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パン屋の悩み

狐位置がわからない。

狼目線、真占い師であった氷雨に昨夜占われている聖子は、もう狐ではなかった。

永宗は相互占いを推していたので狐ではないと思っているが、結果的にそうなってはいないし、それから強く反論してどうしても相互占いをと言っていたわけでもないので、まだ可能性は捨て切れなかった。

久子は、昨日護衛が外れた事にショックを受けていたので、狐ではないと思っていたが、あれがもし狼に狐だとバレるのを恐れた反応だったら?

もし、噛まれているのに無事だった場合、狼目線からは護衛が入っていないのを知っているので、狐だと透ける。

それを恐れたのではないかと思ったのだ。

そう考えると、段々に久子狐が濃厚なのかと思えて来た。

だが、なぜ霊能者に出たのだろう…?

久司が、考え込んでいると、例によって正高と敦が、久司の部屋に入って来た。

「あ、ちょうど話したいって思ってて!久子さんが狐なのかな。」

敦は、頷いた。

「こうなると、そう考えるしかない。というのも、狐は霊能者には出ないと思っていたが、それは恐らくこのゲームをしたことがある者には常識だろう。それを、逆手に取った可能性がある。」

正高も、頷いた。

「オレも一回やったことあるんでぇ。良いとこまで生き残った。なぜなら霊能者は占われないし、霊能者が二人居る村になると、一人の村よりローラーする率が低い。上手いこと嵌まると、最後まで行ける可能性があるんだ。占い師だと永宗が言ったように相互占いとか言われてすぐに消える可能性が高いんだが、霊能者はそれがない。だから、恐らく久子が狐。で、思ったんだが、多分舞ちゃんが背徳者だったんじゃねぇか?昨日庇ってたのも、狂人だと思ってたから狼を庇おうとしてるのかと思っていたが、背徳者だったら分かる。最後に、舞ちゃんは久子に問いかけてたじゃねぇか。入れた女子は、久子だけじゃねぇのに。」

もはや呼び捨てだ。

それで危うく久司吊りになるかもと思う所まで言い合いになったのだから、恨みもあるだろう。

「…そうか、占われない。霊能者だから、あって狂人とか考えるから。でも、確信はないよね?永宗だって、結局相互占いを提案したけど、強くは推さなかったもの。結果的に占われてないし。」

敦は、頷いた。

「その通りだ。わからない。なので、とりあえず今夜噛んでみて、噛めなかったら狐だと判断しようと思っている。徳光は、もう霊能者に護衛を入れるつもりはない。残りの占い師を守ろうと考えるだろう。なので、今夜は…恐らく、氷雨が噛まれたので氷雨のグレー吊りになる気がする。正高が頑張らねばならないだろうな。私は君と、拓也を庇う理由はあるが、正高を庇う理由がない上、永宗の信用はそれほど高くはない。喜美彦に黒を打っているので、それが信用されるかどうかも疑わしいからな。出来る限り誘導尋問するが、とりあえずここは、狼同士意見を違えずやろう。ここで仲間が減ると、勝ち確定盤面が遠ざかる。」

だが、久司はふと思った。

狼目線、氷雨と冴子が真占い師だ。

だが、久子は初日のお告げ先が、久子なのだ。

「え、ちょっと待ってくれ。」久司は、慌てて言った。「よく考えたら久子さんって冴子さんの白だった。狐じゃないんじゃないか?」

敦は、息をついた。

「しっかりしろ、ルールブックを見たか?初日のお告げだけは、狐に当たることがあって、呪殺は起こらないのだ。理不尽だから、恐らくそうなったのだろうが、それで狐が生き残る確率を上げている。最初の説明の時も言っていたではないか。久子さんは、もしかしたら自分に白が当たったので、意を決して出た狐である可能性があると私は思ったのだ。」

