妹ですか?勇者さま。②
おはようございます。
日々、春が近付いて来てる気がします。
『春眠暁を覚えず』とか言いたくなりますが、、
ちゃんと起きましょう♪
では『妹ですか?勇者さま。②』です。
お楽しみ下さい。 ふえん
「う、うーん、起きなきゃ…シオン、離れて…」
って、、居ない?
ルチアの上で眠った筈のシオンが居ない。
もしや!、、とは思ったが、案の定だった。
隣のベッドで眠る、お兄ちゃんの布団の襟口からシオンの耳だけ飛び出している。
何よー!私にあれだけの事をしておいて、今度はお兄ちゃんとだなんて!
『羨ましい!!』
許せない、ではなく、羨ましい、というのが今のルチアの素直な気持ちだった。
本当はあそこに私が、、、
そう。本来なら昨晩から今朝まで、お兄ちゃんと一緒に寝ていた筈なのは私。
久々のお兄ちゃんに甘えまくろうと思っていたのに、、、
もぅ!シオンのせいで台無しよ!
「・・・って、そろそろ起きなさいよーっ!!」
何で私が、一人でプンプンしなくちゃなのよ!
声を掛けられ、フェンが目を覚ます。そしてシオンも。
「おはよー、お兄ちゃん♪」
「おはよーっ、ルチア、、、ってルチア??」
私を見たお兄ちゃんが急に固まった。
眠そうなシオンは、また寝ちゃいそうな目でルチアを見る。
『ぷいっ』・・・って無視?
シオンはルチアから目を離すと又、お兄ちゃんに抱き付いた。
・・・むーっ!シオンの奴めーっ。
「ん、んっ!、、ルチア、ルチアってば!」
わざとらしい咳払いをしてフェンが呼んだ。
「なーに?、お兄ちゃん!」
自分で考えられる最高の可愛さで返事を返す。
、、、何時までもシオンに負けてなんか居られないんだから!!
だが、、、
なぜか伏し目がちにフェンは言う。
「・・・えっとね、、ルチア、、」
「うん、お兄ちゃん♪」、、この笑顔で逆転しちゃうんだから!
・・・
・・・・
「ルチア、、、服着たら?」
「えっ?・・・えっ?・・・えーーーっ!!」
言われた僕の方が『えーっ』なんだけど…
今更ながらルチアは自分の姿に気付く・・・裸、、だ。
こ、こんな格好で私・・・お兄ちゃんに『おはよう♪』なんて、、
急に恥ずかしさが戻って来て、顔が火照るのが分かる。
裸でシオンと一緒に寝てしまったのだから『もう恥ずかしい事なんて何も無いよ!』と悟ったつもりになっていたルチアだが、、
何て事の無い日常風景の中で裸を見られるというギャップに身悶える。
『は、恥ずかし過ぎるよーっ!!』
フェンだってそうだ。
昨日はお風呂で抱き付いて身体を洗って、とまで言っていたルチアが…
フェンも、もう何度も見たんだし…と、平気なつもりで居たのだけど、、
ルチアは恥ずかしそうな顔をするし、何より、お風呂という裸が普通な空間ではない場所での裸は違った恥ずかしさが有る。
「ルチア、お兄ちゃん向こうを向いてるから服着なよ。」
「うん。」、、、もう・・・朝から最低よ、、。
ルチアは服を着込む。
うぅ、、、お兄ちゃんには寝起きに裸を見せちゃうし、、、
シオン・・・は、無視?・・・私の裸なんて何の興味も無いってこと?
お兄ちゃん・・・に見られるのは百歩譲って許してあげる。
でもシオンは?
私の裸を見たのよ?
しかも男の子なんだから、、もっと恥ずかしがったり、慌てたりしてもいい筈じゃない!
なのに、何?あの『ふーん』みたいな態度は?
