↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
60/78

言分ですか?勇者さま。

とかく思いやりの感じ方って誤差って在りますよね。。

それでは第60話『言分ですか?勇者さま。』

お楽しみ下さい。 ふえん





『あ~ん、でも、、もう! 何でこんなに可愛いのかな?』



頬をを膨らませたルチアの可愛さにキャスティは『ぽ~っ』っと見とれてしまう。



ずっと見つめていたい気持ちと戦いながらキャスティは考える。



う~ん、、どうしたらルチアちゃん、機嫌直してくれるのかな…?



と、キャスティは本当に考えている、、筈である。




…だけど内心、機嫌の事も含め、ルチアの事を考えてあげる事自体が楽しくなって来ていた。



何かしてあげてルチアが喜んでくれると、それ以上にキャスティも嬉しく、かつ、喜び、、悦びを感じるのだ。




第三者が聞いたら『酷い』と言われそうだが、内心、ルチアが『もっと困ってくれてもいいかも…』、とも思ってしまう自分がいる。




…でも大丈夫!、、お姉ちゃんが何とかしてあげるからね!



初めて知り、感じた己の内から生じた保護欲にキャスティは酔ってしまっていたのだった。





急にファリスからキッドへ声が飛ぶ。



「キッド!貴方もルチアちゃんを護りなさい、いいわね?」



お婆ちゃんも埒があかないと思ったのか口を出す。



ルチアも心の中で応援する。



お婆様、ナイスです!…言ってやって、言ってやって!




「でもファリス様、フェン様を…一人でなど危険では?」




「キッド…何を言ってるの?フェン君が危ないって?」



「それはつまり…フェン君の実力では『危ない』って言ってるのよね?」




「私の孫を『弱い者』呼ばわりとは、、偉くなったわね、キッド!」




「いえ、そんな事は決して…」



キッドは慌てて否定するが、、



「でも『危険だ』と思っているのでしょう?」




口には出せないが、実際に『そうなのでは?』…と、キッドは思っていた。



…キッド自身はフェンの実力を知らないのだ。




だが、敵対し、戦っていたであろうキャスティが今も生きている、という事は…



勇者フェンの実力はキャスティと大差無いのだろう。



…と、いう事は、、



キッドから見れば『危ない』と心配されても仕方がない実力、、という事だ。




心配していたキャスティが、予想通り…悪い方への予想通りに『獣王に殺されかけていた』のを目の当たりにしたのだから。



そんな『危なっかしい実力』であろうフェン様、、ファリス様のお孫様が…他人ではあるが、危険な地へ赴こうとしているのだ…



…見逃せる訳がない!



…この身を持ってお護りしなければ!



と、キッドは思っている。




実際には幸運が重なった事により、キャスティは今も生きているのだが。




もしも…キャスティがフェンと同じ剣技を使わず、紅い鎧の獣人が、、リカが生きていなかったとしたら、、




フェンは何の迷いも無くキャスティに剣を振り下ろして、、殺していただろう。




討伐隊の他の冒険者達と同様に名前すら知らないままに、『大勢の中の一人』として。




幸運と言って良い…運命がキャスティを救ったのだ。




だが、キッドもキャスティも『そう』だとは思っていないのだ。




「返事が無いって事は…やっぱりフェンちゃんは弱いって思っているのね?」



「えっ、いや、それは…」


キッドも返答に困る。



…『はい。弱いと思います。』



なんて答えたら、ファリス様を怒らせる事は勿論、フェン様も不快に思い『やっぱりキャスティはメンバーに入れない!』なんて言われたらどうするというのか?



だが、事実、キッドは知らない事なのだから、勝手な実力の過大評価は危険である。



何とか理由を考える…



「いや、実力の問題では有りません。…ただ、心配なのです。王国が卑怯な手を使わないかが。」



「国は恥じる事なく、卑怯な手を使ってくる事などファリス様とて重々ご承知のはず。」



「そんな場所へお孫様を一人で行かせるなど…ファリス様もご不安なのでは?」



確かにファリスも心配ではある。



…フェンちゃんは素直過ぎるから、、



面と向かって攻撃される分にはフェンは何の問題も無いだろう。



斬り掛かられても、魔法で攻撃されても切り抜けてくれる。



問題は、心理的、感情的な攻撃だ。



フェンを倒すなり、捕らえるなりしたいなら簡単だ。


例えば…この場なら、ルチアちゃんでも人質に取って『降伏しろ!』と脅せば容易い事だろう。



目の前に居なくとも、『降伏しなければ○○がどうなるか…』と脅すだけで良い。



フェンちゃんなら躊躇う事無く『誰かを救う選択』をするだろう。



分かっている。



だが、だ。それとキッドが付いて行って良いかは別問題だ。



仮に、キッドが付いて行って、敵に人質を取られて、冷静に考慮し見捨てるとキッドが判断したとしよう。


それでフェンが納得するか?…と聞かれれば納得などしないだろう。



見捨てる、という判断を真っ向から否定し、反対するだろう。



ともすれば、性格的にキッドが、他の人質を取られる位なら私が、、と、代りに自ら囚われるかも…



そして、キッドは『自分に構わずに…』とフェンに主張するだろう。



果たしてフェンちゃんはキッドを見捨てられるか?



