第十 残り二日
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夜。王都からずっと東の村。そこには村人や動物がいるはずの平和な村だが、村人達は追い出され反抗した者は殺され、動物達はその肉を食糧とされた。今はそこに多くの魔目の兵隊がいた。その数およそ五千人、ゴーレム兵二百体の大軍隊がここを拠点としていた。もともと村長の家だった場所で茶髪で鎖の飾りがついている紫のローブを着て長い杖を持った人族の魔導師の男と紫のローブと魔女特有の尖った帽子を着た銀髪の猫族の魔女が椅子に座り話をしていた。
「なぁターニャ、なんで兄さんにあの国を攻めるよう言われたと思う?」
と男が魔女ターニャに問いかけた。
「さぁね。知らないよ。ワタシは父親や好きだった人を殺したした奴らを殺せればそれでいい」
「兄さんはもともと平和を願ってたのに…」
「アンタ馬鹿?親を殺され暮らしてた街を焼かれ、それで行き場を失ってそれでも…、それでもワタシたち魔目で手を取り合ってやっと手に入れたワタシたちの場所だって三年前の戦争で焼かれたんだ!平和なんて…平和なんて無理に決まってる…」
ターニャは怒りに満ちた目で窓から外を見た。
「だから…、だから復讐してやるんだ」
と、憎悪に満ちた声ではっきりとそう言った。
「けど、オレはそれでも平和を願う」
ターニャは魔導師の方に振り返った。
「スタリアル…」
「こんなこと間違ってる。世界を終わらすなんて…、これこそ馬鹿げてる」
「じゃあアンタはまたあの屈辱を味わいたいって言うのかい!?」
「そうじゃない。とにかくどうであれオレは今回の作戦には一切手を出さない。オレは城に引き返す」
「そうかい。勝手にしな…」
と、言うとスタリアルは家を出て行きスタリアルの率いる二千の軍隊は暗闇に消えた。その光景をターニャは無言で見ていた。
「スタリアル…、平和なんて無理だよ…」
と、見えなくなったスタリアルに向かって悲しみを隠せなくなった目をしてそう呟いた。
場所は変わって王都。
ガートは必死に金槌を振り下ろし剣を打つ。オーガ隊長は多くの兵と武器を集め防衛線を張る。エリカ隊長は王都城壁に弓隊や投石機を設置。第二特殊部隊はシグナの指示通り監視とコトリの指示で住民の非難。第一特殊部隊はシグナの指示で第一防衛線から第二第三また最後防衛線そして王都までの情報網を作った。義勇兵団本部の特殊部隊の部屋でシンとリリィは体長の椅子に座っているシグナと話をしていた。
「なぁ、シグナさん質問いいすか?」
「いいわ。なに?」
「俺達、本当に戦わなきゃいけないのか?確かに奴らは恐怖の存在だが、もっと別の方法があると思うんだが…」
「それはもちろんよ。私達だって戦いたくて戦っているわけではないわ。できれば戦わない方向にもっていきたいけど、可能性は低いわ」
「なぜ可能性が低いの?」
と、リリィが質問を投げかける。
「私達は魔目に対して“酷いこと”と一言では片付けられないほどのことをしたからね。私達を受け入れてくれないと思うわ」
「そうだよな…。やっぱりあれだけのしたんだもんな俺達…。三年前の戦争であいつらの全て焼いちまったからな…」
「そうね。魔目からしたら私達こそ恐怖そのものなのかもね」
「恐怖…」
と、リリィが呟いた。そしてその言葉を痛切に感じた三人は下を向き考え込んでしまった。すると、
“バンッ”
と、扉を勢いよく開けて入ってきたのはコトリだった。どうやら住民の第一次避難は終わったようだ。
「おいおい。どうしたんだよ三人とも暗い顔して特にシグナ」
「“特に”は余計よ。魔目について考えていたの。それよりあなたは住民の第一次避難は終わったの?」
「あぁ、それはもうバッチリさ。住民の防衛もうちの隊が引き受けた」
「そう、」
そうして何気なくシンのことを見たコトリが質問をした。
「シン、お前はなんで器具つけてんだ?」
「え?なんでって言われても」
「だってお前、器具無しで魔法使えるだろ」
「いや、使えないっすよ?」
「そんなことないだろ。お前の体から漂ってる魔力の力からすれば十分なはずだけど」
「漂ってる魔力?」
そのシンの疑問を晴らしたのはシグナだった。
「知らないの?コトリが竜族なのは知ってるでしょ?」
「はい、」
「竜族の特徴として有名なのは尖った耳と手の甲の鱗でしょ?それに加えて特徴的なのは目なの」
「目?」
と、シンとリリィは一同に疑問に思った。
「竜族の目は特殊でね。その目は魔力を見ることができるの。普通の人間だったら魔法を使ったときにでる強力なやつしか見れないけど、竜族は潜在的にある魔力を見ることができるの。なかでもコトリは凄くてね色まで見分けられるわよ」
「へぇ~」
「どうだスゲェだろ?」
と、コトリはシン達に無駄に威張った。
「じゃ、じゃあ俺の魔力は何色なんだ?」
「え、それ聞くか?まぁ、いいけど多分お前の期待してるもんじゃないぜ?」
「教えてくれ」
「じゃあ教えてやる。灰色だ」
「は、灰色?」
「灰色は呪術の類が使える魔導色だよ」
「じゅ、呪術かよ…」
と、シンは落ち込んでいるが横でリリィはコトリに質問した。
「魔導色っていくつあるんですか?」
「ん?魔導色は全部で七色だ。えーと、赤 青 緑 茶 紫 灰 黒の七つ。灰色ってのはなかなか見ないなぁ」
「へぇ~、そうなんですか。ちなみになんですけど私は何色ですか?」
「ん~、悪いがリリィの魔力はだいぶ弱いからなぁ。時折見えるのは青なんだけど使えるかどうかはちょっとわからないなぁ」
「そうですか。残念です」
と、今度はリリィが落ち込んでしまったがシンはもう回復していた。
「なぁ俺の使える魔法って?」
「呪術だから相手を一時的に暗闇や行動停止にする魔法かな?あ、と言っても今まで使って来なかったお前がいきなり使えるかどうかは分からないぜ」
「なんだ、そうなのかぁ」
と、ひどく落ち込んだ様子だった。
「まぁ、そうガッカリすんな」
「そうだよシン」
と、リリィやコトリが励ました。
「よし、仕事するか」
「いや、今日のところは帰りな」
「ぇえ?いいって仕事山積みだし」
「いいよ。今日はもう遅いリリィも帰って構わないよ」
「なぁ、シグナ俺は?」
と、期待を込めてコトリが聞いた。
「あんたは残りな」
「ッチ。相変わらずケチだねぇ」
と、他愛もない会話のあと、
「じゃ、お言葉に甘えてありがとうございます!お先に失礼しますよ隊長」
「し、失礼します」
と言ってシンとリリィは部屋を出て行った。
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