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第三話 国家間及び民族間の信頼関係を破壊するならず者!月山 明博(げつさん あきらひろし 78歳)に天誅のチュー!チュー編







 例えば日本人の俺がアメリカに移住したとする。


 そうしたら普通に帰化して普通にその国に忠誠を誓うよな?そしてもし日本人による敵対行為がアメリカ国内外で起こったら、すぐさま非難声明を出すだろうよ。


 別に公的機関に公的文書を送るとか、そういった堅苦しい面倒臭いもんじゃなくていいんだよ。イスラム原理主義テロリストのやらかした日本人拉致事件の時に、日本国内のイスラム教徒が出してた非難声明みたいなあんなのでいいんだ。


 バカッターでもフェイクブックでも、ナロー小説でも、今はアピール発信手段はなんでもあるよね?


 そんなあたりまえのことを俺達、在日チョン星人はやってこなかったんだよ。




 だけど行動するのに遅過ぎるってことはないんだ、だから俺は日本国籍を取得して日本人とチョン星人の「真の」友好関係を構築する為に生きたい。


 これは日本に住み、日本を愛する、ひとりの「人間」としての判断なのだと思ってくれていい。




 チョン星系日本人にしか出来ないことって、あると思うんだ。日本人の怒りを正しくチョン星人たちに伝えるっていうのも、そのひとつなんだと思う。


 現在の両国両民族間の関係悪化の根底にはこの、日本人の怒りの伝わってなさ、があると俺は考えている。日本で生活をしていれば誰もが肌で感じる事の出来る、この日本人の怒りがね。


 多くの日本人は怒りを相手に伝えようとしないし、多くのチョン星人は相手の怒りを知ろうとしない、ならば誰かが間に立って正しく橋渡しをした方がいいと思わないか?


 だからまず俺は、これまでチョン星人が行ってきた一切の反日活動及び反日教育がすべて間違いであった事をチョン星人に認めさせて、それを世界に対してチョン星人自らが徹底的に広報することを要求したいと思う。


 最低限これぐらいは今すぐにでもやっておかないと、戦後アメリカが構築した日本弱体化計画における「憎まれ役のチョン星人」は、日本人に見殺しにされる、という未来しかなくなるだろう。







 白 善要(はく ぜんよう 15歳 男)は、流石は鳳凰学園中等部生徒会長であるといった、カリスマ性を感じさせる語り口で、彼の心からの思いを弟の白 信愚に真摯に伝えた。







 ―――同日 放課後 鳳凰学園 正門――――




 悪臭すら感じる、醜悪な光景だった。


 鳳凰学園正門前の道路を挟んだ正面一帯に、一見して破落戸とわかる男たちが暴力をちらつかせながら勝ち誇ったように薄笑いを浮かべている。今朝、白弟が助けを求め招集した在日チョン星人不良グループ「タバコで目え焼いたろ会」だ。


 初等部の下校時刻だというのに生徒たちは、恐怖から正門を出ることが出来ないため、学園敷地内に人だかりをつくっていた。恐怖から泣き出した女子が数人いるようで、鼻をすする音が散発しているのが聞こえていた。


 「あいつら俺ら狙い」「だろうな」「じゃあ俺らが出てくしか」「ないよな」根斗兄弟が正門から歩を踏み出すと不良グループも同調するかのように一斉に動き出した、その光景、ゴミ虫が一斉に蠢いたかのような光景に、子供らの中から短い悲鳴が上がる。


 「キミがあ、ネトウヨ君かなーあ?俺らの仲間の白 信愚、って知ってるよねえ?あー、恥かかせてくれたんだってねえ?ちょっと、付き合ってもらうよーお?」「「嫌です」」「はぁ?はーあッ!?いいからコイってンだよボケェ!タバコで目え焼いたろかい!」


 「オォイッ!俺の生徒からァ!手ェ!はなせェッ!」桜井 斗地治!この先生はこんなにも大きな声を出せたのか、正門に集った子供たちは、走って現場に駆け付けた、根斗兄弟の担任教師を驚きの目で見つめながら思った。


 「はあ?俺たちトモダチ、なんですけどッお?なあ?ネトウヨちゃん?」破落戸が根斗兄の肩にまわそうとした手を、叩き落すように払いのける桜井。「根斗!お前らは向うへいっていろ!ここは先生にまかせるんだ!」桜井のメガネの奥の熱く燃えている細い目を見返しながら、ふたり同時に根斗兄弟は力強くうなずき、ふたり同時に正門周辺の人だかりへと走って戻っていった。


