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七日目の朝

夜は、よく眠れなかった。

7時にお決まりの音と共に鍵が開くと、久司は廊下へと足を踏み出した。

廊下に居たのは、喜美彦、聖子、敦、芽依の4人だった。

「…三階だな。行こう。」

敦が言って階段へと向かう。

全員が、それに従って無言で三階へと登って行った。


三階では、誰も居ないのだが、徳光の部屋の扉たけが開いているのが見えた。

恐らく、光晴が確認に行ったのだろうと思われた。

「…徳光さんなのね。」

芽依が、静かに呟く。

久司は、頷いた。

「この噛みだと、芽依さんは真狩人なのかなって思うね。だって一昨日の夜は徳光さん護衛だろうから、確実に噛める所を噛んで来たみたいに見える。」

芽依は、頷いた。

「私は真狩人よ。だから昨日は、徳光さんはああ言ったけど敦さんを守ったの。護衛成功が出たら、縄が増えるからその方が良いと思って。でも、だから今夜は守れないけど。」

やっぱり。

久司は、内心ホッとしていた。

光晴が、中から出て来て、言った。

「…徳光が襲撃されてた。ま、オレもこうなるかもなって思ってたんだ。狼は、縄が増えるのを嫌がると思ったしな。徳光はああ言ってたが、結局芽依さんが敦さんを守るんじゃないかって話してはいたんだ。敦さんに護衛がないと踏んで、敦さんを噛んで来たら縄が増えてラッキーだろうって。だが、そう上手くは行かなかった。」と、敦、久司、聖子を見た。「で、パワープレイじゃないな?芽依さん狂人とかで。」

久司が、言った。

「だからオレ達は狼じゃない。そもそも今6人で、冴子さんが言ってたみたいに敦さん、オレ、聖子さんならもう、ゲームは終わってるよ。今朝の噛みを見ても、狂人は拓也だったんだなって思ってる。だって護衛成功を恐れる噛みだろ?芽依さん真だからかなって今朝思ったから。」

光晴は、ため息をついた。

「まあ、確かにな。だが、そう思わせるための噛みってことも考えられるぞ?で、敦さん、喜美彦の結果は?」

敦は、ため息をついた。

「…黒。芽依さんのことはまだ占っていないから分からないが、ほぼほぼ真だろう。だとしたら、私目線では今夜喜美彦を吊ればゲームは終わる。他は皆、白ということになるからな。終わらなければ、明日芽依さんで終わりだ。」

芽依は、頷いた。

「終わるわ。私は真狩人だから。」

喜美彦が、険しい顔をした。

「終わらないぞ。今朝やっと分かったが、敦さんが狼なんだ。冴子さんは嘘を言っていなかった。つまり冴子さんが真で、永宗と敦さんは偽なんだ。」

光晴は、ため息をついた。

「…分かってる。喜美彦目線ではそうなるだろう。だが、そうなるとなんで昨日狂人の永宗を噛んだのかってことになるんだよな。オレとしては、喜美彦吊りで良いと思っているんだ。だが、徳光が。今日ゲームが終わって居なければ、敦さん、久司、聖子さん狼ではないと確定するが、仮に冴子さん真ならば、まだ聖子さんには黒を出してはいない。勝手に黒だと言っていただけだ。つまり、冴子さん目線聖子さんは白で、敦さん、久司が黒はあり得るんじゃないかって。だから、敦さんが生き残ったなら、敦さんを吊って最終日ってのも、確実で良いんじゃないかって。」

やっぱり、徳光は侮れなかった。

久司は、反論した。

「でも、敦さんには護衛が入ってる可能性が高かったよな。現に入ってたし。狼からしたら、芽依さん真ならって恐れて徳光さん噛みしかなかったと思うけど。そもそもオレと敦さんが狼だったとしても、永宗は噛まない。だってゲームは終わらなくても、今朝パワープレイで勝てたじゃないか。狂人は残しておく方が良かったはずだ。永宗狂人なら、噛むメリットなんかなかった。」

