第十二 いよいよ
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「その特徴!まさか!」
「孤独な魔女ターニャだ」
と、その名を聞いた誰もが思考が停止した。孤独な魔女ターニャは残虐にして悪逆非道の最も恐れられたら魔女だからだ。次の瞬間その緊迫した空気を打ち破ったのは扉を勢いよく開ける音だった。
“バンッ”
そうして入ってきたのは第二特殊部隊の男で、その男は体が震え何かに怯えているようだった。
「ほ、報告します!只今、東の大樹の森から魔目の軍隊が現れました!」
「なに!か、数は!?」
「歩兵三千五百、ゴーレム兵三百、特定危険種の獣多数です!ヴァルト様すぐにオーガ隊長との合流を!」
特定危険種とは王宮に直接の討伐依頼が来るほどの強力な獣達のことだ。
「なに!?なんで数が増えてるんだ!くそ!とりあえずコトリ、このことを騎士団に伝えろ!」
「了解!」
と、言ってコトリは窓から飛び出ていった。
「シン!前に言ったことだが、今回は相手が悪いシグナの指示に従え!リリィもだ!」
「分かった!」
「はい!」
ヴァルトは前にシンに“防衛戦になったら俺のところに来い”という指示をしたことを思い出し訂正した。そのことにシンたちは返事をした。
「シグナ、あとは頼んだ!」
「了解しました!」
そう言ってヴァルトはコトリの出て行った窓と同じところから飛び出ていった。
シグナ、シン、リリィの三人は城壁に向かった。
騎士団本部。騎士たちがせわしなく動いているなか一人優雅に座っている人がいた。その人は真っ白な剣を腰に下げ鎧を身につけ髪は長く銀髪、そして猫族で目は灰色、騎士にしては若い女性だ。そう、この方こそ騎士団の総合隊長魔剣士テレシア様だ。次の瞬間、扉が勢いよく開けられ中に入ってきたのはコトリだった。
「テレシア様大変です!魔目が予測より早く攻めてきました!特定危険種もいるんです!すぐに騎士団の指揮を!」
「了解した!皆聞いたろ!直ちに支度しろ!」
と、テレシアが全体に号令をかけると、
「ハッ!」
と言う返事が返ってきて騎士団全員が一斉に行動を開始した。
第一防衛線。オーガが防衛の砦の上で敵に呼びかけている。
「魔目の者よ!我々は君らと戦う意志はない!直ちに侵攻を停止せよ!」
だが魔目は侵攻を止めようとしない。
「ッチ、あくまで戦うつもりか」
すると大声でオーガを呼ぶ声がした。
「オーガ!」
その声に反応したオーガはこちらに振り返った。
「おぉ、ヴァルト!」
するとヴァルトは砦の上まで飛躍してきた。
「オーガ、敵は?」
「見ろ。呼びかけを聞かず全く止まる気配がない」
「そうか、」
城壁。シグナ、シン、リリィ、エリカ、コトリの五人が城壁の上で敵を眺めている。
「し、シグナ隊長。私たちあんなのと戦うんですか?」
と、エリカが怯えた声で話した。
「そうよ、私たちは魔目に取り返しのつかないことをしてしまった。だから、これは当然の報いなのかもしれないわね」
「そ、そんなぁ」
「ただ、私はそれを素直に受け止めることは絶対にしない。どんなことになってでも私はこの国を、この世界を平和にしてみせる。こんなのただの利己主義でしかないけど、それでも守りたいのよ私は」
「そうですね。よし!私もしっかりしないと!」
と言いながらエリカは自分の頬を両手で軽く叩いた。するとシンは怯えるリリィ見て、
「なに怖がってんだよ」
と、肩を軽く叩いた。
「ひ!」
と、リリィは驚いた。
「なにするの!」
と言ってシンの方を見た。シンは笑顔で、
「大丈夫!お前は俺が必ず守ってやる!いつだってそうだったろ!」
と言うと最初は驚いていたがすぐにリリィは大きく頷いた。
“魔目、お前らにこの国は絶対に滅ぼさせねぇぜ”
と、シンは心の中でそう思った。
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