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 春野美咲は、都内の高校に通うごく普通の18歳。

 彼氏はいないが友人は多く、クラスでもそこそこ目立つタイプの女の子だ。

 そんな美咲が、事件に巻き込まれたのは、下校中に友人のひとりをたまたま見かけた事に起因する。

 美咲の学校は、所謂「お坊ちゃん、お嬢さん」の占める割合の多い学校だ。

 中には親はサラリーマンだと言う者もいるが、そんな子達は、美咲のように勉強やスポーツに秀でており、奨学金で通っている。

 そんな訳で、生徒の品位は高い──筈だった。

 

 その日、美咲は参考書の購入の為、学校帰りに書店へ寄った。

 さて、帰って受験勉強だと気合を入れ店を出る。

 すると、同じクラスの筒井優希が通りの向かいのコンビニの脇に立っているのが見えた。

 優希は大手スーパーの社長のお嬢さんで、見た目が少々派手であるためよく目立つ。

 美咲はなんとなく優希に声を掛けようと手を上げ……ようとして止めた。

 柄の悪い男が優希に近寄って行くのが見えたせいだ。

 一体なんなのだろうと見ていると、意外にも優希の表情が明るい。

 どうやら知り合いのようである。2人は路地へと入って行った。

 美咲はなぜか酷く心がざわざわした。

 ここ最近、優希は急に痩せた。最初はダイエットしたのだろうと思ったが、顔色も良くなく、不穏な様子が見て取れる。

 クラスの中には、成績が下がったせいで情緒不安定になっているのだと言う者もいたが、先程の男を見た途端、嫌な予感に駆られたのだ。

 美咲は急いで横断歩道を渡ると、そっと2人が入って行った脇道を覗いた。

「優希、ちゃんと金持ってきた?」

「うん……」

 男は勇気がバッグから財布を取り出すと、その財布ごと奪った。

 中から金を抜き取り、財布を放り投げる。男は、美咲が手にしたことがないような大金を、ぞんざいに握っていた。

 優希は顔色を変えた。

「ねえ、取り過ぎ──」

「ふざけんなよ。今まではお試し価格。これがラブドラッグの正規の価格だよ、バカ」

「そんな! 返して──」

 男は優希を突き飛ばすと、踵を返す。

 美咲は慌ててコンビニへと足を向け、店内へと入った。

 心臓がどきどきと早鐘を打つように鳴る。そんな美咲の目の前を、男はガラス越しに横切り歩き去って行った。

 男が視界から消えたのを確認すると、美咲は急いでコンビニ脇の道へと戻る。

 そこにはまだ優希がいた。

 ペタンと地べたに座り込んでいる。

「優希!」

 美咲は思わず駆け寄った。


 

 これが、全ての始まりだった──。


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