第七 義賊
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「こっからが君たちにとって大事な話になる」
「大事な話?」
ヴァルトは机の左側三番目の引き出しを開け紙を取り出しシン達に配った。
「義勇兵団所属部署案内?」
「あぁそうだ、これから君たちには各部署に所属してもらう」
「って事は俺らはここでバラバラになるってことか?」
シンの言葉にヴァルトは無言で頷いた。すると、そのことにいち早く反対したのはリリィだった。
「そ、そんなの嫌です!」
ヴァルトは“やっぱり”といいたげな表情でニヤけた。
「な、なんですか?」
「いやー、バラバラにはなりたくないって言うんだろうなぁとは思ってたが、本当にいうからちょっと驚いたよ」
するとシンが、
「なんだよ!からかいやがって」
「悪い。兎に角、予測はしていたことだからまぁ、バラバラにならなくていい方も考えてある。それはな」
「それは?」
「君らで新しい部署をつくるんだ」
その言葉によって数秒の沈黙が訪れた。やっと口を開いたのはシンだった。
「はぁ?お前、何を言ってんだ?」
「新しい部署だよ。シンが私の器具をつけている限り逃げられないし、なにしろ私は君らを信じてるから新しい部署設立を許可するって言ってんの。そうすればバラバラにならずに済むだろう?まぁそこで問題なのが部署の名前だよなぁ。なにがいい?」
「いやいや、本当にいいのか?俺ら元盗賊だぞ」
「あぁ、知ってるとも」
「じゃ何でそこまでの信頼をよせる?」
ヴァルトは机の右側二番目の引き出しを開け沢山の紙を取り出した。
「それは?」
「これはな、君らに関する報告書だ。ここに書かれていることが君らが捕まらない理由だ」
「え?どうゆうことだ?」
ヴァルトは報告書に書かれたことを読みはじめた。
「三年前、終戦間近のときにて一人の盗賊がいたりその名、シンと呼ぶ。その男、盗賊につき逮捕のため調査せし。調査の結果次に記す。その男、ただの盗賊に有らず。盗品により稼ぎ、その稼ぎ自らに使わず。貧民の者に食物配りたり。結論、逮捕否 盗賊否 その男、義賊につき逮捕せず。」
「・・・・」
「お前、貧民街の人達に食べ物配ったりしてたんだろ?貧民街の事は王宮でも問題視されてたんだが、実際のところ王宮は何も対策をしていない。だからシンのような盗賊…いや義賊を逮捕するなんてこと出来なかった訳だ。それに戦争時代から続けてんだろ?自分のことだけでも大変なのに」
「なんだよ。知ってたのか」
「だから、俺はお前を信じる!人のために何かする奴に、悪い奴はいないと思ってるから」
とヴァルトは笑顔で言った。
「戦争時代の話だ。今はやってねぇよ」
「へぇ~、そんなことやってたんだ~」
とリリィは言った。
「で?君らで新しい部署をつくるか?」
「当たり前だ!絶対にバラバラにはなりたくないからな!」
その返事を聞いたヴァルトは机の右側一番目の引き出しから紙を取り出し机の上に置いた。
「じゃあ、この新部署設立志願書に名前と部署名を書いてくれ」
「おう!」
シンはそう返事をしてペンを手にとって志願書に自分の名前と部署名を記入した。
「部署名は…“義賊”だ!」
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