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第三話 国家間及び民族間の信頼関係を破壊するならず者!月山 明博(げつさん あきらひろし 78歳)に天誅のチュー!後編







 ―――同日 日本海上空 戦闘機はやぶさ機内――――


 「今日の白兄のさ、白弟に言ってた『こうあるべきを前提にして嘘に嘘を重ねている状態』って言葉あったけど、これってよく考えると誰でもみんな多かれ少なかれやってることなんじゃないかなって思うんだけど?」


 どう思う?とラスフに問いかけられたジョーカーくんは、確かにそうかもなと思った。例えば自己アピール、自分はこうあるべきと設定して意識的無意識的にプロフィールを多少大袈裟に外聞良く相手に伝える行為などは、見方を変えればただの嘘と言えるのではないか。


 「確かにそうかも知れない、だからポイントはその嘘が社会やまわりの人たちに悪影響を及ぼすか否かにあると俺は考えるよ」この回答に彼女はあまり納得していないようで、まだ何かを考えていた。


 「いいかの?今わらわたちが生活しておるこの現代社会は大量生産大量消費主義を維持するため嘘に嘘を重ねて成り立っておる状態じゃ、そこに住まう構成員もまた自然と嘘に嘘を重ねる生活をおくることになるのじゃろ、例えば地球環境破壊に加担している自分を悪くないと誤魔化すための嘘とかの、わらわはそう思うぞよ?」


 「ウソツキチキンランなんだヨ!ナンでも限界を超えれば崩壊するダロ?積重ねたウソも同じサ、崩壊する前にウマくまとめるか、最悪崩壊してもソフトランディング出来ればイーンじゃね?っとチョン星が見えてきたゼ!?取りあえず目の前の仕事に集中しようナ?」


 ジョーカーくんはアカルの顔になり、旗子の顔になっているラスフを見つめている。旗子は前方のチョン星を見つめながらつぶやいた。




 「なにかに『なろう』という努力もせずなにかになった気になっているひとたちが、自分はこうあるべきだという自己暗示的な嘘を重ね続ける、それがこの世界(なろう小説の世界)の本質なのかもしれない」







 ―――同時刻 日本――――




 白 善要は遺書を書く手をしばしば止めては思い出していた、チョン星の大統領になる前の月山先輩と語り合った夢を。


 どこで歯車が狂ったのだろうか?もしくは状況を楽観視しするという嘘を、自分自身に吐いてきたことがここにきて破綻したのだろうか?


 月山先輩と語り合ってまとめた考えが、白兄の夢「在日チョン星人が日本人とチョン星人の真の架け橋になる」の基礎部分を構成していた。




 『まずはチョン星内外の慰安婦詐欺の像を全部自発的に引っこ抜かせよう!そして次に世界中に慰安婦詐欺を吹聴したことの謝罪をさせよう!』


 『さらに世界中に慰安婦詐欺がチョン星引き揚げ日本人に対して行ったチョン星人の非道を覆い隠すためのプロパガンダだと周知してまわらせよう!』


 『最後に竹島に武力侵攻した際の蛮行を謝罪させ、チョン星人の働きかけでリアンクール岩礁という名称を取り下げさせ、竹島を日本固有の領土として国際的に確立された唯一の名称にしよう!』




 しかし自称CIA諜報員のサミエル・ヒューストンから伝え聞いた情報では月山先輩はチョン星の大統領として「竹島に上陸」して「天皇陛下に謝罪を要求」するという。


 急落した支持率を反日で巻き返すためとはいえ、他にやりようは無かったのか?今回のこれは確実に一線を超えている。そしてチョン星生まれのチョン星人がこれを行うのと、元在日チョン星人がこれを行うのとでは意味合いが大きく違う。


 もしこの凶行が実現したら、チョン星人の未来も自身の未来も閉ざされる、そう白兄は確信していた。またこれまで月山先輩を民族間関係改善の希望であると公言し周囲に支持を募ってきた自分の立場は確実に瓦解する、何が起こるか想像するだけで正気を失いそうだった。