マジか。

久司は、テーブルの上を見た。

そこに鎮座しているルールブックは、少し埃を被って来ていた。

同じようにテーブルの上へと視線を移した敦は、その有様に呆れたような顔をしたが、そこで正高が、ハッとした顔をした。

「…誰か来る。」と、二人を見た。「恐らく徳光。」

だから何で分かる。

久司は思ったが、黙った。

ほどなくして、扉がサッと開いて、正高が行った通りに徳光がそこに立っていた。


「…なんだ、敦さんもここに居たのか。」と、入って来てため息をついた。「正高も。今夜どこから吊るべきなのか、分からなくて相談に来たんだ。敦さんは部屋に居なかったし、もしかしたらって思って。」

敦は、頷いた。

「私目線では久司は白だからな。正高には廊下で会った。それで?煮詰まっているのか。」

徳光は、大きくため息をついた。

「そう。光晴にも相談して来たんだが、狼の意図が分からなくて。何で氷雨を噛んだんだろうかって。狼目線、氷雨が狐かもしれないから、試しに噛んで来たのかもしれないって光晴は言っていたが、噛めてるからな。どう思う?」

敦は、答えた。

「確かに狐を探した噛みにも見えるな。だとしたら、氷雨が偽だと知っていることになるので、芽依さんと辰巳はどちらかが狼なのかも知れないとなる。私は真なので、今朝そこの一つの辰巳に白を打った冴子さんもにわかに怪しく見えて来る。」

徳光は、頷いた。

「オレは氷雨が真の一人で、敦さんには護衛が入って居そうだから氷雨を噛んだのかと思ったんだ。そうだとしたら、どうして狼がそこを真だと思ったかとなるけど、永宗と冴子ちゃんの白先に、狼が居るからじゃないかって考えた。冴子ちゃんは久子ちゃんと喜美彦、永宗は聖子ちゃんと正高。正高は白いとオレは思っていて、そうなった時、今朝襲撃されていなかった久子ちゃん、昨日占われているはずの聖子ちゃん、初日疑われていた喜美彦。この三人の中に、狼が居て白を打たれたことで、その占い師が偽だと分かって、それで他の二人が真だと知って、守られそうな敦さんを避けて氷雨を噛んだのかって、そんな風に思ったんだがどうだろう。」

村目線では、そう見えるのか。

久司は、思って聞いていた。

敦は、考えるように言った。

「…君は思ったより鋭い所を考えているな。だとしたら、どちらかが狼で、どちらかが狐陣営という事になるから、いずれにしろその白先に狼と狐が囲われている可能性が高い。氷雨が真だったなら、聖子さんは占われているはずなのに無事な事から狐ではない事が分かるが、狼である可能性はある。人外がそこに集中していると見たら楽でいいのだが…しかし、そう簡単に行くのかという疑問も残るな。氷雨の白先に狼が居て、氷雨を偽だと知って狐なのか背徳者なのか、それとも狂人なのか分からない狼が、試しに噛んで来たとしたら…何しろ、噛めても真だと置かれたら自分は確定白に置かれるのだ。漂白噛みというやつだな。」

徳光は、顔をしかめてガックリと肩を落とした。

「…君もそう思うか。光晴も同じような事を言っていた。どちらか分からない以上、どっちかを想定して今夜吊り先を決めなければならないが、オレにはどっちなのか決められない。だが、光晴も君も言うように、漂白噛みの線を追って、氷雨の白先を疑った方が良いのだろうか。」

敦は、首を傾げた。

「そうだな。どちらなのか、私にも決められない。狼だって馬鹿ではないので、そう思われることは考えていただろう。氷雨の白は芽依さんと辰巳だが…今朝冴子さんに白を打たれた、辰巳の方がより黒く見えるのは確か。さらに囲ったように思えるから。だが、氷雨が偽なら私目線で永宗か冴子さんに真は必ず居る事になるから、悩ましいところだ。今日は、占い師を精査してはどうか?吊れというのではなく、まずそこから始めて、その後疑わしい占い師の白先から吊る。ちなみに狼がまだ結構残っているはずなので、よく見て決めた方がいいぞ。」

徳光は、それを真剣に聞いて、頷いた。

「分かった。ありがとう。じゃあ、また朝の会議で。」

狼に相談してるんだよ。

久司は、徳光が気の毒に思えて来たが、黙ってそれを見送ったのだった。

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