百日紅の散る頃に
高校生の頃は、なぜかいつも眠かった気がする。
片道40分ほどかけて、丘の上にある学校まで自転車で通っていたせいか。
学校が終わった後にコンビニでバイトをしていたせいか。
とにかく眠かった。
まぁ、今でもよく寝ることに変わりはないが。
そんなこんなで、授業中はよく居眠りをしていた。
それでも、国語や地理などの文系教科の成績は良かった。
もう少しまともに頑張っていれば、トップ争いに乱入できるくらいだったと記憶している。
(英語、数学、物理は壊滅的で、補習の常習犯だった……)
夏休みに入る前くらいの時期だっただろうか。
いつものように、廊下側の一番前の席で居眠りをしていると、国語の先生に話しかけられた。
確か、鷲鼻で、南米かどこかの大統領に似ているおじいちゃん先生だった。
「宵凪、この字を読めるか?」
黒板には「百日紅」と書かれていた。
「サルスベリですか?」
「よろしい」
軽いやり取りをした後、大統領は百日紅についての説明を始めた。
おそらく、授業の題材か何かで出てきたのだろう。
寝ていて話を聴いていなかったので、鮮明には覚えていない。
幹がツルツルしていて、猿でさえも滑り落ちるから「サルスベリ」。
そんな有名な話に加えて、もう一つ、恋仲になった男女のうち、女性が男性を百日待っている間に死んでしまってどうのこうの、という漢字の由来の話も聴いた気がする。
そんな説明を終えると、大統領が再び私に話しかけてきた。
「百日紅は字の通り、百日間花を咲かせるという」
そう言いながら、中庭の樹を指差す。
「あそこにちょうど百日紅の樹が植わっている。今、紅い花が咲いているが、いつまで咲いていると思うかね。
夏休み明けにまだ咲いているかどうか、賭けをしようじゃないか」
「百日っていうんだから、夏休み明けはまだ咲いているんじゃない?
咲いている方に賭ける」
私がそう答えると、大統領は、
「私もそう思う。多分、夏休み明けはまだ咲いている」
と同意してきた。
「それじゃあ賭けになっとりませんよ」
そう答えたところで、話は有耶無耶になった。
10月頃まで咲いているかどうか。
それくらい先のことを条件にすればよかったものを。
今となっては、懐かしい学生時代の思い出である。
皆さんの家の周りに百日紅の樹は植わっていますか?
そして、まだ咲いていますか?
実は宵凪の家の近所には植わっておらず、花の様子を見れずにいます。
噂によると、白い花を咲かせる百日紅もあるのだとか。
街中で金木犀の香りを感じる季節となってきました。
台風も来ていたり、久ぶりの秋らしい秋。
体調を崩さないようにご自愛くださいませ。
追伸
百日紅の由来のカップルの伝説は以下のtenki.jpのページに記載がありました。
興味があれば是非。
https://tenki.jp/suppl/grapefruit_j02/2021/08/29/30589.html