ルチアは女の子のプライドを頗る傷付けられたのだ。
だが、、ルチアは否応なくそれを納得してしまう事になる。
その後に訪ねて来た人物によって。
「シオン、そろそろ起きようね。離して?」
「・・・・う、、」
口に出して 『 嫌 』 とは言わないが、嫌なのが丸分かりだ。
こんな所までルチアにそっくりだとは、、
セントファリスから旅立つ日の朝…ルチアもフェンから離れようとしなかったのだ。
嫌ではない。却って、微笑ましく、嬉しい位だ。
でも行かなくちゃなのは、行かなくちゃなのだ。
「シオン、お兄ちゃん行かなくちゃなんだよ。解るよね?」
「ね?、、シオン、お願い。」
優しく問い掛けるが、その優しさで尚更寂しくなってしまった様で・・・
「嫌、、」 とうとう思いを口に出してしまう。
潤んだ瞳からは今にも涙が溢れ落ちそうだ。
うーっ、可愛いなーっ、でもなー、、
フェンが対応に苦慮していると部屋の扉が開き、声が響く。
「シオン!!フェン様を困らせないの!!」
『ビクッッ』 声を聞いたシオンの尻尾が跳ね上がる。
しかも見た事が無い程にシオンがオロオロしている。
・・・一体、、誰?
ルチアは改めて来訪者を見る。
部屋の中から開け放たれた扉の外を見たので逆光で影になり、よく見えない。
誰?、、シオン?、、ちゃんが二人?
だが違う。
確かに似てはいるが、何と言おうか・・・雰囲気が違う。
それに、シオンよりも背丈も小さい様だ。
綺麗、、、逆光で朝日に浮かぶ姿が輝いて見える。
誰?、、女神様?、、取り巻く雰囲気が、神々しく見える…逆光のせいなだけ?
部屋へと入りドアを閉めた神々しい来訪者が振り返る。
思わず姿をまじまじ見る。
シオンとは違い、落ち着いた、、余裕の有る雰囲気、、
、、しかも可愛い?、、いや、美しい?
どちらとも取れる容姿は同性のルチアから見ても『魅力的』だった。
でも…シオンの事も有ったしね、、
ルチアも学んでいる。
シオンを女の子だと勝手に思い込んで恥ずかしい思いをした事は忘れない。
「お兄ちゃん…この人は誰?」
単刀直入にフェンに聞く。
「ルチア初めてだっけ?…この子は、ルミオンだよ。」
「ルミオン…ちゃんなの?シオンみたいに、、」
ルチアの疑惑の表情にフェンも気付いた。
「ああ、ミオンは『ちゃんと』女の子だよ?、、シオンのお姉ちゃんなんだ。」
「そ、そう、、そうなんだ。」
ちょっと『ホッ』っとした。
シオンに続き、こんな可愛い子が男の子だったなんて聞いたら、、
ルチアの女子としての自信が砕け散りそうだ。
だが、、という事は、あの胸の膨らみは『女の子の胸』という事だ。
シオンに唯一勝てたと思っていた胸の大きさが、大きいとは言えないにせよ、見た目、私以上なのだ。
・・・勝てる所が思い付かない。
・・・だから、、だったの?
ルチアは理解して、納得する。
ルチア自身も初見では『勝てる所が思い付かない』と思うルミオンちゃん。
その弟がシオンなのだ。
こんな『お姉ちゃん』と常に生活していたなら、、だ。
ルチアの裸を見て『ふーん』という無反応だったとしても不思議ではない。
そう考えるなら、ルチアに女の子としての魅力が無いのではない。
シオンの基準、、ルチアと比較した対象がルミオンだったが為の『ふーん』だったのかも。
シオンの反応には腹が立つが、それなら納得がいく。
ルチアが今まで会った中で一番可愛い女の子や、一番綺麗な女性を思い浮かべてみても、、
ちょっと悔しいが、ルミオン相手では色褪せてしまうのだ。
「フェン様…私にも…」
・・・発する声までも綺麗だった。
怒った声には迫力が在ったのに、普通に話すと『ほんわか』とした、柔らかさ、、温かみが有るのだ。
「この子はルチア。僕の妹だよ。ファリス教の神官様なんだよ。」
フェンが紹介する。
誰もが驚き、一目置く『ファリス教の神官』という肩書きだ。
『ふっふーん!どうよ!』と自慢気な表情のルチア。
事実、十分に自慢して良い肩書きなのだ。
・・・だが、ミオンの余裕は崩れない。
「初めまして、ルチアちゃん。私、ルミオンよ。」
普通、自分より小さい子に『ちゃん付け』で呼ばれるのは違和感が有るはずなのだが…
あまりに自然体な為、不思議と嫌な気がしないのだ。
・・・違うよ!別に降参した訳じゃないんだから!