 白兄は必要な分の遺書をすべて書き終えた、一通を除いて。白兄の小さな恋人、竹島貴子宛の分で手が止まり動かなくなっていた。まるで死までをも感じさせるその生気の無い硬直に、白兄が如何に無念かを強く感じることが出来た。







 ―――同日 チョン星――――




 戦闘機モードのはやぶさを駆ってチョン星に到着したラスフとジョーカーくんを出迎えたのは、反日工作員集団「低他意狂」の指示で動く「酔妖怪」のメンバーたち、そして、


 「なんて…禍々しい光景なの…(醜いのう…)」今、まさに立ち上がらんとする巨大少女像型ロボットだった。像の足元で熱狂する酔妖怪のメンバーを蹴散らしながらほどなく直立し、両手を真上に伸ばして雄叫びを上げた「マ ン セェェェー!!!」


 「なんだよアレ、20メートルはあるゼ!?」「はやぶさくん、あの人型ロボット、振り切れそう!?」「やってみる…っと、敵の援軍を確認、追加の巨大少女像型ロボット多数接近中デsu…!」はやぶさくんの機関砲による攻撃は酔妖怪のメンバーに当たる可能性があるので使えない、ラスフの判断だ。


 巨大少女像型ロボットは次々と集結してくる、気が付けばラスフたちは数十体に取囲まれていた、どんだけおっ立てたんだよ、という話である。「上昇して上空に逃げようゼ!?」「ダメッ!頭を抑えられてる!」緑色の戦闘機を上昇させまいと黄色の蝶型ドローンの大群が上空で不気味な羽音をうならせながら身構えているのが見える。


 「(まずいのう、さらなる敵の増援じゃ)えっ!?あれって!巨大徴用工像型ロボット!」「(アカル、もう選択の余地ネーヨ!)…旗子、使うぞ?」「(アカル殿!頼んだ!)ッ!!…アカル、うん」




 ―――ジョーカーで浄化!―――




 おじゃまジョーカーくんは誕生して以来、これまでも多数この「悪人同士を争わせる術」を使ってきた、しかし―――


 「(ナンだよコレ!本物の地獄が地上に出現したンじゃネーカ!?)全員が全員、争ってやがる…クソッ!」―――ここまでの悲惨な効果が出たことは無かったし、出るとは想像も出来なかった。


 一発の術でチョン星全土が一瞬にして地獄になった、まるで限界まで嘘で膨れ上がった風船が針の一刺しで破裂したかのようだった。資本主義のショールームがゲテモノ見世物小屋に、ちょっとした切っ掛けでシフトしたのはある意味、必然だったのかも知れないが。


 巨大少女像型ロボットの大群は無慈悲な襲撃と私刑を、少数の巨大徴用工像型ロボットに対して行い、その後巨大少女像型ロボット同士で大乱闘を始めた。その足元では「低他意狂」の詐欺師たちと自称元性奴隷の詐欺師たちが取っ組み合い殴り合っていた。


 俯瞰して見わたせば星中のチョン星人同士が血まみれ糞まみれの死闘を繰り広げていた。老いと若きが、男と女が、進歩と保守が、金匙と土匙が、カンナムスタイルとガンギエイが、チョン星人と在日チョン星人が、考えられるありとあらゆる対立属性が「ウリ」と「ナム」に別れて地獄を練り上げていた。




 「ッ!ここは俺が足止めしておくから!旗子は早く月山を止めに行くんだ!(もうすぐ月山が竹島行きのヘリに乗込むゾ!)」「くっ!わかったよ!わたし、いくね!(アカル殿!ジョーカー殿!頼んだぞよ!)」「旗子ちゃん!はやぶさジェット戦闘機モードでトばしていクyp…!」




 ―――その時!―――




 「独島は我が領土!」星中の街頭スピーカーから大統領の声がひりだされた、この大音量なんらかの術を使っているのかもしれない。「繰り返す!独島は我が領土!」そのひと声にこれまで繰り広げられていた地獄のうねりの喧騒は、瞬く間に静まり返る。