 「なぁーにカッコつけちゃってんのよお、センコーがよお?」破落戸はくわえていたタバコをつまむと、煙を大袈裟に吹きかけながらまるで勝ち誇ったかのように、大声で腐った威嚇をする。




 「ッタバッコで目え!焼いたろかいぃぃぃ!!!るおおおぉぉぉ!!!???」




 桜井はメガネを外し、不思議とよくとおる声で、静かに告げた。




 「やってみろ」




 沈黙と硬直は十秒ほど続いたと思う。タバコで目え焼いたろ会のメンバーたちの劣等感と敗北感、生徒たちの憤怒と悲嘆が沸点に達する。双方の感情が決壊したのはほぼ同時であった。




 「上等だコラァ!やったろうあああぁぁぁ!!!」振りかぶる破落戸「やめろぉー!」駆け寄る生徒たち「先生を守れーッ!」「せんせぇー!」「うわーん!うわーん!」「止めてくださーい!」男子も女子も上級生も下級生も初等部の生徒たちが桜井をかばうように取囲んだ。


 「オラあ!ガキだろうとお!容赦すんなやあ!やンぞおおお!」破落戸全員「汚汚汚おおおぅ!」残虐暴力ショー開幕の合図であるかのように、火のついたタバコが、桜井に向かって指で弾かれた。


 しかし、それは軌道を外れ、桜井をかばう女子小学生の顔に向かった!今まさに!真っ赤なタバコの火が彼女の頬に一生残るであろうヤケド痕を付けんとした、その時!




 ―――チヨニ!ヤ!チヨニーッ!―――




 魔法少女ラスフが閃光のごとく颯爽と登場!女子生徒の目の前で、弾かれたタバコを指先キャッチした!


 「タバコで目を焼くってのはねえ―――」ラスフはうつむいた姿勢から顔をあげ相手を睨みつけながら、怒気のこもった低い声を絞り出すように言った「―――こういうのを言うんだよッ!」


 「キャー!」女子生徒たちの悲鳴がジュッという眼球が焦げる鈍い音をかき消す。ラスフは火のついたタバコを自らの右目に押し付けていた!「どう?あンたらもやってみる?」


 「ヒッ!ヒィィィ!すっ!すみましぇんでじだぁぁぁ!」繁華街のゴミ置き場のゴキブリのように一斉に散開逃避する破落戸たち「逃がさないよ!」投げキッスを振りかぶるラスフ。




 「暴力で恐怖政治を行う圧力団体に天誅のチュー!」「「「「ミギャー!!!」」」」




 次々と倒れる破落戸たち、同じタイミングで学園から通報を受けた警察がやっとで到着した。日狂組系の教師が揉め事は話合いで解決すべきだと主張し、通報を遅れさせていたのが警察がなかなか到着しなかった原因と後日判明する。内ゲバばかりの彼らだが、この連携プレー、まるで「消去法で選ばれた自覚の無い利権政治屋集団・痔民党」と「疫病火事場泥棒で中抜きしか出来ない無能集団売国代理店・電痛」の連携プレーようにゲロ見事だ。


 「あのひとたち、改心するかな(わからんのう、天誅のチュー!が連中の心に届いておればよいが…)」警察に連行される破落戸たちを見ながら、魔法を使い、潰れた右目を元通りにしているラスフに、笑顔の桜井が近づく。


 「生徒たちを助けて頂きありがとうございました、しかし」表情を引締め、自身の右目に手を近づける動作をしながら続ける「こういった行為は教育上NGです、今後注意して頂きたい」「ゴメンちゃーい!こつんてへぺろ!」舌をチョロっと出しておどけるラスフであった。




 「先生…先生は、怖くなかったのですか?」桜井を取囲む生徒たちの中の高学年女子が問いかける。低学年は男子女子共に桜井にまとわりついていた、そのまわりで6年生、特に男子、は自らの無力さに対する悔しさからだろう、皆こぶしを固く握りしめ、うつむいて涙を流していた。


