第十四 王都防衛戦 2
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「ぐ、紅蓮のアリサだと!」
空を駆ける朱き竜の翼もった赤髪の少女。その名をアリサという。炎の魔法を得意とし獣を操る能力もある竜族だ。その力はどのような人間も、どのような魔目の者も右に出る者はいない。三年前の戦争で強大な魔法を使い消滅したとされたはずの者。二つ名は“紅蓮のアリサ”まさに悪魔だ。
「だ、第一防衛線より第二防衛線に撤退だぁー!」
ヴァルトは全体に指示を出した。やむおえず全軍は第二防衛線まで撤退した。魔目の侵攻を赦してしまった。
防衛戦開始時の王都城壁の上。コトリ、シン、シグナ、リリィの四人が防衛戦の様子を見ていた。
「いよいよ、始まったみたいね」
シグナがそう言った。だがそれをコトリが正した。
「いや違う、始まったんじゃない。終わってなかったんだ。三年前の戦争はまだ続いてる…。恐らくこれからも…」
シグナや他の二人はコトリの方に振り向いたがすぐに下を向き、
「そうね…」
と、シグナは暗い表情で呟いた。次の瞬間、大きな音と共に強風が襲った。
“ドオォォォォン”
ターニャの衝撃波だ。
「うぅっ!ま、魔法!?」
「馬鹿な!なんて力だ!」
城壁の上にいた人は幸いにも被害は無かったが、この衝撃波は第一歩兵団を全滅させたものだ。そして、ここでもあの光景は見えた。いや、見えてしまったんだはっきりと…。城壁の上で観測していた者は誰もが目を疑いその身体を震わし怯え足に力が入らず倒れ込む者もいた。彼らが目にしたものは、緑の草原が一瞬で赤く染まる光景を、人が破裂する光景を、怒り狂ったオーガ隊長が敵を殺す光景を、誰もが思った。これは“戦争”だと、認めざるおえなかった。
「くっ、状況報告!急げ!」
「はっ!」
シグナは急ぎ指示を出す。コトリも正気に戻り観測を続ける。シンとリリィは何もできない。いや、なにもできなかった。シンは戦争時代はずっと盗賊暮らしで生きてきた。リリィは情報屋を、だからこんなにも戦争は悲惨なものだと、残酷なものだと、惨いものだと初めて知るのだ。恐怖で何もできないのは当然だ。いくら鍛えた人でも、いくら経験を積んだ人でも恐怖するのだから、いくら頑張ったって恐怖を隠せないのだから…。
「おい、嘘だろ!?」
「どうしたコトリ!」
コトリが目にしたのは紅蓮のアリサだ。
「紅蓮のアリサだ!」
「…!」
その場にいたほとんどの人はあの悲劇を思い出す。
「くそっ!なんで生きてんだよ!」
と言ってコトリは黒い竜の翼を生やしそれを大きく広げ城壁から飛び立つ。
「コトリっ!止めなさい!」
シグナの制止する声も聞かずコトリは飛び去った。
コトリの心にはあの悲劇が深く突き刺さり、重荷になっていた。その悲劇とは、四年前の長く続いた戦争も終わろうとしていた頃のこと、敵の本拠地を潰すための作戦が決行されコトリはその作戦に参加していたときだ。コトリの故郷に異変が起こった。紅蓮のアリサとアリサ率いる二千五百の兵と多数の特定危険種が竜族の街に出現した。もちろん討伐部隊が急行したが軍隊のほとんどは敵本拠地を落とすために派遣されていたので十分な兵力とはいえず。案の定、討伐部隊は敗戦。アリサは強大な炎で街を焼きそのまま力を使い切ったのかそのときは消滅した。コトリがその報告を受けたのは終戦後だった。
コトリがそのときの怒りを忘れることはない。
コトリがアリサにその両手に持つ双剣で斬りかかる。
「アリサぁぁぁぁぁ!」
アリサは冷静にコトリの斬撃を避ける。
「あらぁ?あなた、だぁれ?」
と、アリサは不思議そうにコトリのことを見ている。
「なぜ、そんなにも怒っているのぉ?」
「ふざけるなぁぁ!おらぁぁ!」
コトリはさらに斬りかかる。だが全く当たる気配がない。
「遅いよお兄さん。そんなんじゃ私を倒せないよぉ?」
まだ攻撃し続けるが当たらない。次第に疲れ息切れをする。それもそのはずだ城壁から飛んできて休まず連続で攻撃を仕掛けたのだから。
「ちょこまか動くんじゃねぇ!おらぁぁ!」
「アハハハ!」
「ハァハァハァ…」
コトリの呼吸が荒い。
「あらぁ?もう終わりぃ?じゃあ今度はワタシからいくわよ!」
そう言ってアリサは両手を上に向けて、
「ワタシの魔法は強いよ!お兄さんに防げるかなぁ?」
と言った。するとアリサの両手から炎が吹き出し、その炎をコトリに向ける。
「さあ!早く防がないと死んじゃうよ!お兄さん!」
“ゴオォォォォォォォ”
とてつもなく強く赤い光りを放つ炎がコトリを襲った。コトリは業火に包まれた。
“ドオォォォォン”
というとてつもない音と共に炎は弾かれた。
「!」
アリサはただ驚いた。炎が消えるとそこには無傷のコトリが飛んでいた。
「テメェの弱ぇ炎なんぞにやられるもんかよ!」
と言って右手の剣をアリサに向ける。その言葉を聞いたアリサはニヤけた。
「あらぁ?お兄さん強いんだね!アハハハ!お兄さんとは楽しめそうだね!」
「あぁ、存分に楽しませてやるよ!そうして楽しんだあとに殺してやる!覚悟しな!」
「やったー!」
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