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第十七 王国は護られたが……

前回から読んでくださっている方はありがとうございます!はじめましての方ははじめまして!よろしくお願いします!

閃光が治まりやっと目が開けられるようになった。そして、皆が目にしたのは魔目の軍隊のほとんどが吹き飛ばされ壊滅した状況だった。


「うっ、お、おのれニンゲンめ」


傷だらけのターニャとアリサの姿があった。


「ま…魔女のお姉ちゃん、ここは、引こうよ…」


「くっ、そうだね。ここで死ぬ訳にいかないからね。覚えていろニンゲン!必ず、必ず殺してやる!」


ターニャの体は無数の蝙蝠コウモリ)となり黒雲と共に魔目の軍隊を包み込んだ。そして、魔目の軍隊の姿はなくなった。

シグナやコトリ、シンも、リリィも、ガートも、オーガも、エリカも、テレシアも、ほかの兵たちも皆、第三防衛線があった場所を、何もかも吹き飛んだ場所を、ヴァルトがいた場所を、この国を護った男が立っていた場所を見ていた。そして誰もが痛感する。信じたくない事実を、信じられない事実を、その事実とは“ヴァルト総合隊長は死んだ”ということだ。

シグナは膝から崩れ落ちた。


「そんな………有り得ない……た…隊長が?死ん……だ?そん…な…こと……。あああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁあぁぁああぁぁあぁああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁああああああああああ!」


戦場にシグナの泣き叫ぶ声がただ響く。ずっと、ずっと響く。隊長を知る人間は皆泣いた。男も、女も、いか)つい兵士も、シンも、リリィも、エリカも、オーガも、テレシアも、ガートも、コトリも、みんな、みんな泣いた。隊長は勇敢な人だった。隊長は優しい人だった。隊長は正義感が強い人だった。隊長は誰もが憧れる人だった。隊長が義勇兵団をつくったのは人を助けたかったから、死ぬときまで隊長は人を救おうとした。隊長は誰もが認める英雄そのものだった。




それから三日がたった。

それから三日もたった。けど、シグナの痛みは癒えない。シグナだけではない他にも隊長を失った悲しみや痛みが癒えない人は沢山いる。ヴァルトという人は、私たちに沢山の贈り物をした。それは思い出というものを、そして今回は私たちに未来という贈り物をしてくれた。忘れられはしない。

シグナの部屋にシンが来た。


「シグナさん、」


「なに?一人きりにしてといったでしょ」


と覇気のない声でそう言った。


「シグナさんいつまでそうしてるつもりですか?」


と少し強気に言った。


「………」


シグナはなにも言わない。シンは話し続ける。


「悲しいのはみんな同じなんだ!いつまで、いつまでそうやって現実から逃げるつもりなんだ!」


「悲しいのはみんな同じ?ふざけないで!あなたに何が、何が分かるって言うの!」


「何も知らねぇよ!あんたが何も話してくれないから!」


「私はね!ヴァルトさんが好きだったのよ!」


「なっ!?」


「あなたには分からないでしょうね!好きだった人に死なれた気持ちが!」


「あぁ!分からねぇよ!ただ、ただ一つだけ分かることがある!」


「なによ!」


「ヴァルトはなぁ、シグナのそんな姿を見たくねぇだろうよ!」


「なんであなたに分からるのよ!ヴァルトは死んだのよ!」


“バンッ”


シンは机の上にヴァルトからの手紙を置いた。


「ここに、ここに書いてあんだよ!読め!」


「え?」


シグナは机に置かれた手紙を手にとって読み始めた。


「『シン、突然だが…』ってあなた宛てじゃない!」


「ん?あぁ、裏だ裏!」


「裏って……!」


『シグナ、お前がこの手紙を読んでるときは俺はもういないんだろうな。どうだ?俺は国を護れたのかな?護れたのならいいんだがな。シグナ、ごめんな、気付いたんだシグナの気持ちによ。でも、なにもしてやれなかったな。結局、俺は死んじまってシグナを悲しませてんだろうな。悪い奴だな俺。俺が死んで悲しい思いや寂しい思いさせてもういろいろひっくるめて謝罪したいよ。本当に申し訳ない。それで、謝罪したあとにすぐお願いってのも本当はいやなんだが、シグナこの手紙を読んでるってことはまだ立ち直ってないな?俺のために泣いてくれてるのは嬉しいんだがもう泣かないでくれ。俺のためにもみんなのためにもよ。俺は死んじまったがもし幽霊となってシグナのもとに行けるようになったら。泣いてて欲しくないから、もう泣かないでくれ。大丈夫!俺は常にシグナのそばにいるからよ!』


シグナはまた泣き出してしまった。シンはそっと部屋を出て行った。

最後まで読んでくださってありがとうございます!よければ感想・指摘・評価をお願いします!

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