ルチアは自身に突っ込みを入れて叱咤する。
「は、初めまして、ルミオンちゃん。私、ルチア。」・・・負けないんだから!
お返しとばかりに自分も『ちゃん付け』して反撃する。
だがミオンには効かなかった。
微笑むと、言う。
「うん。宜しくね♪私の事、お姉ちゃんって呼んでいいからね。」
・・・・えっ?
お姉ちゃん?、、って呼んでいいって??
出会ったばかりで『お姉ちゃんと呼んで』、とは大きく出たわね…
「フェン様…いいですよね?」
ミオンはフェンに確認する。
「うん。いいんじゃない、ミオン。」
えっ?お兄ちゃん…賛成なの?
それに、お兄ちゃん?、、今、『ルミオンちゃん』の事を『ミオン』って…
「お兄ちゃん、ルミオンちゃんの事、、ミオンって…?」
「ああ、本当はルミオンって言うんだよ。でも僕はミオンって呼んでるんだ。」
愛称?、、、愛称で呼んで貰えるような関係なの?
「あ、ちなみにシオンも本当はルシオンって言うんだからね♪」
あれ?、、えーっ!…そんなの知らなかったよ!!
シオンちゃんとは、あんな事や、こんな事が有ったので大分、解り合えた気になっていたのに…
名前からして本当の名前を知らなかったなんて。
これで『解り合えた』なんて言える訳ないよね…。
いや、いや、今はシオンよりも目の前のルミオンちゃんが問題よ!
ルチアのライバル心をよそに、ミオンはシオンに言う。
「シオン!、、またフェン様に我が儘を言って困らせてたの?」
シオンは言われるがままに『シュン』としている。
ルチアは思う。
『あのシオンちゃん』がタジタジ?・・・手強いのは間違いないよね?
お兄ちゃんとは違い、ルミオンちゃんはシオンちゃんの本当のお姉ちゃんなのだろう。
いや、間違いなく『お姉ちゃん』だ。
シオンちゃんと同じ大きな瞳。
サラサラと綺麗に揺れる長い髪。
・・・それに、耳に尻尾だ。
シオンよりも身体が小さいせいで、耳と尻尾が、より大きく見えて、一層、愛らしく見えるのだ。
・・・可愛い。
悔しいが可愛いのだ。
負けたくない筈のルチアだが、可愛いという言葉しか思い浮かばなかった。
だが、ルミオンちゃんは、お兄ちゃんの事を『フェン様』と呼んでいた。
お兄ちゃんとシオンが本当の兄弟、、兄妹だったなら、ルミオンちゃんとも本当の兄妹のはず。
なら、『フェン様』ではなく『お兄ちゃん』や『お兄様』と呼ぶ筈だ。
…やはり、シオンちゃんを含めた、この二人はフェンお兄ちゃんとは『仮の兄妹、兄弟』という事だ。
実は血の繋がった本当の兄弟姉妹だったら、、
なんて思ったけど、、ならルチアと立場は同じなんだね♪
ルミオンの可愛さに気持ちが負けそうになっていたが、まだ勝負はついていない…よね?
考え込むルチアに気付きミオンが言う。
「ルチアちゃん、どうしたの?…何か有ればお姉ちゃんに言ってね?」
・・・むーっ、ルミオンちゃん、まだ私の『お姉ちゃん』気分なの?
・・・ハッキリ言わなきゃ、だよね?