 その中から場違いな明るい声が通る「みんなー怖かったかー?怖かったよなー?先生もすごーく怖かったぞー?」笑顔の桜井だった。


 「けどなー?ああいったヤツらはそうやってひとを怖がらせて、無理矢理言うことを聞かせるような、卑劣なヤツらなんだー、だからなー?」


 その細い目を大きく見開き、優しい気持ちをたっぷりと込め、子供たちの中に残っている恐怖を欠片も残さず打ち消さんばかりに、彼の全身全霊をかけて、持てる力を残さずすべて託した言霊を愛する生徒たちに発する。


 「怖くても―――」   願いよ、届け!   「―――絶対に怖がっちゃダメなんだ!」




 生徒たち全員が力強くうなずく、泣き止んだ瞳には桜井と同じ、勇気の灯がともっていた。涙のあともそのままに、一生懸命に笑顔を作ろうとしている生徒たちを見て、教師桜井、感動の涙をこらえるのに必死である。ちなみにはやぶさくんもその輪の中で、涙のあともそのままに、一生懸命に笑顔を作ろうとしていた。


 桜井はまわりの下級生ひとりひとりの頭を撫でながら続ける「怖がったらヤツらの思う壺だけど、みんなに暴力を振るわれるのは避けなきゃいけないからなー、だからさっきみたいな場合はみんなは逃げてくれよー、先生みたいな大人が捨て石になるからなー」


 「(どうやらまとまったようじゃのう)だね、サクちゃん先生、やるときゃやるね!」騒動に決着がついたと誰もが思った、その時―――


 「ここにいたぞーッ!」数人の男子生徒が駐車場の門の陰からこの騒動の発端である白 信愚を引きずり出しているのが見えた。どうやら遠巻きにこちらの様子をうかがっていたようだ。


 その時、不意にチャイムが鳴り響き始めた。その断罪の鐘はなかなか鳴り止まず、いつもより長いく響き続けたように感じられた。







 ―――同日 放課後 鳳凰学園 食堂――――




 学園自慢の大食堂のメインホールは、主に初等部高学年と中等部の生徒であふれかえっていた。


 その人だかりの中心では、憮然とした表情で、ふんぞり返るように腕と足を組んで座っている白 信愚が、そしてその正面の椅子に背筋を伸ばし静かに目を閉じて座っている、彼の実の兄であり中等部生徒会会長の白 善要が、聴衆の注目を浴びていた。


 先ほど、白弟を取囲んでいた生徒たちに対して、騒動を聞きつけ駆けつけた白兄が土下座謝罪した後に提案した、弟の性根を入替えるための兄からの公開お説教タイムが始まろうとしている。そしてチャイムが、まるで試合開始のゴングのように鳴り響いた。


 「お前が思っていることを全部ここで話してみろ、俺が誠意をもって、お前が納得するまで、その話に付き合うから」白兄の悲痛の叫びのような趣旨説明が行われた。白弟が自信ありといった風に火ぶたを切る。


 白弟の主張:

 「在日チョン星人は強制連行で日本に拉致されてきた被害者である、加害者である日本人は在日チョン星人に対して申し訳ないという気持ちを常に持ち、在日チョン星人の言うことを何でも聞き入れなくてはいけない、俺はそうアボジたちに教わってきた、違うのか?」


 白兄は生徒会長に選挙で選ばれていることが示すように、学園では人望のある人気者である。その白兄の顔を立てる為だけに参加している聴衆は、この白弟の開幕ドヤ顔見当違いKY発言に早速疲労感MAXになる。白兄の反論を待つ。


 白兄の説得:

 「それは違う。インターネットの時代に強制連行されて日本に来たという嘘を吐き通すことはもはや出来ない。最大の問題は、いまだにその嘘にすがっている在日チョン星人たちが、嘘がばれた時に何が起こるか想像する力が欠如している点にあると思う」白兄が静かに語りかける。


 「お前にはまず、チョン星人が当たり前だと考えている『こうあるべきを前提にした声闘』では日本人だけでなく世界中の人たちは誰も納得しないことを理解して欲しいんだ」


 「お前も『こうあるべきを前提にした声闘』の為に、嘘に嘘を重ねている自覚はあるだろう。それがチョン星人にとって良い結果をもたらすか悪い結果をもたらすか、日本で育ったお前なら理解出来るはずだ、どうだ?」


 白弟のファビョ:

 「じゃあヒョンは!アボジたちが!嘘を吐いてるっていうのか!肉親を嘘吐き呼ばわりするのか!」


 白兄の説得:

