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「一番手って不利じゃないか?ま、いい、オレはとりあえず、敦さんの意見に同意かな。つまり、初日は別に役職吊らなければ良いって思ってる。だから、8人の中じゃ、今誰の意見も聞いてなくて、みんなフラットな状態なら辰巳になるかな。唯一役職がないって分かってるし。でも、さっきは芝居臭いとか言ったが、よく考えたら佐知さんって辰巳より年上だし落ち着いてて、しっかりしてる子だった。安易に人外かもしれない辰巳に、自分の役職なんか言ってないと思うんだ。占い師は誰が怪しいとかまだない。敦さんは頼りになりそうなので、真なら良いなってぐらいだ。霊能者だが、そんなに神経質に考えなくても良いと思うな。佐知さんが霊能者で、たまたまそこが噛まれたとかあるか?可能性は薄いと思うぞ。だってさ、18人居て4人狼だろ、出てたのはパン屋の徳光さんだけ、狼目線残りの13分の2を当てたことになるんだろ?そんなことあるか?そもそも、仮にそうだとして、霊能者の結果が必ず違う時があるだろうから、その時まで待てば良いじゃないか。オレはそう思うけどな。」

皆が、考え込むように顔を険しくする。

徳光が、言った。

「まあなあ、役欠け追うなら後でもいけるもんな。」と、久司を見た。「次、久司。」

久司は、慎重に、しかし表向き何気ない風に言った。

「今のを聞いて喜美彦は白いと思ったかな。概ね同意って感じ。佐知さんが霊能者で辰巳が狼って、出来すぎてるような気がするんだよね。つまり、こじつけ?みたいな。今のところ素直に霊能者は二人共真で、騙りは出なかったんだと思いたいかな。狼だって、余裕はなかったと思うんだよな。全く情報がなかったのに、猫又に当たったら終わりだろ?とにかく猫又っぽくないところをって噛んだんじゃないかって思う。まあ、推測だけどね。占い師は、後で一人ずつ話を聞かせて欲しいかな。誰か一人でも信じられたら心強いなって思うから。吊り先は…狼ではないとは思うけど、素村COしてる辰巳が今のところ有力。以上だよ。」

徳光は、頷く。

皆も、特に久司を怪しんでいるような顔はしていなかった。

徳光は、真智子を見た。

「次、真智子さん。」

真智子は言った。

「先の二人は白いなあと思った。全くその通りだもんね。となると、辰巳さんを黒塗りした光晴さんがにわかに怪しくなって来るってことよね。とはいえ、今は辰巳さんに入れるのが安牌な気もする。色が見えてから、光晴さんを疑えば良いわけでしょう。仮に辰巳さんが黒だったら、光晴さんは限りなく白くなるし、逆に白だったら黒くなるわ。たから、やっぱり辰巳さんかな。役職者保護は大切だものね。」

徳光は、頷く。

「次、正高。」

正高は、言った。

「…そうだなあ、オレとしては、今のところ辰巳は黒くも白くもないから、安易にそこを吊ろうとは思ってない。それよりは他を積極的に黒く塗った、光晴の方が黒くは見える。みんなが役職保護を謳うのは間違ってないし、オレだって最初は素村ならそこしかないなって思ったのは確かだが、敦が言ったように吊り縄は8本、人外は最大で7人なんだ。仮に狐が呪殺されて背徳者が道連れになったら、人狼の襲撃と併せて一気に3人持って行かれるだろ?人外も2減るが、吊り縄も減って思ってたようには行かなくなるかも知れない。初日とはいえ、慎重になった方が良いとオレは思うけどな。」

徳光は、神妙な顔をした。

「確かにそうだ。正高目線、先の3人の発言はどう思った?黒いところはあったか。」

正高は、答えた。

「どうだろうな。喜美彦の辰巳が黒くないかもしれないって思考更新は白く見えたし、久司もよく考えてると思ったな。怪しいとしたら、それに全乗っかりした真智子さんになるけど、それも吊るほどじゃない。ホントに思ってたことを先に言われると、後から発言する事なくなるしな。今のところは、そんな感じだ。」

徳光は頷いて、舞を見た。

「じゃ、舞ちゃん。」

舞は、おずおずと口を開いた。

「あの…私が先に武さんから聞いてたって言ったばっかりにいろいろごめんないって気持ち。辰巳さんの気持ちは分かるの。佐知ちゃんはいい子だったし、襲撃されたらなんでって思うわ。私だって思った。でも、佐知ちゃんはホントに慎重な性格だったから。仮に霊能者だったとしても、安易に言ってないと思う。私にも全くそんな素振りは見せなかったわ。村人は夜怖いねって、そんなことを…女子の中で話した程度よ。だから、辰巳さんは、違うと思う。だから、私から見たら辰巳さんを疑った光晴さんはどうしてそんなことを言うのって思うから、黒いかなって思った。芝居臭いとか言った喜美彦さんも腹が立ったけど、今撤回してくれたから、そこはもういいけど、みんなが佐知ちゃんを想う辰巳さんを怪しんだのはちょっと許せないかな。」