 「私は大統領の月山だ!これから独島防衛に向かう!そして日王に心からの謝罪を要求する!」騒めきだすチョン星人たち「だからこの星すべてのウリたちよ!反日の下にウリ団結せよ!独島は我が領土!独島は我が領土!」そしてその演説に呼応するかのように絶叫を始めるチョン星人たち。


 「独島は我が領土!」チョン星人は皆「独島は我が領土!」恍惚とした表情「独島は我が領土!」それはまるで「独島は我が領土!」禁断症状で苦しむ麻薬中毒患者が「独島は我が領土!」麻薬を強奪し喰らった直後のような「独島は我が領土!」破滅の歓喜であった「独島は我が領土!」「独島は我が領土!」「独島は我が領土!」「独島は我が領土!」「「独島は!」」「「独島は!」」「「「「我が領土!」」」」




 「日本のせいだ…勿論アメリカの責任も大きいけど…こんな化け物を育て上げたのは日本のせいなんだ!」熱狂する群衆を見つめるラスフの頬をつたう涙は同情のものか、それとも無念のものか「いこう!はやぶさくん!一刻も早く月山を止めよう!」「おk…!」


 ジョーカーくんに背中をまかせて一路、月山に向かうラスフとはやぶさくんであったが、しばらくして…「やっぱりッ!ダメッ!わたし、やっぱり助けに行かなきゃ!」急旋回するイオンジェット戦闘機はやぶさ「日本人を、困ってる人たちを見捨てることなんて出来ない!」


 ラスフの神様EYEを通じてチョン星を見渡せば、各都市部でチョン星人暴徒の日本人狩りと親日派狩りの悲惨な様子が見て取れた。アカルからのテレパシーが届く「旗子!聞こえるか!こっちは出来る範囲でジョーカーくんの分身の術で対応する、だから旗子は月山を―――」


 「それじゃダメ!わたしが各都市をはやぶさくんと巡ってチョン星人たちに天誅のチュー!をして暴動を止め…(ァァァア喝!心意気は立派じゃが!魔力切れで死ぬぞおぬし!)」「旗子!月山を止めに行ってくれ!破滅を食い止められるのは旗子だけなんだ!(タイムリミット超えたゾ!)」


 JAP18とシャッターに大きく落書きされた店が燃えている、718(チルイルパル=親日派)と落書きされた銅像が打倒されている、旗子は自分の無力さに叫び出したかった、どうしたらいいのかまったくわからず気が狂いそうだった。




 ―――その時!―――




 「日本人の皆さん・安心してください・こちらは自衛隊です・皆さんを救助します・指示に従ってください…」スピーカーから大音量の心強い日本語、通信団超常通信隊 旭日一尉の駆るヤマタノオロチがその背に自衛隊邦人救出特別班を乗せて先陣を切ってチョン星に飛来した!他の都市の在チョン星日本人も全員もれなく救出すべく、オスプレイに搭乗した救出特別班がチョン星各地に展開しているのが見える!


 「助けを求める自国民を助けられないでなんの自衛隊か!」旭日昇は吠える!「お父さんカッコイイ!(いい面構えじゃのう!いけめんと言うのじゃろ?)」


 「痔民のひりだした糞政策が喰らう莫大な予算のほとんどを電痛がごっそり中抜きしやがった!銀行の手数料だけで17億円かかる?その予算は国民の血税だぞ!その金をコロナで困ってる人たちに使えってんだよボケェ!」旭日昇はまたも吠える!「どさくさ紛れに政治屋の愚痴を叫ぶお父さんなんて見たくなかったよっ!(大人はいろいろあるんじゃ)」


 「ラスフちゃん、いや、旗子、よく頑張ったなッ!」「おと、うさん、知ってたんだね!」「ここは自衛隊と小見川君にまかせておけ、旗子には、旗子にしか出来ない務めがあるだろう?」「わかった!いってくる!」「義父うさん、はじめまして、旗子ちゃんのカレシのはやぶさデsj…!」「ほら!いくよ!はやぶさくん!」




