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五日目の夕方

徳光は、もう決めた、と、投票時間まで集まらないと宣言していた。

つまり、今夜は拓也吊りで、芽依は生き残っていたら明日吊るかもしれないし、護衛を成功させることがあれば残す方向で行くと決めていた。

だが、狼には噛みナシ選択もあると拓也は反論したが、今は偶数進行なので、縄が増えるだろうしそれでもいいと言うのだ。

その場合、最後の縄を芽依に使うということらしかった。

村人は何も知らないが、拓也が吊られたら狼は2人になり、狂人の永宗と3人だけになる。

今は10人、明日は8人残りで確定白の光晴と、徳光を抱えているので狼には不利になって来ていた。

今夜は、冴子か敦が聖子を占う事になるのだろうが、もし敦が聖子なら、冴子は久司を占うだろう。

久司に黒が出てからも、村人は久司を白だと言って冴子を偽置きしてくれるのだろうか。

久司は、急に不安になって来ていた。

話し合っていた内容から考えると、拓也が吊られた場合は最終日を見越して永宗を襲撃し、冴子偽の印象を強くしてから喜美彦、冴子と吊って行くことにしたいのだが、しかし村の雰囲気は思ったほど冴子を偽とは決め打ってくれていない。

冴子があんな弁明をしたばかりに、永宗噛みは更に冴子を追い詰める形になるので、狼ならしないと言われてしまう可能性が高くなっていた。

…ヤバいかも…。

久司は、眉を寄せた。

敦は真を取れそうなのだが、噛みで冴子が不利過ぎるので、逆に怪しまれる事になっている。

久司は、リビングで一人座って窓の外を見ながら考え込んでいると、脇から声がした。

「考え事か?」

久司が振り返ると、光晴がそこに立っていた。

「光晴。うん、そう。拓也を吊るってのが…結局、芽依さんが真でも偽でも、白だったら噛まれてしまうんだろうなと思ったんだ。つまり、どっちが真だったかわからないままに終わるってこと。」

光晴は、久司の対面のソファに座って、頷いた。

「そうだな。だが、結局徳光は、真狩人を決めるより、真占い師を決める事に重きを置いたわけだ。どちらにしろ、狩人二人が居なくなれば、1人外は落ちる。冴子さんの視点把握漏れはかなり追い詰められている狼のそれのように思うし、狩人を最悪ローラーしても村は大丈夫そうだ。これまで吊ってきた中に、狼が居なかったとは思えないんだよな。」

久司は、言った。

「光晴は敦さん真だと思う?」

光晴は、頷く。

「それは間違いないと思う。何しろ、敦さんは白先の拓也ですら庇う様子はないし、狂人の線もあると言う。意見が偏ってないから、冴子さんよりよっぽど真だ。お前は違うと思うのか?」

久司は、答えた。

「いや、昨日の冴子さんの意見は真っぽいかな、と思ったんだ。と言うのも敦さん狐は有りそうだと思ったから。でも、今朝敦さんは生き残っていたし、襲撃されたのは確白になるはずだった辰巳だった。4人の内2人が真で、3人から白をもらったら確白だからね。敦さんが狼だったら、噛まずに残して黒を打てば良かったと思うし。狐はあり得ても、狼は絶対あり得ないよ、敦さんは。その敦さんの黒先の冴子さんが久子さん狐の意見を出してたし、狐は久子さんだったんだろう。狩人が両方共に敦さんを守っていたのは、冴子さんからしたら想定外だったんだろうな。それで、疑われて、久子さん噛みの真実を言うしかなかったように思う。」

光晴は、何度も頷いた。

「オレもそう思った。狼からしたら、昨日の朝は想定外だったんだ。だが…」と、顔をしかめた。「昨日の噛みなんだよ。敦さんは護衛されていないんだから、呪殺を装って噛めば良かったのに。それをしなかったのが、なんでだろって。敦さんは、信用勝負するには手強い相手なのに、それを選んだわけだろ?噛んで、久子さんが狐なんだから背徳者が居たら一緒に今朝消えただろうし、襲撃だとは誰も思わなかっただろう。ま、実際は背徳者はどこかで落ちていたようだがな。」

