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冬Ⅲ
「…誰…?」
「あ、やっぱり聞こえるんだ?」
クスクスという笑い声。やはり確実に『何か』がいた。
声の方向と大きさから大体の位置を予測して振り返った。
「!」
そこにいたのは大きなお下げが特徴的な少女。
小さな桜の木に同じ色の髪を揺らして、同じ色の瞳を細め、面白そうにニヤッと笑っている。
その表情は全てを見通すような余裕が窺え、この世を見下す様な意地悪さを含んでいた。
「こんにちは冬…間違えた、初めまして!」
とても可愛らしいのだが、冬香の脳内はそれどころではない。
思いっきり警報が鳴り捲っている。
「えーと、色々気になるんですけど…」
「ん?なあに?」
「さっき初めましてって言ったけど…私の名前言いかけたよね?」
「え~気のせい気のせい」
もしかして(しなくても)私、舐められてる?
この娘は何かを軽蔑するような笑い方をするし…。
でも、ただ自分と違う面を罵る馬鹿共とは別のようだ。
まるでこちらの事を全てを見透かして、楽しむ感じ?
「…帰ろうかな」
「ふぇ?え~ちょっと待ってよ~」