 「あっそうだ!お父さん!チョン星のうんと、うーんと北の方からも日本人が助けてって言ってるのが聞こえたよ!」「ほう?」眼光鋭くニヤリと微笑む自衛隊員「詳しい場所はアカ…ジョーカーくんが知ってるから一緒にいって、全員助けてあげて!じゃっ!」戦闘機は音を残して目的地に急行した。


 「ハハーン、日本人が助けてと言っているんじゃあ、助けに行かない訳にはいかないなあ、フフフ」テレパシーを通信団本部に飛ばす旭日一尉「引続きチョン星北部の日本人救出任務にあたります」「了解した、思う存分やってみろ」「髭野防衛大臣殿、政治屋になってナマクラになったかと心配しておりましたが、安心しました!」「旭日、拉致被害者救出、頼んだぞ!」その言葉にワッと歓声が上がる市ヶ谷のB塔であった。


 「よっしゃ!そんじゃあ一丁気合い入れていきますか!乗ったか小見川君!」ヤマタノオロチの背に乗るアカル「はい!乗りま「よし出発!」うわあ!ふっ、振り落とされるーッ!(ツーかこれ、振り落としにきてんダロ!今日はこんなンばっかダヨ!)旗子のおじさん!この高さから落ちたら自分死んじゃいます!コレ洒落にならないっスゥゥゥ!ギョワァアアア!!!」


 「ああん?小見川ぁ、てめえこのあいだ俺のプリンセスちゃんと、手えつないで下校したんだってなあああ?くっ!ならばここで昇天しても、悔いは無えよなあああ?ああん?」「大アリ!大アリっスよ!」「『ボク、旗子ちゃんと結婚したあと、この義父さんと上手くやっていけるのかなあ…』とか考えてんだろてめえ!オラッ!オラッ!」「考えてないっス!痛いっス!痛いっス!(落ちる!マジで落チちゃうヨ!)」


 しかしやるときゃやるのがノボルとアカルの共通ポリシーである、旗子LOVEの合言葉のもとでふたりは絶妙のコンビネーションを発揮し、拉致被害者とその関係者を漏れなく救出、全員引連れて日本国に無事帰国することになる。




 一方その頃、竹島に向かっていた日本海上空のラスフとはやぶさくんは「(どうやら間に合わなかったようじゃの、これから月山の演説が始まるぞよ?)…いや!まだ間に合うよ!出来ること、まだある!はやぶさくん!(ほう、白兄のもとに向かうのか!)超特急で!」「しっかりボクにつかまってテne…!」行先を日本に変更していた!白兄の早まった断行を阻止するべく!間に合え!ラスフちゃん!







 ―――同日 チョン星TV 19時のニュース 独島より大統領緊急発表生中継――――




 放送開始、映し出された月山は作業着のような服を着て支持率回復急上昇を確信している嫌なにやけ面をしていた。その後ろには軍の護衛が見える、つまり他国の領土に軍隊を侵攻させるという侵略行為・宣戦布告を行ったのである。月山は演説を始めた。


 「戦犯の息子である日王が10年ほど前に、私にチョン星人慰安婦おばあさんとの仲介を頼んできたとき、私は日王にこう言ってやった」


 『チョン星人全員に心から土下座するのなら勝手に来ればいい、重罪人に相応しく裸にして手足を縛って頭を踏んで地面に擦り付けて謝らせてやる』


 『重罪人が土下座もせず、あいまいな言葉で過去をうやむやにしようとするのなら、その間抜けな顔を糞まみれにしてやる、心のこもっていない謝罪など通用しない、それなら入国は許さないぞ』


 「するとその時その場にいた日本のポルジャンモリが日王に対する不敬を謝罪しろと言ってきたが、『謝罪しなくてはならない側が謝罪せず、被害者であるチョン星人に謝罪しろとは何事か!盗人猛々しい!』と、一喝してやった」