 「誰かが意識的に嘘を吐いていることを指摘したい訳じゃないんだ、この強制連行の神話は戦後なんとなく広まって、なんとなく定着した穏やかな嘘なんだ、そして今、多くの日本人は長らく騙されていたことに対して憤っているんだよ、お前も嘘を吐かれて騙されたら怒るだろう?同じなんだよ、同じ人間なんだから」


 「それに考えてみて欲しい、もし昔に仮に強制連行や強制占領があったとしても、なぜ今日を生きる日本の若者たちが、チョン星人に対して申し訳ないという気持ちを持ち、言うことを何でも聞き入れなくてはいけないのか?」


 「またもし戦争時期の悲劇について語るならば、チョン星からの日本人引き揚げ者に対してチョン星人が行った犯罪行為、竹林はるか遠くって本ならお前も読んだだろ?それとか在日チョン星人が戦後混乱期に日本でおこした犯罪についても同様に語るべきだ、そう思わないか?」


 白弟のファビョ:

 「竹林はるか遠くや二日市保養所の記録!チョン星進駐軍の役所襲撃!全部チョッパリの大嘘だ!それにチョッパリどもはもっと酷いことをチョン星人にしてきたんだ!」


 白兄の説得:

 「記録を基にした事実について語ることはもうしないが、考えて欲しい、今のお前の状態、それがまさに『こうあるべきを前提にした声闘』の為に、嘘に嘘を重ねている状態だということを、そしてそんなお前を見て日本人がどう感じているかを」


 そこで黙り込む白弟、白兄の説得がかなり効いたようだ。白弟の声のトーンが落着いたものに変わる。ヒョン、もうひとつだけいいか?との問いかけに、どこまでも付き合うよ、家族だからな、と応える白兄。




 白弟の主張:

 「在日チョン星人は被害者という道徳的優位を持ち、かつ戦勝星人という民族的優位を持つ立場から日本国と日本人を支配しているんじゃないのか?」


 白兄の説得:

 「それは強制連行と並ぶもうひとつの在日チョン星人の神話だよ。実際は、戦後アメリカが構築した日本弱体化計画における憎まれ役として、在日チョン星人が踊らされていただけなんだよ」


 新キャラクターの乱入:

 「OH!まるでUSAがチョン星人を操り人形にしていたみたいな言い方、NO!NO!ネ!」怪しげな日本語が割り込んできた!


 「キッカケはMEたちかも知れないけど、ノリノリで踊り狂ってたのはYOUたちの意志ネ!自己責任OK?」アメリカ人留学生、サミエル・ヒューストン(中3 14歳 男)の登場である。


 アイルランド系の透き通るような白い肌に柔らかな長めの金髪、そしてメガネの奥には眼光鋭い青い瞳、背は低い方、なかなかのハンサムボーイかつどこかキュートなその容姿や、洗練されたその立ち振る舞いで、学園では人気が高い生徒のひとりだ。


 「白人の国はどこも、有色人種の国に対して同じようなことやってるネ、管理対象民族の不満が間接統治に利用した民族に向かうように仕向けてMEたちへのイライラリリース!、けど日本じゃヨソみたいにブゥードゥーや焼き討ち無かったネ!日本人は民度高過ぎネ!」


 白弟の絶望:

 「じゃあ…俺が今まで信じてきたものって…いったいなんだったんだよ!俺は!在日チョン星人は!これからどうしたらいいんだよおッ!」


 サミーのアドバイス:

 「ヒントあげるネ!キーワードはソフトランディング!YOUのブラザーのホワイティはこのあたりよく考えてるネ!勉強しなよ!グッラック!」


 白兄の結論:

 「まずここに集まってくれたみんな、付き合ってくれてありがとう、そして今回は騒ぎを起こしてしまい申し訳ない」


 「OH!すぐ謝るところ、まるで日本人ネ!」サミーの入れるおちょくりに、緊張し続けていた聴衆は少しだけ和む。


 「ああ、光栄だね、俺は日本人さ」白兄が宣言する「生まれも育ちも日本だし、生活基盤も日本にある、喋れる言葉も日本語だけ」立ち上がり白弟の肩に手をかけつつ聴衆に告げる「俺はチョン星系日本人さ」


