表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

手と手をとりあえよ

挿絵(By みてみん)


「お前さ、とりすぎだよ、取りすぎっつってだよ。俺がさ、最初に掴み、持ち上げたんだぞ」


 お椀を持った右手がしゃべる。


「あらあら言葉がお下手ね。そうねあなたが持ち上げたわ。そして私がお箸ですくう。その通りじゃない」


 箸を持った左手がしゃべる。


「いや違う。その通りじゃない。いつもは違う。左手が椀を持ち、オレが箸ですくう。常に右利きだ。こいつは左利きじゃない」


「どっちが持ってもいいじゃない。ヒヒヒ、品性がないお猿。ここ最近はあなたが箸ですくっていたけど。今日は私。今日はあなたじゃない。そのままその通りよ」


 どちらでもいい。早く私の口に麺を運んでくれ。その椀に入ったざっくり感もさること、そうめんのようなしなやかさとの同居を実現した。実に新触感だといわれる博多ラーメンを。


「嫌だよ。お前の口に麺を運びたいわけじゃないけど、こいつに運ばせるのはだめだ。それは俺の仕事、役割、生きる意味だ」


「ウキイ!キイ!ナワバリハイルナ!セイイキヨゴスナ!、ヒヒヒ、まあお下品。こいつの口に麺を運ぶことが生きがいですの?どちらでもいいじゃないこんな…、しょうもない」


ズズー、ズズウウウ、ズルズズルズルーーッ、ズズズズズウズズズズズズズッ


「!?」「!?」


「この奥深い塩も素晴らしい!!しっかりとしたフルボディな油のコッテリ感もあって…小麦の香ばしさも感じられます!!100点!!1000点!!10000点!!!!!」


「こいつ手をつかわずに…堕ちたな。外道に落ちたな」


「ラーメンを食べるしか能のない生き物…、ラオタよ、ヒヒヒ、ラオタラオタラオタ!!」


 私は比較的アッサリしているなと思いながらラーメンを無心ですすり続けた。両腕を汲みながら。椀の中に顔をつっこみ、幸せをすすり続けた…。



幸せですが、なにか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