ルチアは宣言する。
「私の家族はお兄ちゃんだよ!、、お姉ちゃんなんていないんだよ、ルミオンちゃん!」
いや、いや。…これにはフェンも突っ込みを入れない訳にはいかない。
「ルチア、お姉ちゃんは『いない』なんて言っちゃ駄目だよ!」
「だって私には、お兄ちゃんしか…」
「だから…そんな事を聞いたらニーナお姉ちゃん、泣いちゃうよ?」
「あ!、いや、私にはお兄ちゃんとお姉ちゃんは一人づつしか居ないんだから!」
…あ、流石に素直に直したね…そう、そう。ルチアは皆の妹なんだから♪
だが、ルミオンは何の動揺も無く、答える。
「だから、フェン様の妹、、なのよね?・・・ルチアちゃん?」
「そうよ!『私が』フェンお兄ちゃんの妹なんだから!!」
「うん。だからフェン様の妹、、、私の妹なのよね?」
あくまでルミオンの物言いには余裕が在る。
「なんでお兄ちゃんの妹だからってルミオンちゃんの妹だなんて・・・えっっ!!」
急にルチアは閃いた。
いや、いや、いやいや、、それは無いわよね?
自分で閃いた事だけど全力で否定する。否定したい。
・・・でも、、だ。
状況から考えると、、つじつまが合ってしまう。
あれ??、、お兄ちゃん・・・まさか・・・
フェンお兄ちゃんを私と同じ様に『お兄ちゃん』と呼ぶシオン。
そのシオンには本当の『お姉ちゃん』が居る…ルミオンちゃんだ。
そして、お兄ちゃんの妹だと聞いて、私に『お姉ちゃんと呼んで♪』と言うルミオン。
ここから導き出される答えは・・・
えっ、えーっ!!
まさか、、お兄ちゃんとルミオンさんって『そういう関係』…という事なの?
嘘っ!、嘘よね?、嘘だと言って、、お兄ちゃん!
まだ何も問い掛けていないのだからフェンが『嘘だよ♪』なんて答える訳が無いのだが。
そんな事も分からなくなる位にルチアは混乱する。
お兄ちゃん、、が、お姉ちゃんで、だからシオンが、、妹で、、私が…
「お、お兄ちゃん!…ル、ルミオンさんとは、どういう関係、、なの?」
やっとの事でフェンに聞いた。
「えっ?ミオンと僕の関係?」
・・・そう。関係は??
「決まってるじゃない。」
・・・何が決まってるの?
「ミオンは僕の、、」
・・・ルミオンちゃんは僕の?
「家族だよ。」
・・・へーっ。家族ね。
、、、って、家族??
それって、どういう?
「だってルチアも僕の家族だよね?」
…えっ?、あ、、うん。…私も…お兄ちゃんの妹で…家族…だよ!
「ルチアはお兄ちゃんの家族じゃないの?」
「ううん。私はお兄ちゃんの妹だよ!」
「じゃあ、ほら。ミオンはお姉さんなんだから、、お姉ちゃんだよね…ん?、ルチアは嫌なの?」
「…嫌じゃないけど…」
別にルミオンちゃんをお姉ちゃんと呼ぶのが嫌な訳ではない。
そんな事ではなく、お兄ちゃんとルミオンちゃんの関係が問題なのだ。
家族と言っても、両親、兄弟、姉妹、夫婦、…夫婦!?
シオンちゃんの『お兄ちゃん』という呼び方から考えたら…
「お、お兄ちゃん…まさか、ルミオンちゃんと、ふ、夫婦、、なの?」
自分は妹なのだから、お兄ちゃんが誰と結婚していたとしても立場は変わったりはしないのだが、、
「どうなの!お兄ちゃん!」
まるでフェンが浮気をした夫の様に糾弾する。
それに対してフェンではなく、ミオンが答えた。
「結婚?…フェン様と私はまだ結婚してませんよ。」
・・・なんだ、してないんだ・・・私の早とちりだね。
『ホッ』っとするルチアだが、何か、引っ掛かる。
あれっ?・・・『まだ結婚してない』って、、、?
、、まだ??
「えっと、、『まだ』ってどういう意味なの?」
「『まだ』は『まだ』ですよ?」
読んでくれてありがとう♪
お兄ちゃんとミオンの関係が気になるルチアちゃん。
考え過ぎは身体に良くないです。
あー、たまには『ぼーっ』っとするのも良いかもです。
肩の力を抜いてリラックス、リラックス♪
次の投稿、、、週末?、、その次の週末?
定かでありませんが次話もお楽しみに。
ふえん




