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吹き溜まり

百日紅の散る頃に

作者: 宵凪 陣
掲載日:2026/10/25

高校生の頃は、なぜかいつも眠かった気がする。


片道40分ほどかけて、丘の上にある学校まで自転車で通っていたせいか。

学校が終わった後にコンビニでバイトをしていたせいか。

とにかく眠かった。

まぁ、今でもよく寝ることに変わりはないが。


そんなこんなで、授業中はよく居眠りをしていた。

それでも、国語や地理などの文系教科の成績は良かった。

もう少しまともに頑張っていれば、トップ争いに乱入できるくらいだったと記憶している。

(英語、数学、物理は壊滅的で、補習の常習犯だった……)


夏休みに入る前くらいの時期だっただろうか。

いつものように、廊下側の一番前の席で居眠りをしていると、国語の先生に話しかけられた。

確か、鷲鼻で、南米かどこかの大統領に似ているおじいちゃん先生だった。


「宵凪、この字を読めるか?」

黒板には「百日紅」と書かれていた。


「サルスベリですか?」


「よろしい」


軽いやり取りをした後、大統領は百日紅についての説明を始めた。

おそらく、授業の題材か何かで出てきたのだろう。

寝ていて話を聴いていなかったので、鮮明には覚えていない。


幹がツルツルしていて、猿でさえも滑り落ちるから「サルスベリ」。

そんな有名な話に加えて、もう一つ、恋仲になった男女のうち、女性が男性を百日待っている間に死んでしまってどうのこうの、という漢字の由来の話も聴いた気がする。


そんな説明を終えると、大統領が再び私に話しかけてきた。

「百日紅は字の通り、百日間花を咲かせるという」

そう言いながら、中庭の樹を指差す。


「あそこにちょうど百日紅の樹が植わっている。今、紅い花が咲いているが、いつまで咲いていると思うかね。

夏休み明けにまだ咲いているかどうか、賭けをしようじゃないか」


「百日っていうんだから、夏休み明けはまだ咲いているんじゃない?

咲いている方に賭ける」


私がそう答えると、大統領は、

「私もそう思う。多分、夏休み明けはまだ咲いている」

と同意してきた。


「それじゃあ賭けになっとりませんよ」

そう答えたところで、話は有耶無耶になった。


10月頃まで咲いているかどうか。

それくらい先のことを条件にすればよかったものを。


今となっては、懐かしい学生時代の思い出である。

皆さんの家の周りに百日紅の樹は植わっていますか?

そして、まだ咲いていますか?

実は宵凪の家の近所には植わっておらず、花の様子を見れずにいます。

噂によると、白い花を咲かせる百日紅もあるのだとか。


街中で金木犀の香りを感じる季節となってきました。

台風も来ていたり、久ぶりの秋らしい秋。

体調を崩さないようにご自愛くださいませ。



追伸

百日紅の由来のカップルの伝説は以下のtenki.jpのページに記載がありました。

興味があれば是非。

https://tenki.jp/suppl/grapefruit_j02/2021/08/29/30589.html

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