった。
いや…
・・・・・・
死ねなかった。
ー何故なら…嫌でも無限に身体が再生する不老不死の権能。
その権能こそが、キューピットの言う魔法の力だったのだから。
ーそれから、私はエリカに何度もナイフで刺され続けた。
何度も。
何度も。
心臓を。肺を。大腸を。小腸を。膵臓を。肝臓を。脳を。目を。鼻を。口を。腕を。脚を。
色んなところを、とにかくいっぱい刺され続けた。
私は…無論、泣き叫んだ。
しかし…エリカはその手を止めない。
『痛いなあ!!痛いよなあ!!!だって!!いっぱい刺されてるもんなあ!!!フハハハハハハハァァ!!!!私はずっと!!!何回刺しても壊れないオモチャが欲しかったんだよ!!!ま!!それが例え自分の本体でも私は構わないよ!!人生楽しんだもの勝ちだからなあ!!!』
ーエリカは完全に豹変していた。
人格も、おっとりとした仲間思いな人格ではなかった。
今の彼女はただ私が苦しみ悶える表情を見て、嬉々とした雄叫び声を上げるヤバい奴だ。
それに…エリカの顔も豹変していた。
そのエリカの顔は……
遥香ではないナニカのの顔に変わっていた。
…そして、この顔は私を遥香ではないナニカが銃で撃ち殺した時の顔だった。
…?
遥香ではない…ナニカ?
ああ、そっか。
もしかして……
私を銃で撃ち殺したのは、遥香じゃなくて、エリカ…なのかな…?
『アハハハハハハ!!もっと苦しんで!!もっと悶え!!苦しむ顔を見せてぇ!!!』
駄目だ…!
そんなことを考えてたらまた刺された!!!
痛い!!苦しい!!!!また刺された!!
『もっと苦しんでえ!!』
痛い!!!痛い!!!まただ!!
『もっと!!もっとお!!!』
痛い!!また刺された!!
苦し…!!
ヤバ…!!
意識が!!
『もっと!!!もっとだよお!!』
やばい…!!
意識が…!!
遠の…!く………