光晴は、何度も頷いた。

「そう、そうなんだよ。昨日狂人を噛むメリットなんかない。どっち目線でもな。そうなると永宗は真になるが、その永宗は久司と敦さんに白を出してる。だから狼にはなり得ない。だから敦さんはあって狂人だが、狂人ならそんなに的確に狼を囲えていたとは思えない。冴子さんが敦さんを狼だと言った時点で偽確定だし、敦さんなら狼を気取って冴子さんを囲うだろうし、自分が吊られる方向に持って行くだろう。初日のお告げも襲撃された佐知さんにだったし、狂人だったらアピールのためにどこかグレーに白を打った方が良かった。だから、永宗目線敦さんは真だろう。だから…オレとしては、徳光はああ言っていたが、喜美彦吊りで良いと思っているんだが…徳光は、まさかの事を考えた方が良いと言うんだ。他ならぬ敦さんが慎重に良く考えろと言ったからと。」

敦は、息をついて頷いた。

「村がそうした方が安心できると言うのなら、今夜は私でも良い。私目線では、懸念しているのは芽依さん偽の時だけなのだが、今朝の噛みを見ても真だと信じて良いだろう。明日確実に喜美彦を吊ってくれるのなら、私は別に吊りを飲む。」

しかし、聖子が言った。

「でも!ならどうして芽依ちゃんは生き残ってるの?もし喜美彦さんと芽依ちゃんが狼狼、もしくは狼狂人だった時、明日は詰むことになるのよ?昨日は徳光さんでなくとも、芽依ちゃんでも良かったのに、狼は徳光さんを噛んでる。怖すぎて敦さんを吊るなんてできないわ!そもそも、冴子さんは私を黒塗りしてたし、昨日敦さん吊りで今朝生きていたら絶対黒を出すつもりだったわ。私か久司さんを吊らせようとして。黒を出してたわけじゃないって言ってたけど、私から見たら敦さんが吊れた後の、最終日を見据えた黒塗りにしか見えなかった!」

聖子目線だとそうなるだろう。

冴子は、全方向に攻撃し過ぎたのだ。

芽依が、言った。

「私は狼でも狂人でもないけど、今夜は喜美彦さんで良いと思うわ。だって無駄じゃない?敦さんは他のどの占い師より、初日から完璧に村を引っ張ってくれたわ。盤面整理だって、徳光さんは敦さんに頼りきりだったじゃない。なのに、怖いからってここに来てそんなこと言うなんて、間違ってると思う。ここまで来たら、もう良いと思うわ。昨日冴子さん偽を決め打ったんでしょう。喜美彦さんは永宗さんからも黒を打たれて生き残って来たのよ。2黒を疑わないなんておかしい話だわ。」

流れは、喜美彦吊り一択の空気になっている。

立ち話だったが、議論が白熱していてみんな気にしていないようだった。

喜美彦が、言った。

「あのな、オレ目線だから分かるが、お前ら自殺行為だぞ!だから徳光が噛まれたんだ!芽依ちゃん真なら、芽依ちゃんで良かったじゃないか!良く考えろ、オレは白なんだよ!敦さんが偽だ、狼なんだって!オレが狼だったら、今朝黒打ちされるのが分かってるのになんで昨日冴子さんに入れたんだ?オレ達が狼なら、どうしても敦さんを吊らなきゃならない盤面だっただろ?!」

光晴は、渋い顔をした。

「まあ…徳光も、それで考え直したんだって言ってたけどな。全員が冴子さんって、あり得ないだろうって。どうせ明日には全部見えるのにって。」

敦が言っていたことだ。

久司は、反論した。

「どうせ、今夜敦さん吊りで明日オレとの一騎討ちなら勝てると思ったんじゃないか?それしかもう、狼の勝ち筋はないもんな。昨日冴子さんに入れたのも、どうせ吊られるならそれを言い訳に今日、敦さん吊りを推そうと思ったからなんじゃないのか?それとも、芽依ちゃん狂人に賭けてるのか?もしくは、本当に芽依ちゃんが狼だから?」

聖子が、頷く。

「だよね。そう見える。冴子さんがあからさまに怪しいから、もう切るしかなかったもんね。でも、それを理由に今夜敦さんさえ吊れたら、明日勝てる算段があるように見えるわ。明日気付いた時には、もう遅いのかも知れない。」

敦が打った白が、効いて来ている。

久司は、思った。

昨日、聖子に白を打って居なければ、聖子も敵に回っていたところだ。

全部敦に頼って来たが、今夜はなんとしても敦を守りたい。

久司は、そう思っていた。

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