…無理だ。



見捨てる所か『自分が代わりになる!』と言い出しかねない。



直ぐに『己を犠牲に』なんて考えるキッドを同行なんてさせたら、逆にフェンの危険度が増してしまう。




「私の命令よ!…キッド、貴方は、ここで自分の娘と一緒にルチアちゃんを護るのよ。」



「うっ…で、ですが、、」



キッドさんも、ファリスお婆ちゃんに言われると弱い様だ。




そうよ!、、お婆様の言う通り…二人は大人しくここに居ればいいのよ!



ルチアは思わず声に出して大きく頷きたくなる、が堪える。



…ありがとう。お婆ちゃん、、それにルチアも。



これで、、いい。



これ以上、他の人を巻き込みたくないのだ。



最初から目的が『戦い』だというなら、一緒に来て貰う所だが、今回は『交渉』が目的なのだ。



交渉に短気は禁物だ。



…と、偉そうに言ってはいるが、フェンとて交渉事は得意ではない。



かえって苦手、と言って良い程だろう。



なので此方にその気が無くとも、交渉次第では捕まるどころか…最悪、戦う可能性だって有ると思う。



別に難しい話をしようと言うのではない。



獣人の地位の確保、向上だ。



だが、話の内容は簡単だが国として、それを行う事は非常に難しく困難だろうという事はフェンにも解っている。



今まで奴隷扱いして来た者達…獣人達が、権利を持つのだ。



労力を獣人に頼りきって来た者達にとっては死活問題だろう。



仕事が成り行かないどころか、権利を持った獣人達から賠償を求められるかも…



それは一般人に限らないのだ。



貴族達や王城にも…かえって数的にはそちらの方が多いかもしれない。



獣人達が奴隷である事で一番利益を得ている者達に、奴隷の解放を求めるのだ。



誰が考えても、おいそれと賛成する筈が無い。



自分に被害が及ばない話しには寛容な者も、一度、自分に被害が及ぶとなれば目の色が変わるのだ。



己の利益を護りたい…その利益が大きければ大きい程に、その気持ちが強くなるのも当然だ。



そして、、思う。



何をしてでも既得権は守る、と。



そして思う。



・・・『邪魔者は消せ』、と。




人間と他種族の関係についての事。



…王国だけではなく人間全体のタブーと言える案件を面と向かって訴えようというのだ。



嫌な顔をされる、、位で済む訳が無い話しなのだ。



王国の利益に反する行為、、ひいては人間の利益に反する行為。



人類全体に対する『反逆だ』と言われるかも。



その対象、、反逆者にフェンが成る可能性は高いだろう。



そんな所へ行くのに自分以外を連れて行ける訳が無いのだ。




だが、フェン自身には迷いはない。



ミヤとの約束も有る。



自分で見てきた現実も有る。



人間種族だけを特別扱いして優遇するのは、間違いだと思っている。



誰かが声を上げなければならない事、、そして、誰もが知らない体で居たい事。



人間のみの利益の面から言えば、フェンは勇者失格だろう。



だが、他種族側から言えば、紛れもなく、、勇者だ。




フェンは守る対象を選ばない。



人間、獣人…助けを求められれば、フェン自身が判断し助ける。



・・・ただ、それだけだ。



それで、讃えられようが、批難されようが、フェンは受け入れる。




僕は、、、僕だ。




人間であり、勇者である。




人間だから盲目的に人間だけを助けるだけの存在であれば良い、、



、、とは・・・思わない。




勇者だって意思は有る。 考えも有れば感情も有る。



国や種族の全体の意思、思想に漠然と従う代表者ではないのだ。



僕は『僕の』理想の世界、、生活に近付ける様に行動する。




その理想がもし『間違い』だったのなら?



勇者ではなく魔王と呼ばれ、勇者と呼ばれる誰かに倒される事になるかもしれない。



でも、文句は無い。



僕は、僕自身の理想を実現する為に行動する。



その為に必要ならば仮に相手が勇者だとしても戦う。



相手の勇者にも自分の意思や考えが有るのだろうから。



前提として話して解り合えれば一番良いのは言うまでもない。



だが、誰でも譲れない事や物、者も在る。



己の全てを懸けても…との思いを懸けて戦うのだ。




「キッド、解ったわね?」



「そ、それは、、」



ファリスお婆ちゃんからの叱咤にキッドさんは口ごもる。



「キッド!返事!!」



「は、はい!、、ファリス様の仰せの通りに!」



勇者パーティの上下関係をまざまざと見せつけられた気がする。



二人のやり取りを見ていると、まるで兵士の新人訓練生と鬼軍曹の様だ。



昔、お婆様って一体…



今は、少しだけ『お婆ちゃん』と呼ぶのが気が引けたフェンだった。




「行くのよ!キッド!!」

 「はい!ファリス様!」

「但し、、匍匐前進で!」

 「えっ?匍匐前進で?、、」

「そうよ。何か不満なの?」

 「いえ!、、でも毒の沼をわざわざ匍匐前進って・・・」

「ガルンを見習いなさい、、ほらっ。」

  「わははは・・・・」走り回ってる、、何の意味が??

「貴方も早く!!」

 「はい、ファリス様!とぉっっ」、、ブクブクブク、、、

ガキンッ・・・??・・有ったぞファリス、これか?

「これよ、ガルン。、、、あ、キッド、もういいわよ。」

 「ファリス様、あんまりです、、(泣゛゛)」毒状態・・・

  


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。