第十九 つかの間の平和
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王都は一人の男の犠牲によって護られ、人々の悲しみがすこしづつ癒えはじめてきたころ。シグナはヴァルトからの手紙のおかげですっかり立ち直ることができた。そして、ヴァルトの遺言通り、ヴァルトのあとを継ぎ総合隊長となった。義勇兵団はいつもより人がいなかった。いや、いなくなった。魔女ターニャや紅蓮のアリサによって、このことは誰も忘れることはない。
シグナから
「今日は皆に一日休養を与える。皆ゆっくり休むといい」
ということを言われた。だから、シンたちは久しぶりに盗品蔵に帰っていた。
“ガチャ”
扉を開けシン、ガート、リリィの三人は盗品蔵に入っていった。
「いや~、帰って来た帰って来た。久しぶりの盗品蔵だな!リリィ!ジジイ!」
「そうじゃな。」
「はい!シンさん!」
そう言いながらシンは倒れていた椅子を戻し、ガートは奥に飲み物を取りに行った。しばらくしてガートが紅茶を持ってきた。そして三人ともカウンターテーブルの前の椅子に座り紅茶を飲む。
「はぁ~、この紅茶も久しぶりだなぁ~」
「義勇兵団では紅茶を飲む暇もなく王都防衛がはじまったからのぉ」
「そうですよね、訳も分からないままヴァルトさんに“本部に来い!”なんて言われて、その流れで第三特殊部隊にさせられちゃって、大変でしたよね」
「そうだなぁ、めちゃくちゃ大変で怖くて、アイツが死んじまって……」
と話していたらだんだんと空気が重苦しくなって、しんみりしてしまった。
「ダメだな!こんな話してたらヴァルトに怒られちまう」
と場の空気を和まそうとする。
「そうですね!しっかりしないと」
とリリィは軽く自分の頬を叩く。そしたらしばらくして、シンは盗品蔵を見渡しはじめた。
「ここってこんなに物少なかったか?」
「あぁ、防衛戦のためにほとんど持ち出されたんだ」
「そうか…」
「なぁお前さんたち、どっか出掛けてきたらどうだ?」
「どっかって?」
「そうじゃなぁ、商業区はどうだ?ちょうど買って来て貰いたい物もあるしな」
「商業区かぁ~、リリィどうする?行くか?商業区」
「行きます!シンさんとならどこでも!」
王都は、物流の盛んな商業区と、王都に住んでいるほとんどが暮らしている居住区、ちなみにここが王都で一番広い。主に生産が行われている生産区と、ここは一番狭い。最後が騎士団本部また詰め所、そして義勇兵本部などがある総督区の四つの区画が王城を取り囲むような丸い形をしている。
「決まりだな、で?ジジイ、なに買ってくりゃあいいんだ?」
「七式型の金槌と五式型の弩だ」
ちなみに弩とは、ボウガンのことです。
「りょーかい。じゃあリリィ行くぞ!」
「はい!」
二人は一緒に盗品蔵を出て行った。
商業区。ここは物流の中心、なんだってある。食べ物や雑貨品また武器などが出店に並ぶ。毎日がまるでお祭りのような騒ぎだ。そんな賑やかなところもあれば、屈強な男たちが立ち寄る酒場もある。シンたちはそんな店を眺めながら武器屋に寄る。
「らっしゃーい!剣や盾、防具に弓!なんでもあるぜ!」
と、店主の男が陽気に出迎える。シンは店主の男に話しかけた。
「なぁ!」
「ん?なんだい!なにをお探しかな?」
「えっと、七式型の金槌と五式型の弩あるか?」
「ぁあ!あるぜ!ちょっと待っててくれ。倉庫にあるからよ!」
「あぁ、頼む」
と、店主は店の奥の方に行った。シンとリリィは武器を眺める。するとシンは短剣を見つけた。それを手にとって自分の短剣と比べる。それをリリィが見ていた。
「あれ?シンさん新しい短剣買うの?」
「ん?あぁ、俺の随分と刃こぼれしちまったからなぁ。それに、ほらここ『エブリン』って書いてあるだろ?」
リリィは短剣を見回す。確かに刃の根本のところに『エブリン』と書かれていた。
「『エブリン』って?」
「結構腕のいい刀鍛治なんだ。だから買おっかな~と、思ったんだ」
「へ~」
「ま、高いから買わねぇけど」
そんな話をしていたら店主の男が戻ってきた。
「待たせたね。ほら」
と言って金槌と弩をテーブルに置いた。
「お~、ありがとう。で、いくらだい?」
「合わせて、金貨二枚と銀貨十二枚だ!」
「やっぱかなりするなぁ~。ま、いいか」
シンは代金を支払った。
「毎度!」
そうして、弩を背負い金槌を手に持ち店を出ようとしたら店主が、
「あ、兄ちゃんちょっと待ちな!」
「なんだい?」
「ほら、これ持っていきな!」
と言って渡されたのはさっき買うのを諦めた短剣だった。
「えっ、なんで?」
「いいから持ってけって、あんたその徽章ってことは義勇兵団だろ?これからもこの国を守ってくれよ!」
「おう!任せろ!」
と、言って再び歩き出し店を後にした。
街を歩いているとリリィが何か見ているのにシンが気付いた。
「リリィ、なにみてんだ?」
「いや、ちょっとあの“白樹の実”が美味しそうなだぁと思って」
と言ってまた白樹の実を物欲しそうに見ている。するとシンが果物屋の男に話しかけた。
「おっちゃん!この白樹の実いくらだ?」
「白樹の実は一つ銅貨二枚だぜ!」
「じゃあ、三つくれ!」
「おう毎度あり!」
シンは白樹の実を受け取った。そして、その実をリリィに渡した。リリィはとても喜んだ。
「ほらリリィ!帰ったら食おうぜ!」
「うん!」
すると、たまたま後ろのおばさんたちの話し声が聞こえた。
「ねぇ、聞いたかい?また出たんだってよ」
「あらそうなの?一体どこに?」
「今度は東のハイデンっていう港町の交易船が“空賊”にやられたらしいわよ」
「あら、やあね。怖いわぁ」
シンは聞き慣れない言葉に疑問を抱いた。
「ん、なぁおっちゃん」
「ん?なんだ?」
「空賊ってなんだ?」
「あ?兄ちゃん知らねぇのか?」
「あぁ、詳しく教えてくれ」
「最近、あっちこっちの海で空飛ぶ機械に交易船が襲われてんだよ」
「空飛ぶ機械?」
「あぁ、なんでも上から爆弾落としてきやがるらしいぜ」
「爆弾!怖ぇな」
「最近はこの近海でも出るから、兄ちゃんも海行くときは気をつけたほうがいいぜ」
「そうか、ありがとうな!教えてくれて」
「いやいや、兄ちゃんは実を買ってくれたからな!」
「じゃな!おっちゃん!」
「ぁあ!」
そうしてシンたちは盗品蔵に足を運ぶ。
「それにしても怖いね、空賊とかいうやつ」
「そうだねぇ、」
とシンとリリィが話していたらなにかとてつもなく大きくて黒い影がシンたちに迫ってきた。シンはすぐに上を見た。“噂をすれば影”とはまさにこのこと、シンの視線の先には飛行船があり翼には髑髏が描かれていた。“空賊”だ。
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