 「これが俺の出した結論だ、弟よ」「ヒョ…兄さん、帰化するってのか?帰化はダメって、在日チョン星人のアイデンティティを持てって、父さんが…」「弟よ、もう俺達には選択の余地は無いんだよ」そこでまるで大正解といわんばかりに「OH!YES!」と言いながら拍手し始めるサミー、ちょっと、いや、かなりイラッとくるリアクションだが、多くの日本人は基本的に白人に弱いのでここではスルーされる。


 「在日チョン星人は近い将来、帰国か帰化の二択を迫られるだろう、しかしそうなったらもうその時点で手遅れだ、即ちハードランディング状態でしかなくなる」ハードランディングという不穏な言葉に聴衆は息をのむ。


 「例えば日本人の俺がアメリカに移住したとする―――」白兄はサミーの方に顔を向け、再度弟に向き直ってから語り始めた。


 「そうしたら普通に帰化して普通にその国に忠誠を誓うよな?―――」白兄は毎月の生徒総会で行う、たった5分間の演説のための準備に2週間かけるという。


 「―――そんなあたりまえのことを俺達、在日チョン星人はやってこなかったんだよ」この演説の準備には、いったいどれだけの時間をかけたのだろうか?


 「だけど行動するのに遅過ぎるってことはないんだ、だから俺は日本国籍を取得して日本人とチョン星人の「真の」友好関係を構築する為に生きたい。これは日本に住み、日本を愛する、ひとりの「人間」としての判断なのだと思ってくれていい」聴衆は段々と白兄の演説に合いの手を入れるようになり、拍手やYAEH!といった掛け声で場が盛り上がりはじめた。


 「チョン星系日本人にしか出来ないことって、あると思うんだ―――誰かが間に立って正しく橋渡しをした方がいいと思わないか?」感動的な演説も終わりが近づく、聴衆の盛り上りも最高潮に達する。


 「俺はこの問題のソフトランディングを目指す、日本人とチョン星人の「真の」架け橋になるんだ!」拍手喝采で白兄のパートはシメられた。サミーがホワイティグッジョブ!連呼していてうるさい、このへんは実にステレオタイプ的アメリカ人である。


 受けて弟の応えを聴衆は待つ。顔を上げた白弟の眼差しを見て、皆確信する。ソフトランディングだ!




 「まずは皆に、これまでの俺の間違った言動で不快にしてきたことを謝罪したいです、ごめんなさい」頭を下げる白弟は、それでも堂々としていた、聴衆は、おおっ!とか、やったな!と好意的にざわめく。


 「そして結果的に何もなくて良かったとしか言いようがないけど…暴力を使って身勝手な言い分を通そうとした、そんな卑劣な行為をとったこと、許してもらえないかもしれないけど、謝罪します、ごめんなさい」彼の頬を後悔の涙がつたう。


 「「俺は!もう許した!」」すかさず根斗兄弟が目をうるませながら応える。「心からの謝罪だって解る!」「ならばそれを受け入れて許すのが日本人ってもんだよ!」主に4年1組の生徒たちがそれに続く。


 白弟は嗚咽交じりの感謝を皆に伝えている、根斗兄がその背中をさすっているのが見える。「俺も!兄さんみたいになりたい!努力することで改心の証にしたい!」拍手喝采だ。そこで満足そうに、白兄は人だかりをそっと離れた、中等部の生徒が拍手で送り出す、握手を求めているものもいた。


 「なんか感動しちゃったよー(そうじゃのう、本当の自由な心とは「認める」ということである、とはよく言ったもんじゃ)白先輩のお説教ってさ、なんかわたしたちの天誅のチュー!みたいだね!(まったくじゃ!)」ラスフも人だかりを離れ、変身を解き旗子に戻った。







 ―――同日 放課後 鳳凰学園 学園通り――――




 旗子が嬉しそうに、まるでランドセルに振り回されているかのようにクルクルと回りながら学園通りを歩いている「アカルくんと一緒に下校するのって久しぶりだよね!」先ほどの騒動を受けて、学園は大事を取り、初等部の生徒は、保護者のお迎えもしくは中高等部生徒含む三人以上での下校を推奨していた。


 旗子とその親友の竹島貴子は中等部の小見川耀先輩に守られながら下校していた。アカルが初等部の頃は、しばしば登下校を共にしていた、家が近所の3人である。「小見川先輩、わたし、おじゃま虫じゃありませんか?ごめんなさいね、ウフフ」一応といった感じのかたちだけの謝罪の言葉で貴子がふたりをからかう。


