第2話 人妻(卵持ち)だって良いじゃない!?
神話の時代からある世界樹に匹敵すると言われるアルカイルの大木を登りながら、オレは目を細めて笑う。生い茂る葉を振り払った先についに見えたのだ。目的のモノが…
「お、噂に違わぬ。美少女だな!!」
その光景が視界に入ったことで、枝を握る手の力強さが増した気がする。
「フフ、卵を温めているから無防備だな。子持ちの人妻もオレにとっては恋愛対象さ! オレはイケメンだからな!!」
グフグフと口から勝手に漏れる声に反応したのか枝で出来た巣の上にいた飛行型美女であるハーピィがこっちを振り向き、奇声を上げてきた。
「そんなに警戒しないで奥さん!! オレはただ、あなたと子作りにきたんですよ。どうですか? その温めている卵の兄弟をもっと増やしませんか? そうオレとも子作りをしましょう!!」
オレはハーピィの巣に平泳ぎの格好でダイブ。そう、男ならば誰もが一度はやってみたいというルパンダイブだ!!
「ギャー!! なんか良くわからないことを言いながら人間が飛んできたわ!?」
オレのルパンダイブによる突然の出現に困惑したのか顔を恐怖で引きつらせるハーピィ奥様。恐怖で歪むその顔も素敵だぜ?
「さぁ、ここが二人の愛の巣だぜ? ハーピィちゃん?」
オレは自らの顔に親指を指してポージング。これは決まったな。彼女もメロメロ間違いなしだ!!
「ちょ、怖い! イヤ、近寄らないで!!」
嘘だろう!? ここで空飛んで逃げるの? クソ、空を飛べない豚なオレは彼女を捕まえることができない。もっと、木を登って他の女を探すか…
「うん、卵がある? あれ、ハーピィって確か女しか生まれなかったんじゃないけ?」
ピキーンときたね。これは素晴らしいアイデアだ。いける!! なぜ、今までこのような発想がなかったのだ。よく考えてみると古来から伝わる紫の人が書いた作品を参考にできるじゃないか!
オレはニヤけたまま、懐に卵を入れる。フフ、まるで女になったみたいに胸元が膨らんでいるぜ!!
「嘘、私の卵を!? お願いします。返してください。私の可愛い子供達を!!」
「誰が返してたまるか!! オレの光源氏計画!! 美少女モンスター娘を理想に育て上げるのだ!!」
オレは高らかにそう宣言した後に大樹を駆け下りていく。
「嘘、木を走って降りているの! あいつは本当に人間!?」
「ハッハハ、オレはついに嫁を手にいれるチャンスを得たんだ。やったぜ。光源氏計画を絶対に成功させてみせる!!」
オレは胸元にある卵を見てそう大声で叫ぶのだった。