 「さて、ここに素晴らしい作戦がある、作戦名『なんとしても日本人を差別して死にたい』これは日本をチョン星人が乗っ取り、日本国をチョン星の奴隷国にする作戦だ」


 「まずは在日チョン星人が日本国籍をとる、在日チョン星人の中には帰化に難色を示す人がいるが、在日チョン星人がたくさん日本国籍を取った方がいろいろ有利に事が運ぶ」


 「次にその帰化組の手引きで母星から移民を送り込み、この先どんどんチョン星系市民を増やす、すそうすれば、日本で大和民族がマイノリティーになる、日王なんて小数民族の酋長さんみたいなものになるであろう」


 「私には夢がある、私はあと一〇〇年生きて、この作戦で乗っ取った日本で、日本人どもを差別して虐めぬいてから死にたい、これが私の夢だ!」


 「世界のチョン星人同胞よ!反日の元に団結して!この夢を実現しようではないか!日本を世界のいじめられっ子にしてしまおう!ヤー、キブンジョッタ!」


 ひとりのならず者に国家間及び民族間の信頼関係が完全に破壊された瞬間であった。







 ―――同日 白家 白 善要 葬儀会場――――




 白兄の通夜の準備が整ったのは21時を過ぎた頃だった。会場には、憔悴しきった白弟を支えるかのように寄り添う根斗兄弟とはやぶさくんの姿が見える。また、お棺の近くで泣きじゃくる竹島貴子を無言で抱きしめることでなぐさめている旗子の姿も見えた。 


 そんな中、場違いな怒号が、いや怒号風のカラオケが始まった。「善要君は差別を!日本人からの差別を苦にして自殺したのです!彼は日本人の差別に殺された被害者なのです!」誰だか親族でさえ知らない参列者がノリノリで歌っている。


 そして葬儀に参列している鳳凰学園の教師たちを指さしながらこうシャウトした「そしてまた!善要君は学校で酷い差別を受けていただけでなく、教育の名の下に洗脳されていたのです!」桜井が一歩前に出たところを同僚の教師に羽交い締めにされ止められる。


 「善要君の心と身体を殺したのは鳳凰学園、鳳凰学園です!我々はここに謝罪と賠償を要求する!」親族と他の参列者たちはそのカラオケを止めるどころか合唱を始めた「謝罪と賠償!」「謝罪と賠償!」「謝罪と賠償!」「謝罪と賠償!」旗子の我慢が限界に達し、ラスフに変身しようとした。


 ―――その時!――― 「やめてーっ!」竹島貴子だった。


 「白兄が!白にぃが命懸けで守ろうとしたものを、侮辱しないで!」旗子とつないでいる手がふるえている「白兄が!私たちに話してくれた白兄の夢を」膝も泣いている「無かったことにしないでーっ!うわあああぁぁぁん!」崩れそうになる貴子を旗子は抱きしめて受止める。


 白兄の小さな恋人の訴えで会場は邪な空気を払拭し、弔いの雰囲気を取戻した。騒ぎを起こした主だった参列者たちは反省する様子もなく奥に引っ込み、酒盛りを始めていた。しかしよく見れば合唱隊をやっていた人たちの幾らかは反省しているようであった。


 旗子は腕の中の嗚咽で震える親友を抱きしめながら強く思った、貴子ちゃんの渾身の天誅のチュー!よ、在日チョン星人たちに届け!と。







 ―――同時刻 横田基地――――




 「おじゃまジョーカーくん、ホワイティのダミー死体、親族にバレたりしないよね?」「棺桶ひっくり返して死体蹴り上げるくらいしなきゃ術は解けないヨ!」「俺の親族ならファビョってそれぐらいやりそうだが?」笑えねーよと爆笑する滑走路脇の三人。


 「これからは日本人としての誇りを胸にアメリカに忠誠を誓って生きるよ」白兄はアカルに向き直って言った「日本人らしくね」「目指せ442部隊ってカ?先輩が日本にいなくなるの、日本の損失っス」


 「アカルも日系アメリカ人になるかい?ウェルカムだよ?CIAのパワーでカンタンにアメリカ国籍ゲット出来るのは見ての通りサ」冗談や社交事例ではない、白兄と同様のスカウトだった。アカルは無言で断りの意志を示す。サミーは外人がよくやる肩をすぼめるポーズをとって残念の意志表示をした。