 「キャッ!でも、タカちゃんを家まで送ったあとは、わたし、アカルくんとふたりきりなんだよね!」「ヤダッ!じゃあじゃあ!―――以前までは妹のような存在でしかなかったのに…なぜだろう今はそれと別の感情がオレの中に―――ヤダーッ!もうこれ以上ムリーッ!」「「キャピー!キャピー!」」「ヘンなナレーション入れンなよ…」


 げんなり対応するアカル、いつものアグレッシブなキレが無い、というのも現在彼は考えなくてはいけないことが多過ぎるのだ。いきなりキスしてきたラスフへの恋心、ラスフかもしれない旗子が頬にしてきたキスの意味、もし俺が旗子を好きになったら俺はロリコンなのか、旗子のお父さんのジェラシーアタックとどう付き合っていくか、そして今後おじゃまジョーカーくんとして如何に立ち振る舞うか。どれも考えが上手くまとまらず苛立ちだけがつのる。


 「あれ?そいえばハタちゃん、はやぶさくんは?」貴子が小声でたずねる「根斗兄弟や白弟と意気投合してみんなで一緒にドロケーしながら帰ってる、男子ってホント、ガキよねー」それはやぶさくんの希望でもあったが、白弟の護衛をまかせることで、アカルとの時間をおだやかにすごせると喜ぶ旗子だった。




 貴子の両親が営む喫茶店「日本海」は商店街の中ほど、自宅の一階にあった。「「「いただきます!」」」旗子は自家製チーズケーキを、アカルは特性カレーピラフ大盛をご馳走になっていた。学園の制服を私服に着替えた貴子と三人で楽しい放課後をすごす。「美味しい!」「ウマいっス!うめ!うめ!」


 わりとどうでもいいことだが、カレーピラフをガツガツ一心不乱に食べるアカルの姿を注視しながら固まっていた旗子が、何かイケナイ想像をしたのか突如真っ赤に染まった両頬を両手でおさえながらくねくねと身悶えはじめた。明らかに人生開花早過ぎ&人生謳歌し過ぎのおませな小学4年生女子である。


 「小見川先輩って彼女とかいるんですか?」「いない、けど好きな女の子はいる」貴子の問いかけに、アカルは旗子を真顔で見つめながら即答する「俺は魔法少女ラスフが好きだ」「ッ!」驚きの表情で貴子は旗子に目で語り掛ける(先輩はハタちゃんがラスフの正体って知らないの!?)(わかんない、けど多分知ってるんじゃないかな…)(くっ!よしッ!ならば!)


 「ハタちゃんは好きなしと、だ、誰かいる?」貴子噛む、貴子どもる「うん、いるよ?」旗子はアカルを見つめ返し真剣な表情で告白する「わたしはおじゃまジョーカーくんのことが好き、大好き」


 ゴォッ!!!その瞬間!旗子とアカルの間で見えない何かが激しく衝突した!そして衝突し続けた!ライク日本海の荒波!店の壁に見る油絵の!猛りどよめく大海の!潮よここにあふれ出せ!かかる激しき混沌と!共に君らを飲み込まん!「やめてーッ!パパとママのお店が潰れちゃう!」波間の貴子の絶叫も届かない!ふたりの作り出すラヴバトル空間は爆発寸前だ!ああーっ!ヤバいーっ!




 その時!




 カランカラン♪「こんにち うわっ!」「OH!NO!SUGOIプレッシャー!」来客だ!白兄とサミーだ!グッジョブ!アカルと旗子の間に、一呼吸分の「」が入り店はギリギリで助かったのだ!店内の圧が急速に下がる、これでふたりはいったんは落ち着くだろう「い、いらっしゃいませえぇぇぇ!白兄ぃありがとおぉぉぉ!」貴子、安堵から涙のウェルカムスマイルだ。


 「白先輩、ちわっス!」立ち上がって礼をするアカル。白兄とアカルはラグビー部の先輩後輩の関係だ。旗子と貴子も挨拶する。ちなみに先のプレッシャー合戦が原因で失神していた、店内の他のお客様がたはこのタイミングで意識を取戻し始めていた、被害者たちのお代は無料になり、後日アカルがそのお代分、店の皿洗いすることで落着いた、よかったにゃー。


