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六日目朝の会議

徳光、光晴、喜美彦、久司、芽依、敦、冴子、聖子の8人は、リビングに集まっていた。

今回は徳光はソファに座り、光晴がホワイトボードの横に立っている。

18のソファにたった8人なので、みんな隣りと間を空けて座っていたが、冴子の目はギラギラとしていて、その隣りだけ大きく空いていた。

聖子は、冴子に対してあからさまな疑惑の視線を向けていて、どうやらまだ黒を打たれたわけでもないのに、敵対心を燃やしているようだ。

全ては冴子の思い込みなのだが、それが狼には有利に働いていた。

光晴が、言った。

「じゃあ、占い師の話を聞こうか。まずは、敦さんから。敦さん目線の狼位置を聞きたいんだ。」

敦は、頷いた。

「私目線では、恐らく昨夜襲撃された永宗は真の相方だったので、喜美彦が黒。そして私自身が知っている黒の、冴子さんだ。他の狼位置だが、残った聖子さんは白だったし、昨日吊った拓也は偽であろうと白。なので、噛まれていない芽依さん、吊られた真智子さん、舞さん、正高の中に2狼ということになる。その場合、氷雨は狂人なのか背徳者なのか分からないが、もし拓也が狂人だった場合は背徳者だろう。」

光晴は、頷く。

「まだ、敦さん目線では芽依ちゃん真もあるんだよな。」

敦は、頷いた。

「その通りだ。占っていないので判断できない。そもそも、まだ氷雨が偽で永宗が相方だったのかも分からないのだ。状況上そうだったのではと言うだけで。氷雨は芽依さんと辰巳にしか色を残していないし、永宗が間違えて冴子さんの白位置に黒を出してしまった狂人ということも、あり得ないことではない。なので、喜美彦のこともまだ狼だとは断定できないのだよ。ほぼほぼ囲われた狼なのだろうなと言うだけで、吊られた中に多く狼が紛れていたならこの限りではないからな。」

光晴は、冴子を見た。

「じゃあ、冴子さん。冴子さんは今朝、敦さん、久司、拓也、聖子さんが狼で永宗が狂人だって言ったけど、だったら永宗噛みはおかしくないか?」

冴子は、答えた。

「そんなの、私は狼じゃないもの、分からないわよ!でも、その4人だと思うわ!だって聖子ちゃんは私に攻撃的だし、拓也さんだって敦さんの白先だし、敦さんが全員囲っていたんだと思ったの!私が狼なら、対抗の結果を出してる永宗さんなんか噛まないわ!昨日もそうだったでしょ?噛みがおかしいのよ!どうして私が狼なら、わざわざ怪しまれるのが分かっているのにそんな不利な所を噛むの?陥れようとしている噛みなのよ!」

だから、主観的過ぎて共感できないんだって。

久司は、思って聞いていた。

徳光が、言った。

「だが、昨日もそれで吊りを逃れたわけだけど、結局今朝もだ。その言い訳のために、そう噛んだように見える。昨日それで上手く疑惑を反らせたから、もう一度噛もうって。狼にとって真占い師2人はキツいもんな。敦さんには黒を出してるから噛めないし、永宗を噛んだようにも見える。芽依ちゃんは…確かに怪しいけどな。本来の噛み筋は、芽依ちゃん真ならそこのはずだし。」