やっぱり女子は感情なのかな。

久司は、それを聞いて思った。

女子の票をもらわないためには、情に訴えるのが良いのかもしれない。

つまり、舞は佐知を失って感情的になる辰巳に共感していたのだろう。

それをなじったことになる、光晴と喜美彦に腹が立ち、疑うことになっているのだ。

分かっているのかいないのか、徳光は拓也を見た。

「じゃ、次は拓也。」

拓也は、言った。

「まあ、いろいろ意見はあるんだろうが、オレはとりあえず役職保護が大切だから、どこも怪しくないなら辰巳を吊ってみるしかないって思ってる。黒だったらラッキーだ、ぐらいの心境かな。光晴が怪しいとか言ってる人も居るが、仮に光晴が狩人だったりしたらどうする?無理に出なきゃならなくなって、狼に噛まれてその後噛み放題だぞ。つまり、もうちょっとでも黒の可能性があるなら素村COの辰巳からが村のためなんだよ、感情で決めるべきじゃない。みんなの命が懸かってるからな。ここまで聞いても、特に目立って怪しいと思う人は居なかったし、オレとしては苦渋の決断っていうか。」

徳光は、言った。

「そうなんだよな。正高の言うことも分かるんだが、狩人がやられたら困るし、今は素村だと明確に分かってる所を吊るのが安全策なんだよ。悩むところだ。」

正高が、言った。

「別に、明確に怪しいってところがあったらそこがいいと言ってるだけで、辰巳を吊るなと言ってるわけじゃねぇぞ?辰巳が黒いなら、辰巳でいいと思う。そういうことだ。」

そうは言ってもどこもそんなに黒くはないんだよね。

久司は、思って聞いていた。

黒いところが見当たらない。

光晴は、思わず思ったことを口にして、結果的に辰巳を黒塗りしたことになり、村に怪しまれることになっているが、他の人達は、無難な意見に終始していて黒くも白くもない。

普通、特に初日は狼ならば目立つことは避けるので、明確に怪しい所は逆に怪しくないと久司は思う。

だが、そんなことを村に教えてやるつもりはなかった。

徳光が、ため息をついた。

「…分かってる。じゃあ、次は何人かから怪しいと言われている光晴。」

光晴は、言った。

「黙って聞いてたらオレが怪しいとか。黒塗りって、怪しいと思ったから言っただけで、別に塗ろうとしてたわけじゃない。わからないから、疑惑の芽は摘んでおきたいから言っただけだ。だが、まあこれだけ吊るとか言われたらとりあえず役職だとか言えば逃れられるのに、それをしなかったから辰巳は白いのかもしれないと今は思ってる。先に素村とか言ってしまったから出られなくなっただけなのかも知れないがな。後は、狐か背徳者だったら相方がCOしてて出られないのかもしれない。とりあえず、オレは辰巳は人外だとしても狼ではないのではないかと今は思ってる。」

徳光が、興味を持ったように言った。

「ほう?ってことは、どこが怪しい?辰巳は確かに怪しいって、特にないからなあ。」

光晴は、答えた。

「オレ目線だと他の人とは違って来るぞ。何しろオレを怪しんだ奴は皆黒塗りして来たと感じるから、黒く見える。何しろオレは白、村人だからな。役職は、あるのか否かは言わないよ。わざわざいろいろ人外に教えてやるつもりはない。」

光晴視点だと、そうなるだろうなあ。

徳光は、顔をしかめた。

「ってことは、真智子さん、正高、舞さんか?」

光晴は、首を傾げた。

「…正高はそこまで思わなかったが、オレが怪しいと最初に口にした真智子さんは怪しく感じた。次に舞さん。意見が感情ばっかで論理的じゃない。武の霊能者を知ってたと言っても、狼からしたら真占い師の方が最優先で抜きたかったはずだ。霊能者を騙ろうとしている狂人にも見えたかもしれない。だから、オレはそこまで舞さんが白いとは思っていない。」

確かに、昨日狂人目がある永宗を、狼は噛もうとしなかった。

味方は多い方がいいし、あの中に狩人がいたら、守っている可能性があるからだ。

すると武が割り込んだ。

「舞は白いぞ!自分が疑われたからって舞を黒塗りするのはやめろ!」

まためんどくさいな。

久司が思っていると、徳光がそれをうんざりした顔で言った。

「待て。そういうのは後だ。あれこれ割り込んで言い返してたら争いになって議論にならない。オレが促してから発言してくれ。次、多くの人にとりあえず吊ると言われている辰巳。」

辰巳は、やっと回って来たと口を開いた。

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