プロローグですか?勇者さま。
夜中にふっと目が覚めると話し声がする。
ぼーっとしながら聞いていたが聞き覚えのある声だ。
主人の気配に気付いたのか布団の中からミヤも顔を出す。
「起こしちゃったね、ミヤ」って解かる訳ないか。
・・・まあ飼い猫に話し掛けるのは主人の特権って事で。
ミヤがこの家に来てから何年位になるだろう。
もう一匹、先住の猫が居るが爺ちゃんにベッタリで相手にされない。
そんな理由もあって文字通り「猫可愛がり」している。
可愛がっている割に名前が家に来た時「ミャーミャー」鳴いて
大騒ぎだったので「ミヤ」って、あまり考えずに決めてしまったのは
本人?には内緒である。
「なんだろうね?こんな夜中に。」
誰かと言えば当然今は2人暮らしなのだから1人は爺ちゃんの声だろう。
夜だから気を使っているのか小声で話しているせいか聞き取り辛い。
良くは聞こえないが、どうやら相手は女性らしい。
こんな夜中に来るお客、しかも女の人って一体? 好奇心が湧く。
ベッドを抜け出し爺ちゃんの部屋の様子を伺ってみる。
・・??
・・・爺ちゃん一人しか居ない?
「・・・・これ・・・・」
「今・・・・・・・・・」
「・・・・・・・盟約に・・」
更に良く聞こうと耳をそばだてようとした矢先、
「ミャー」
いつの間にかついてきたミヤが足元を行ったり来たりしている。
「フェンか?どうした?」 爺ちゃんにも発見された。
改めて姿を晒し部屋を見渡しても爺ちゃんしか居ない。
「爺ちゃん、今誰かと話してた?」
「いいや。誰とも話して、、、って、そうか」
爺ちゃんは満面の笑みで
「ご主人様の特権じゃよ」
見れば爺ちゃんの膝上に先住猫の黒猫、クロネがいた。
「脅かすなよ、てっきり爺ちゃんがとうとうボケたかって。」
「ボケ・・・って酷いな。まだそんな歳じゃないわい。」
一つ気付いた、、、他の人から見るとそう見えるんだ・・・。
・・・話し掛けるのは一人の時だけにしよう。
ミヤはまるで「なに?」と言いたそうな顔で首を傾げていた。
「ご主人様の特権です」・・・普通ですよね?
あ、・・・はい、気を付けます☆
次回も平穏で居られるのかな・・・。