 「白にぃ…白先輩たちもこっちに来ますか?」帰り方面が同じなので親しくしている近所のお兄さんに貴子がお誘いをかける「こいつも一緒なんだけど、いいかな?」「ハロー!ホワイティのフレンドのサミエル・ヒューストン、サミーとよんでくれるとウレシーYO!」「そのキャラ付け用のヘンテコな喋り方ここでは必要ないぞ?」「あ、そう?じゃあ、まあ、普通に喋るわ、みんなよろしくね」やっぱり普通に喋れるんじゃんと三人は思いつつ挨拶を返した。


 「なんか殺気までここ、凄いプレッシャーが渦巻いてたけど、ケンカしてたわけじゃないよね?」「してないっス!」「OK、ならご一緒させてもらおうかな、サミー、こちらがこのお店の看板娘、竹島貴子ちゃんだよ、タカちゃん、俺コーヒーね」「よろしく竹島さん、俺もコーヒーで、ホワイティのおごりネ!」冗談に場が和む、ヤンキー、グッジョブである。


 「日本海の竹島さんかあ」ちらりと白兄を見るサミー「日本海は国際的に確立された唯一の名称だし、島根県竹島は日本固有の領土だよ」意を察して応えるホワイティ「これなんか在日外国人が日本国への忠誠心をアピールするための良いトピックだと思うんだけどね」その言葉にサミーが続く「だね、欧州なんかじゃこういうのに頑張ってるのって在住外国人や帰化移民が多いよね」




 「ところで三人は、なんの話してたの?」「恋バナだよ、白兄」「わたしがおじゃまジョーカーくんが好きって言ったら、アカル先輩が嫉妬しちゃったんですよー」「してねーよ!」


 「で、アカルは誰が好きって?もしかして旭日さん?」「先輩、悪い冗談っスよ、それじゃ自分、ロリコンじゃないっスか」その自らの発言に、何故か胸に痛みを感じて、それを誤魔化すようにカレーピラフをガツガツ喰うアカルであった。そしてその時、胸に痛みを感じていたのはアカルだけではなかった。


 「ご、ごちそーさまでした!じゃ、じゃあさ、タカちゃんは誰が好きなの?」胸の痛みを誤魔化すかのように親友に助けを求める旗子。「わたしはー、そーだなー、じゃあ白兄!なーんちゃって!」あっ、これ本気で好きなやつだ、貴子以外の全員が思った。


 「ありがとう、タカちゃん」優しい微笑みの白兄「俺もタカちゃんのことが好きだよ、勿論、ひとりの女の子として」「え?えーっ!?ヤダ嬉しい!チョー嬉しいよー!」「やったね!タカちゃん!」


 「アカル、俺はロリコンか?」「…いえ、違うと思うっス」「ま、あんまり深く考え過ぎんなよ、そういうのアカルらしくないぜ?」「…ウス、ごちそうさまでした」凄く先輩後輩の会話っぽい!と貴子がはしゃぐ、うれし泣きしそうな、こみ上がり溢れそうな感情を抑えつけるかのように。




 それから5人でとりとめのない会話を楽しんだ。主にゲストであるサミーに4人共通の想い出話を披露する流れで進み、そしてお開きの時間になった。楽しい時間ってあっという間だよね、皆が口々に言う、またこのメンバーで集まりたいね、と。


 その時、ほんの一瞬だけ白兄の表情が寂しげに曇った。気づいたのは恐らく貴子だけ、なんだか嫌な予感がしたが、それ故に気のせいということにして片付けた。


 店の前で皆に手を振る貴子―――振り返って夕日を背に愛おしそうに貴子に微笑む白兄―――それが彼女が見た、彼の最後の姿だった。







 「魔法少女ラスフの正体、ハタコ、だったんだな」初めての呼び捨てに、なんだか気恥ずかしさを感じる、並んで歩くふたり「おじゃまジョーカーくんの正体がアカルく…アカルだって知った時はビックリしたよー」ふたりの視線が交差し同時に思った、相手の顔は真っ赤だが、自分はもっと真っ赤なんだろうなと。


 「でも、もっとビックリしたのはね―――」立ち止まる旗子「―――わたしが、旗子が、アカルのこと好きなんだって、気付いた時なんだよ!」旗子はその右手を、三歩進んだところで振り向いているアカルに向かって伸ばす。


