6、次の宴へ -Next Game-
後日談の蛇足部分なので、さらっと流してください。
それから真司は半年をかけて屋敷の中を掃除し、草を刈り、ゴミを出して漸く本来の屋敷の綺麗さを取り戻した。
大変ずぼらな家人の為に家事全般は真司がこなし、気分はすっかり専業主夫だ。
「斎、洗濯出しといて。清人さん、あんたもです! そうやって溜めるから半年前みたいになるんでしょう」
何をしていると言う訳でもない。ただ、日々を過ごしているだけにも関わらず、真司は充足感を味わっていた。洗濯機に服を詰め込んでいると、ふと玄関に置いてある年期の入った黒電話が唸りを上げる。
電話番は下っ端の仕事、と押し付けられて実に初めての電話である。
「はい、賀茂井相談事務所」
勢いよく出たのがいけなかったのか、受話器の向こうで短く息を吸い込む音が聞こえた。
「……、相談ですか?」
先程よりは幾分か語気を押さえた声でゆっくり話すと、雑音の中から女のか細い声がする。
『主人が、目を覚まさなくなったんです』
依頼だ。それと共に貘が関与している可能性がある。不謹慎にもにやける顔を押さえられずに真司は肩を押さえた。半年前、貘に付けられた印がじくりと痛んだ気がした。
「依頼ですね? 今所長を呼んで参ります。少々お待ちください」
夢と無意識を渡る真司の戦争が今静かに始まりを告げた。
ここまで読んでくださった方に最大の感謝を!
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