久司は、わざと首を傾げた。

「…もしかしたら、永宗も真だからじゃないか?」光晴は、眉を上げる。久司は続けた。「敦さんを噛んでも、永宗は残る。結局永宗との決戦になるだろう。敦さんを偽置きできても、永宗と敦さんは完全に繋がっているわけじゃないから、永宗も偽とは言えない。呪殺は、襲撃だったら確定できないから冴子さんの偽は引き続き追われる事になるし、それでは永宗との戦いに勝てないと踏んだんじゃ。何しろ、冴子さん目線じゃ永宗には白を出してしまってるから、敦さん狐なら占い師に狼が居なくなるんだ。だとしたら、グレーに狼が居る事になるが、数が合わない。吊ってきた中に狼が居ると主張しないと、残りは全部狼になるから、その村人の票をもらう事になる。後々辻褄を合わせることを考えて、敦さんを狼にして何とか狼の数を合わせようとしているんじゃ。」

光晴は、顎に手を置いて考えた。

「…確かに、このままじゃあちこち綻びが出て来るよな。今10人だが、それぞれのグレーは3人ずつ。そこは必ず狼でないと、数が合わない。だが、冴子さんのグレーって言うとお前と聖子ちゃんと拓也だけだろ?冴子さん目線じゃ拓也を囲ってると主張して、聖子ちゃんと久司も狼でないと、吊ってきた中に狼が混じっていたことになる。まあ、敦さん目線でもそうだ。喜美彦と聖子ちゃん、芽依ちゃんの全部が狼でなければ、吊ってきた中に居る事になる。なら、やっぱり今はどちらの目線でも狐と狼最低一匹は処理されていると考えられるから、今夜真狩人を吊っても大丈夫そうだな。」

久司は、顔をしかめた。

「…オレが心配してるのは、冴子さんが狼で、氷雨が背徳者で、喜美彦と芽依ちゃんで囲われていることなんだ。」久司は、わざと疲れたように下を向いた。「明日は8人だろ?そこに、冴子さん、芽依ちゃん、喜美彦、その上もし、どこかに潜伏狂人でも居たら…狼は、自噛みはしないだろう。そのままで勝てるから。芽依ちゃんが吊れなくなる。芽依ちゃんが偽でも狂人だったら、助かるんだけど。その場合、聖子ちゃんが狼だったら終わりだけどね。」

光晴は、顔を険しくした。

「…確かにな。だからお前は、拓也を吊るのを怖がるんだな。」

久司は、頷く。何とかこじつけられた。

「そう。何とか偽の方を今夜落としたいからね。もちろん、これまで吊ってきた中に黒が2人居たら大丈夫かもだけど。」

光晴は、ため息をついた。

「徳光に話して来る。とはいえ、あいつはもう疲れてるみたいで、考えたくないみたいなんだ。拓也を吊ると決めて、思考を止めてる。とりあえず、何とかそれを話して二択にはするが、恐らく冴子さんが偽なら勝ちをみすみす逃す票の入れ方はしないから、拓也から動かないとは思うけどな。とはいえ、さっきは拓也が狂人とか言ってたし、ボロも出てる。切るのが得策だと思ってあんな風に言ってたが、拓也に入れなくても怪しまれないなら芽依ちゃんに票変えするかもしれない。一応徳光に許可を取って、投票前に危険性を話す事にするよ。後は、村の判断だ。」

やれることはやった。

久司は思って、光晴に頷いた。

この光晴の信頼も、明日冴子から黒を打たれたら消えるのだろうか。

久司は、今夜はどこを噛むべきなのかと、必死に考えていた。

永宗を噛んだら、村は真を追ってくれるのだろうか…。

だが、狼陣営の仲間が削られるのは、不安で仕方がなかったのだった。

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