 「俺はこれからCIAの諜報員として向うで生きる訳だけど、小見川たちに対する人質とか考えなくていいからな」「ウス、そんなの先輩に失礼っス」「なんかあったらすぐ腹切るから死んでると思ってくれよな」そう言いながらかわいい後輩の頭をくしゃくしゃする先輩、こういうのもこれが最後か。


 「そいうえばラスフちゃんって可愛いよな、付き合ってんの?」アカルが応える前にサミーが割って入る「今日これからお通夜の帰りの彼女を家まで送るささやかなデートなんだよな?」「なんで知ってんだよ!」「CIAなめんなよ?」


 「羨ましいな、俺も大好きな日本でそんなマンガみたいな青春してみたかったな…あ、そうだこの手紙、竹島貴子に渡してくれないか?」「ッ!ウス!」来たか!と思い一瞬動揺したアカルであった。受取った手紙を大切に懐にしまう。


 「俺は今回の件でチョン星人と日本人の友好を諦めた、まあ少なくともあのツァーリ・ボンバ演説で向う二世代の間は関係改善はまず無理だろ」「ウス…」「けど、あの娘は諦めてなさそうだよな」「ウ、ウス…特定の誰かたちとじゃなくてみんなでなかよくっスから、ウス」


 「行きつくところは彼女が傷つくだけってことになるんじゃないか?アカル、それでいいのか?」「ハーイ、タイムアップだよ!ホワイティはオスプレイに乗込んでね」お別れの時がきた「先輩、ご武運を!ウス!」「ああ、アカルもな」白先輩を乗せたオスプレイは夜空に消えた。







 ―――同日 夜の公園――――


 「やっぱりこうなったカー」いささか棒読み気味の、アカルともジョーカーくんともつかないしゃべりかたでつぶやいた。彼のまわりには在日チョン星人不良グループ「タバコで目え焼いたろ会」が変身したふたりに蹴散らされていた。


 葬儀会場から竹島貴子を送り届けた後、旗子とアカルはふたりで旗子の家を目指していた。通り抜けようとした公園でアベック狩りに遭遇したのが一分ほど前のことだった。


 「この人たちが、この公園にいるって知っていて、わたしとここに来たんでしょ?」ラスフはしゃがんでひとりひとりに泣きながら天誅のチュー!をし始めた「早いうちにあきらめさせた方が傷が浅くて済むって考えなのかな?ひょっとして白兄あたりの入れ知恵?」


 「俺は学習したよ、白先輩が身体を張って教えてくれたことから」そのラスフの後ろに立つおじゃまジョーカーくん「俺は君が白先輩みたいに深く傷つくところを見たくないんだ!」ラスフの前に回り込む「この連中は昼間すでに一度天誅のチュー!されたやつらなんだぜ!?」


 「あきらめてくれ、旗子!世の中には一定率で不幸な人たちが確実に存在するんだ!みんなで仲良く、みんなで幸せに、なんてのは実現出来ない、夢でしかないんだ!」




 「それでも私はその夢をあきらめない、いつの日か、すべての人類が、人種も、宗教も、格差も、そういったものすべてを超えて、みんなでなかよくなれる日が来るという夢を」魔法少女の戦いは続く。







 世直し愛国魔法少女ライジングサンフラッグ!人呼んでラスフちゃん!


 おしまい








 お付合い頂き誠にありがとうございました。


 完結編に続きます、よろしかったら読んでみてください、よろしくお願いします。


 【愛国魔法少女ラスフちゃん完結編】惑星探査機の神様!はやぶさくん&はやぶさ2くんの玉手箱ラプソディー!

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[良い点] 登場人物も知ってる人 そんなことあった。ありそう。 どっかで聞いた言葉。 がつながって 私の世界と同時進行。 [気になる点] 登場人物を知らないと 楽しさが へる [一言] 良くもまぁ パ…
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