 「俺は、ハタコのことが好きだ」アカルはそう告げると、差し出された旗子の華奢な右手を、大切に包み込むように握り返す「ジョーカーとしてでなく俺として、ラスフでなくハタコのことを―――」そしてお互いの息が感じられるぐらいまで近づき、中腰になり旗子の目を真っすぐに見つめながら気持ちを込めてこう言った「―――愛している」


 アカルは右手で握り込んだ旗子の右手の柔らかさに驚きつつ、お互いの手のひらが汗でヌルりとヌメる感触に、脳の中で火花を散らした。左手の人差し指をすぐそこにある旗子のあごに、下からそっとそえて、自分に顔を向けるようにうながす、親指は真っ赤になっている頬に触れていた。旗子はそっと目を閉じた。


 ふたりの本当のファーストキスを紅蓮に燃える夕日が祝福してくれているようだった。ふたりの甘く優しいキスは、ほんの少しだけカレーピラフ風味だった。







 ―――チヨニ!ヤ!チヨニーッ!―――   ―――ジョーカーで浄化!―――




 「というわけで変身しましたラスフちゃんです、それではヒューストン先輩からのメッセージについて話合いましょう」「しっかし、アイツが俺達ふたりを調査しに来たCIA諜報員だったとは驚きだったねえ、しかも直属の上司がタレントのデーブ・スペクターってマジかよ」


 「それどころか先輩は地球人ですらなかったじゃん、まあ火星出身でもアメリカの市民権は持ってるみたいだからさ、アメリカ人ってとこだけだよ、嘘じゃなかったの、アメリカ人嘘吐き多過ぎ、プンプン」「という訳で旭日旗の神様とインターネットの神様にも会議に参加して頂き助言をお願いしたいと思います」


 「おお、なんだか最近流行りの、てれわーく会議、みたいな進行じゃのう!」


 「了解だヨ!手短にいこうナ!タイムリミットまであと1時間切ったゼ!」




 「チョン星の大統領の暴走を止めないと白先輩が自殺する、これがCIAの宇宙人からのメッセージです」


 「今の大統領って元在日チョン星人で白先輩が尊敬崇拝してる人なんだよな、確かに裏切られたら死ぬほどショック受けるだろうなあ」


 「下落し続ける支持率を反日ブーストで上げるためとはいえのう、竹島に上陸して天皇陛下に謝罪を要求する計画とは、狂気の沙汰としか思えん」


 「あの白って若造は日本人よりも日本人であろうとするトコあるからナ、切腹ぐらいしそうだゾ!」




 「この情報が本当で、もし私たちが阻止出来なかったら、国家間及び民族間の信頼関係は完全に破壊されちゃうね、白先輩の想い描いている未来への道が途絶えちゃうよ」


 「日本人がチョン星人をマネージ出来ていないって醜態を世界に晒すことにもなるんだよなあ、今回のこれ許したら、いろんな国から舐められ外交かまされるだろうな、害務省の無能どもに外交って仕事は期待出来ねえしなあ」


 「アカル殿、いやムコ殿「やめてよ!」ではアカル殿、そなたが積極的にチョン星に関わるとは、ちと意外じゃのう、てっきり『助けない、教えない、関わらない』系かと思ったぞよ?」


 「アカルはサ、『日本はアジアだけでなく有色人種のリーダーでなくてはならない、だからチョン星人問題ごときに手を焼いているなんて日本の先輩たちに申し訳ない』って考えなのヨ!」




 「わたしはこの愚行を阻止しにチョン星に行きたい!阻止して日本人がチョン星人みんなとなかよく生きる未来の可能性を残したい!」


 「俺もこのテロ行為を阻止しにチョン星に行きたい、日本の為に日本人として生きてゆく英断をした、白先輩みたいな人たちを絶望させたらいけないと思うんだ」


 「チョン星の大統領が竹島に到着する前に、天誅のチュー!が決まれば、わらわたちの勝ち、そういうことじゃの!」


 「退路の確保はオイラにまかしとけヨ!最悪CIAの仕掛けた罠だったとしても、絶対安全な抜け道用意しとくヨ!」




 「遅れてごめんなさーい!え?チョン星へ行く?了解!はやぶさ戦闘機モードでチョン星までひとっ飛びダyp…!」「よし!では出発進行じゃ!」「オイ!オレも乗るんだヨ!振り落とそうとスンナって!」魔法少女の戦いは続く。








次回で最終回です!もう少しだけお付合いください!

お楽しみに!


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