はじまり
21××年2月初め 快晴の日。
僕たちへの「死刑宣告」は
突然始まった。
─ 20××年 8月2日 日本
その日もいつもと変わらぬ日々が続いていくと誰もが思っていた。
しかし 非日常というものは あまりにも追突にやってくるものである。
経済崩壊だった。
世界規模での株価の大暴落で
以前の歴史にデジャヴを感じるような そんな状況に陥った。
いや。以前の歴史より酷かったのかもしれない。
突然の経済崩壊に 世界は大混乱だったそうだ。
どの国も対応に追われたが中々良い策が見つからず 多くの国は紛争などで無くなった。
もちろん日本でも例外ではなかった。
そこら辺で起きる暴力。暴力。暴力。
警察 自衛隊はほぼ機能しなくなった。
そして それから約1ヶ月後の9月4日。
ついに日本は終わった。
全機関は完全停止。大幅に減少した人口。
幸運にも生き残った人々も死を覚悟した。
しかし その4ヶ月後の1月4日。
日本は再び立ち直った。あまりに速い復活に人々は混乱と喜びに満ち溢れた。
それから日本の復興は速かった。
その時トップにたった 伊集院 浩明という男がなかなかのやり手だったらしくあっという間に日本は以前の日本へ戻っていった。
しかし それと同時に 全日本国民に自分のクローンを一体作り、作られたクローンを全て国に保管するという 義務がかされるようになった。
初めは困惑していた人々も次第に受け入れ、約7ヶ月間で全日本国民のクローンは作られた。
国はクローンを作る理由をオリジナルが死んでしまってもクローンにオリジナルの記憶を移植することでその人が死んでもまた生き返ったことと同じになるので人の減少を抑えるということにしていた。
よく考えると意味のわからない理由だがそこに深く突っ込む人はいなかった。
日本国民にクローンを作る義務がついてから約100年。僕が生まれた今に至る。
─21××年 2月5日快晴の日だった。
世間はバレンタインとかいうイベントに心を躍らせている真っ只中であった。
その日彼、藤間京は久々に降った雪にグチグチ言いながら帰路についていた。
今日は何もいい事がない。
ツイてない。駅で携帯端末を落として探し回らなくちゃいけないし変な酔っ払いに絡まれた。その上金をせびられ3000円失った。まったくツイてない。
「クソッ」
足元の雪を思いっきり蹴っ飛ばした。
イライラする。そういえばあの事件があったのも雪の日だった。雪の日はいつも厄介だ。雪なんか嫌いだ。
建物が所狭しと並ぶショッピングモールの近くの交差点に出た。
イチャコラするカップルがたくさんいる。くそっ。死にたくなってきた。もう嫌だ。そんなしょうもないことを考えていた矢先だった。
藤間の立っている道路のちょうど反対側の大型ショッピングモールの壁面に備え付けられている大きな液晶テレビに突然奇妙な男が映った。
黒色の高級そうなスーツに身を包み、奇妙な形の仮面をかぶった風貌的に30代前であろう青年。
わざとらしく咳払いをしたあと、その青年は 表情がピクリとも動かない仮面の下で確かにこう言った。
『えー、みなさん、あー、みなさんじゃねえか。厳密に言えば犯罪者のみなさん。あなたたちに今日から 生きる権利はありません。』
雪が止んだ晴天の日だった。
日本から犯罪者の生存権がなくなったのは。
初めまして、榎本唄です。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
何せ文才がないものでして…。
お見苦しいものだと申し訳ございません。
ある程度の人が続きを読みたい、と思ってくれたら続きを投稿していきたいと思います。
ので続きを希望の方はコメントまでお願いいたします。
ありがとうございました。