第十六 隊長として……
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今、王国リヴァスクラットは魔目によって危機に瀕している。第一、第二と防衛線はあっさり突破され、多くの兵を失った。空中戦ではコトリが必死に戦うがアリサは未だ倒せそうにない。魔女ターニャはとどまることを知らず。ヴァルトは隊長として責任を感じていた。仲間を守れなかったことを、敵を討つことができないことを。オーガもかなりの深手を負った。敵は歩兵とゴーレム兵をほとんど失ったがターニャとアリサ、そして特定危険種がいる限り止まらないだろう。
第三防衛線。ヴァルトは伝令兵に指示を出す。
「これを、これをシンに届けろ…」
と言って手紙と小瓶を渡した。
「はっ!」
伝令兵は王都に向かった。
「ヴァルト、テレシアを呼んだらどうだ」
とオーガが提案する。
「ダメだ。もしテレシアを出したら王都を守る者がいなくなる。ただの敵じゃないんだ、もし別の敵が現れたら終わりだ」
魔剣士テレシアは最終手段だ。もしも、ヴァルトが勝てなかった場合は、テレシアが防衛の要だ。
「俺はなにをやっているんだ!くそっ!隊長だっていうのに俺は、」
“ドンッ”
ヴァルトは机を叩く。兵を死なせ、敵を討つことができない無力な自分を悔いていた。それを見たオーガは何も言うことができずただ下を向くだけだった。
「シグナ!状況は」
すると砦の上にいるシグナが返事をした。
「敵の数は減っているようですが、特定危険種がまだ多数。アリサやターニャも」
「そうか、」
「あの、ヴァルト隊長。私も戦います」
「ダメだ!」
「なぜです!仲間が死んでいるんですよ!それを、それを黙って見ていろと言うのですか!」
「うっ………」
「私は行きます!」
「シグナ!」
シグナは戦場に出た。ヴァルトは、
「俺は、俺は、いったいなにを…………」
と、嘆く。
シグナは黒い球を三つ投げる。するとその球は変形し無数の針と化した。
「お前らは、私が止める!」
と、言うと無数の針は宙に浮き敵を全滅した。シグナに向けて攻撃がされたがシグナはもう一つ黒球を取り出し盾のように変形させ防いだ。すると、突然戦場にある男の声が響いた。
「全軍最終防衛線まで引けぇー!」
ヴァルトの声だった。全軍は戸惑いながらも引いた。だがシグナは残った。それにヴァルトが気づいた。
「シグナ!お前も引け!」
「なぜです!ここで引いたら負けと同じ!国を守れない!私は戦います!」
「ダメだ!ここは俺に任せて引け!」
「くっ、分かりました」
シグナは黒球を自分に纏わせて撤退した。
戦場に残ったのはヴァルト一人だけ。
王都城壁の上。味方が撤退している様子をシンが見ていた。すると、伝令兵が来た。伝令兵は、
「ヴァルト様からです」
とだけ言ってシンにヴァルトからの小瓶と手紙を受け取った。
「?」
戦場。ヴァルトが一人、魔目の前に立ちはだかる。
「これが、これが俺にとって隊長としてできる最後のことだな」
と独り言を呟いた。
「来やがれ!化け物がぁ!ここは絶対に通さねぇぜ!」
と言って右手拳を魔目に向けて構える。ヴァルトの右腕は魔導器具なのだ。だから、
城壁の上。シンは手紙を読む。
「『シン、突然だがお前の器具の最後の能力を教えてやる。霊体憑依だ。死んだ人間の霊を体に憑依させその人間の生前の力を使える能力だ。やり方はその死んだ人間の生前の血を魔石にかけるだけだ。一度しか使えないから“今だ!”ってときに使えよ。小瓶の中身は俺の血だ。次の総合隊長はシグナだと伝えてくれ。後は頼んだぜ。』え?……まさか!」
次の瞬間とてつもない閃光とともに、
“ドゴオォォォォン”
という音が鳴り響いた。
ヴァルトはその姿を魔導器具の爆発の閃光に包まれ消えた。
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