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第25話 オレは大人の階段を登りたいのに!!

 侮蔑の視線? 上等だ。男にはそれでもつかまなきゃいけないゆめがある。どんな厳しい状況でも男たるものは果敢に行かねばならないのだ。


「返事がないな。もしかして、先ほどのオレの言葉が聞こえなかったのかい?」


 オレの先ほど発言が聞こえているのはわかっている。ホル子ちゃんが顔を真っ赤に恥辱に震えているからな。だが、それを断るならばオレはさらなる羞恥を奴にプレゼントしてやるぜ。おお、そう考えただけで、なんか興奮してきたわ!


「ならば、再度、言ってやるぞ! さぁ、おとなしくオレと一緒にきて貰おうか! それが嫌ならわかっているだろう?」


「ふざけるな!! 我こそはこの最果ての迷宮の主人にして、牛人のカルクーラ族の族長であるサイフォンであるぞ!!」


 急に顔をあげたと思ったら睨んできたよ。かわいいね。


「サイフォンちゃんか!! かわいい名前だね!! さてと、オレに従わないというならばこちらとしては力尽くで、連れていくまでだ!」


「やれるものならやってみろ!」


 サイフォンちゃん。素敵な名前だけどオレの中ではもうホル子ちゃんで定着しているから、ホル子ちゃんでいいや。ホル子ちゃんはどうやらオレの強さをまだわかっていないようだな。


「相手を見た目だけで判断するとどうなるか。社会の厳しさを教えてあげよう」


 オレはそう言って実力行使に出た。魔物は実力で屈服させないと言うことを聞かないからな。牛人の族長などオレの敵ではないことを教えてやろう。


 オレは杖を構えた後にホル子ちゃんに対して上段から振り下ろした。しかし、彼女はオレの攻撃を容易に回避した。牛人なのに思ったよりも早く動けるようだ。そして、微笑んで挑発するようなことを言ってきた。


「人間の若造の分際で我になんの厳しさを教えてくれるんだって?」


 オレの前世まで含めた人生は人間だと若造の扱いをされるとは思えないけど。しかし、オレを挑発するとは、興奮してきたね。


「若い男女が二人いたらやることは決まっているだろ。そんなにそっちが教えて欲しいなら今からやるか? おっと、どうやら、心の声が漏れていたようだ。危ない。危ない」


 オレのちょっとアダルティな発言を聞いたホル子ちゃんはさらに顔を真っ赤にして、


「危ないのはお前の方だ!!」


 と言って、ツッコミを入れてきた。うーん、何かを入れるのはオレの仕事のはずなのに…


 彼女の発言を聞いてますます興奮したオレは服を脱ぐことにした。敵の前だと? そんなの関係ないね。ここにいるのは男と女だ。そして、古今東西、男と女がやることは決まっているのだ。


「よし、服を脱ぐから若者らしく解決しよう」


 オレの発言はもちろん冗談だ。だが、どうやら彼女はオレが服を本当に脱ぎだしたのを見て焦ったようだ。


「なんか変な奴がおかしなこと言っておるわ。そして、どうして服を脱ぎはじめるのだ!?」


 ホル子ちゃんって意外に純情だな。顔を真っ赤にしてオレに怒鳴ってくるとはね。上半身の衣類を全て脱ぐことで、腹に巻いてあるロープだけの姿になったオレ。


「なんだ? 顔を真っ赤にして、こちらは隙だらけだったのに攻撃を仕掛けないとはな。何か期待でもしていたのか?」


「うるさい。うるさい!」


 オレの言葉にますます怒りが心頭したのか。ようやくホル子ちゃんは拳を握りしめて殴りかかってきた。オレはその拳を回避し、彼女の背後を取る。


 その後、攻撃で前傾姿勢になっている彼女の後ろ髪に隠れている襟首を掴み、体重を乗せて力の限り、下に引っ張る。そうすることで彼女を後頭部から床に叩き落とす。


「流石に頑丈な牛人でも、頭から落ちれば気絶するわな」


 さてと、オレは腹に巻いてあるロープを掴み解いていく。そして、目覚めたら暴れる可能性が高いホル子ちゃんを拘束するために彼女の両手を後ろにしてから手首をきつく縛った。


「気絶しているホル子ちゃんを改めて見るとかわいいな。何か悪戯したいわ」


 美人さんを縛っていたら興奮してきた。今ならこの子の素晴らしいホルスタイン成分である部位を触っても罰は当たらないよね。


 ホル子ちゃんの部下もホル子ちゃんを触って問題ないですよって言わんばかりに気絶しているしね。これは部下からも応援されているに違いない。なら仕方ないよね。


「良し、今なら触れるか?」


 いや、いっその事、大人の階段を登るか。登ってしまうのか? 


「さぁ、ここからが大人の時間だ!!」


 オレはまだチェリーボーイだ。だが、人は己の幸せを自ら掴み取ると言うではないか。それが男のロマン!!


「ふーん、ここから何の時間だって?」


 気がついたら、オレの後ろに綺麗な顔で笑っているモンスターがいた。やばい、どう見ても獲物を狩る蜘蛛の目だ。オレはその笑顔の女を見て汗が止まらない。どうやったら、この状況を打開できるのだろうか。


 綺麗な顔に笑顔を貼り付けた女を見て動揺を隠せないオレはパニックになる頭を必死に抑えて思考に耽るのだった。

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