第二十八 災厄
遺跡の調査は失敗し、多くの犠牲者を出した。七百いた兵も今ではたったの四百、ゴーレムは全ての機体が大破した。
「おい、どうなってんだよ。これ…」
まだ、夜が明けない。シンたちは廃墟にいた。まだ、血の生臭いにおいが漂っていて、たくさの死体がそこら中に山のように積まれている。建物はほとんどが崩れている。総統区、商業区、居住区、生産区すべてが破壊されていたが、確かにここは王都のはずだ。
「誰…か…」
死体の山から人の声がした。シンはその声に気づき駆け寄った。そして、死体の山から引きずり出した。その男は武器屋の店主だった。
「あんた、あの店の…おい!しっかりしろ!」
「あ…あぁ」
「何があったんだ!」
血だらけの店主は震えながら弱々しく話始めた。
「急に黒い雲が現れて辺りが夜みたいに暗くなったんだ。そしたら城壁が崩れてあいつが来たんだ。黒い巨人が…」
「なに?!その後は?!」
「分からねぇ…急に目の前が暗くなって何にも見えなくなっちまったんだ…そしたら」
突然、男の震えが止まった。シンはそっと男の目を閉じた。
「なんで、巨人が…まだ、来るはずないのに…」
シンは立ち上がって全員に指示を出した。
「全員、生き残った人を探せ!」
「はっ!」
四百人で王都中を捜索した。
シンとリリィは王城に向かった。王城にはテレシアがいるはずだからだ。だが、王城は影も形もなかった。火事になったのかそこら中に灰や炭だらけで死体はそれに埋もれていた。奴が、巨人がどれだけ強大な存在かをこの崩れた城が物語っていた。
「誰も、いないな…」
「うん…」
そのとき、シンは足元の金属製の黒い針に目を止めた。そしてそれを拾い上げた。
「これって……!」
シンは突然足元の灰と炭をどけた。
「シン、どうたの!?」
灰の下から黒い布が見えてきた。更に灰を振り払うとそこには、黒髪で一部が炭になっている女性の死体が出てきた。
「嘘だろ……」
リリィはショックと驚きの余り脚から崩れ落ちた。
「シ、シグナさん…なんで…」
シンは辺りを見渡した。すると、真っ白な鎧を纏った女性の遺体がありその手には魔剣が握られていた。
「テレシアまで…」
“ガタッ”
と、物音がした。シンは誰かいるのではないかという思いを胸に音のした方へ走った。リリィはまだ立てない。
物音のしたところへ着いた。
「誰かいるのか!」
「助けてくれ!この岩をどけてくれ!」
半分が岩と地面に挟まれているコトリがいた。
「コトリ!今、助ける!」
シンは岩のに手をかけ持ち上げた。岩が浮いた瞬間にコトリが飛び出た。
「大丈夫か?」
「あぁ、なんとか。そうだ、シグナは!」
シンは無言で首を振った。それを見たコトリは下を向いた。
「なぁ、コトリどうしてシグナやお前がここにいるんだ?遺跡の調査だっただろ?」
「俺らは調査が特に妨害を受けずに終わったんだ」
「そうか、エリカやオーガはどうした?」
「報告では遺跡調査中に敵対勢力との交戦で戦死したそうだ」
「え、嘘…だろ?」
「本当だ」
「じゃあ、生き残りは…」
「俺らだけだ」
「そんな…」
シンは頭の中が真っ白になってしまった。
「巨人のやつ、危険種を操って侵攻してきたんだ。シグナやテレシアはそれで…」
「……取りあえず全員、集まろう」
と、言って全、一旦総統区の広場に集まった。
「生き残った人はいたか?」
「いえ、一人もおりませんでした」
と、ヘレナは暗い表情で報告をした。
「そうか……そしたら遺体をすべて燃やそう」
「承知しました」
すると突然、義勇兵団本部の壁の一部が剥がれ大柄な老人が現れた。シンが駆け寄った。
「ジジィじゃねぇか!無事だったのか!」
「ゴホッゴホッ、あぁ、お前さんも生きとったんじゃのう」
「ガートさん、生きていてなによりです」
と、ヘレナが言った。
「他はどうしたんじゃ?」
皆、無言になってしまった。
「そうか…」
しばらくし、一カ所に死体が集められ燃やされた。みんな涙を流していた。
明けることのない夜に人の炎が静かに燃えた。
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