芽依は、言った。

「私は真狩人よ。でも、多分縄消費のために残されたんだと思う。今夜は必ず敦さんを守るから。この空気だと、冴子さん吊りなんでしょ?」

冴子は、芽依を睨んだ。

「あなたが真なら、どうしてそんなにあっさり私を吊るなんて言えるの?もう、分からなくなったわ!だったら拓也さんが真で、芽依ちゃんが狂人なのかも。」

コロコロ変わるなあ。

久司は、恐らく焦りと憤りで、冷静な判断ができなくなっているのだと少し冴子に同情した。

あちこち攻撃して、これでは票を入れてくれと言っているようなものだ。

敦が、言った。

「…村は、良く考えた方がいい。」皆が敦を見ると、敦は続けた。「私は真だ。だが、村目線では冴子さん真もあり得るのだ。2人のこれまでと白先の言動を思い出して、落ち着いて答えを出せ。なぜなら、これで残った占い師の真決め打ち進行になるからだ。冴子さんを吊るなら私を真とおいて明日からは私の黒から吊って行く。私を吊るなら、冴子さんの黒先を吊って行く。そうしないと、負けるからだ。今夜が最終日だと思うと良いだろう。徳光も、面倒かもしれないが、襲撃で眠る前にしっかり考察を残して村勝ちを確かなものにしろ。ここまで、君を信じて村は動いて来たのだ。しっかりしろ。」

そうなんだけど、なんでここに来てまだ敵に塩を送るようなことを言うのかなあ。

久司は、狼だってギリギリなのに、と、少し憤った。

が、敦からしたら、フェアではないとでも思うのだろうか。

徳光は、神妙な顔をした。

「…そうだな。君の言う通りだ。ここまでオレが進行してきたのに、ここへ来て後は丸投げなんて、無責任だよな。」

冴子が、苦々しい顔で言った。

「そうやって耳ざわりの良いことばかり言って。あなたは私達を騙して来たんじゃないの!久司さんもよ、迷ってるふりなんかして、すっかり騙されていたわ!」

だから、落ち着いてって今敦さんが言ったじゃないか。

久司は思ったので、言い返した。

「本当に分からなかったからだよ。でも、今はハッキリ分かる。オレが黒だと分かりやすく言ってくれたからね。オレは、村のために発言してきたし、誰かに合わせて潜ろうなんてしていない。人外じゃないからだ。初日から潜伏臭がするのは君の白先の喜美彦の方じゃないか。そこも昨日まではどうなのか分からなかったけど、永宗が噛まれるなら黒だろ。君が囲っているから、敦さんが囲ってるって聖子さんまで怪しむなんて。占ってもいないのにさ。」

冴子は、それにも言い返した。

「だから!私が狼なら、仲間が黒を打たれてる真占い師なんか噛まないわよ!あなた達が、私を陥れようと狂人の永宗さんを噛んだんでしょう!」

光晴が、ため息をついた。

「だったら、今朝も言ったよな。パワープレイのためにも、残して置いた方が良かったじゃないか?芽依ちゃん噛みでも誰も疑いはしなかった。君が言うように、敦さんと久司、聖子ちゃんが狼なら、狂人の永宗を残しておけば4人で仲間を吊れなくなるんだ。こんなまどろっこしいことをする必要はなかった。なのに、芽依ちゃんを避けて永宗噛み。おかしすぎるんだよ。君の主張は通らない。」

聖子は、狼ではない。

なので、永宗を残していても正確にはパワープレイには持ち込めなかったのだが、冴子がそう思い込んでくれているので、良い具合に疑われてどんどん追い詰められて行く。

狼目線でも、気の毒になるぐらい冴子は孤独だった。

「…そんなこと…私には分からない!私をいたぶるためにこんなことをしているとしか考えられない!私は真占い師よ!」

虚しく声は響いたが、誰も庇おうとはしなかった。

喜美彦ですら、黙ってそれを聞いている。

恐らくは、敦から黒を打たれたわけではないし、敦自身がまだ分からないとお茶を濁していることで、喜美彦自身もどうすれば良いのか分からないのだと思われた。

なぜなら、ここで何か言ってしまったら、それでなくとも冴子と一緒に疑われてニコイチのように扱われているのに、さらに黒く見えて来るのを恐れているからだろう。

冴子は、誰もが疑惑の視線を向けて来るのに耐えきれず、結局そのまま走ってリビングを出て行ってしまった。

光晴は、非情に会議は打ち切ると宣言し、次は投票時間の集合となってしまったのだった。

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