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歴史の陰 無口が世界で愛されるには理由がある  作者: かづ


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レオナルド①

ここまで来てくれたあなたは英雄です。

ありがとうございます。

俺はレオナルド・バーンベルク。


元は山本康太という日本人だった。

小さいころから勉強をとにかくやらされた。

まあ、勉強は得意というか、やれば何でもできたんだが、何はともあれ俺は現役で志望の一流大学に一発で合格できた。


人生勝ち組当確と思った。


俺ならできて当然とはいえ、それでも必死にやったのだ。うれしかった。


大学からはもうモテモテだったので、遊び惚けてしまったが、それでも大企業に入社して、これからさらに人生を謳歌できると思っていた。


ただ新卒一年目の夏まで、上手くいかないことが続いた。

俺様に営業の外回りをして来いと命じ、しかも客に頭をペコペコ下げさせるなど、ほんと会社の連中は分かっていない。

もう俺にはこの会社が合わないのだと思って、転職を考えていた。

だから有休を目一杯使い果たして止めてやろうと企んだ。


その時偶々付き合っていた女の子と一緒にボーナスを使って旅行に出かけた。


海に行くっていうのに女はノリが悪く、「私は泳がない」とかなんとかいっていたが些事だ。

会社に入ってからなんか人生詰まんなくなったなと思っていた鬱憤を晴らすため、船を借りて沖に出た。

こんなこともあろうかと大学時代簡単に船舶免許をとっていたのだ。


そして少し遠い沖まで出た。

船を止め浮き輪を使って優雅に浮かぶくらいは女も付き合ってくれた。

こんなに開放的な雰囲気だ。

日ごろの不満やストレスというものを発散できると思っていた。


ただその不満を溜めた心が原因だったかもしれない。

ちょっと魔が差したのだ。


ほんの僅かな悪戯心で浮き輪に細工をした。


ただそれだけだ。


しかし、そんなおちゃめな行動が引き金になり、彼女が溺れ、助けようとした俺まで道ずれにされたのだ。


ちょっとしたことで、こんなことになるとは思わなかった。

こんなはずではなかった。

納得いかない。

俺は悪くない。



そう思っていたら、私は転生していた。


溺れていると思っていたが、気が付いたら赤ちゃんになっていた。

しかも貴族の家に生まれたのだ。

生まれながら成功が約束されたと言っていいだろう。


やっぱり俺はそういう運命にあるんだなぁ。困っちゃうよ。ふふふ。


また色々勉強や訓練もやったが、まあ、俺にかかれば、難しくはない。

そこそこすぐにできて、天才と褒め称えられた。


俺がやったのだ、当然だといえる。


その後弟や妹もできたが、俺がいる限り、長男である俺が当主になることが決まっているはずだ。

そんな自信はあるものの不安にはなる。


弟の講義が始まると、なんだか、ちょっと雲行きが怪しくなった。

弟の覚えるのが早すぎるのだ。


ただ弟の性格はのんびり屋というか、あんまり競争心が無い奴だった。


それでも弟の成績があまりにもいいので、少し焦ってきた。

だから弟と仲良くして、その秘訣を聞き出そうとした。

そうしたら思わぬ話が出てきた。


「自分は人生二週目なんだよ。だからかな~」

自分だけがこの世界で特別だと思っていたから、なんだかちょっとむかついた。


俺だけの特別・・・


だが理由を聞いて少し安心したという方が俺には大きかった。

出来て当たり前のことが早かろうが遅かろうがどうせできるのだから。


俺は一流大学に入れるほどのなのだから、いずれ差ができるはずだ。

そう思うと楽になれた。


ただよく考えると、リバーシやトランプなどが、もうすでにこの世界にあったのだ。

小説とかアニメで見ると、自分だけが知っている情報で金儲けをする話があるが、どうやらそれができない。

とはいえ、この地は未開の地だ。まだまだ成長余力はある。

極偶にとはいえ、記憶を持って生まれるやつが他にもいたのだから仕方がない。

俺の未来はまだ輝いていた。


弟から告白があったので、自分もそうだと話したら、ある程度意気投合できた。


また弟の性格も俺にとって都合がいいというか、扱いやすい奴だった。

上を立てることを分かっているというか、身の程を弁えているというか、まあ、そこまで馬鹿ではないから馬が合ったのだろう。


これから俺がこいつを使ってやれば、楽して儲けることが出来るに違いない。



それに対して妹は違っていた。

なんだかおかしいという話がメイドから聞こえてきたのだ。

それは弟とは逆の意味で、話題になっていた。


どうやら障害者のようだ。


面倒な奴だと正直思った。


器量が良ければ、頭の良さなんて関係ない。と思っていたのに、どうやら使い物にならないような奴らしい。

俺の人生の汚点や荷物になるような奴だったらどう処理するかも考えていた。


ところが、妹のステファンの3歳の誕生日に初めて言葉をしゃべった。


ただ喋らない奴だった。

まあそれでも変わったやつだ。正直関わりたくない。


そう思っていたが、こいつも優秀だという話が聞こえてきた。


正直、またか。と思った。

こんな歳でこれだけ変わっているのだ。弟と同じだと分かっている。


母の子宮は異次元の壊れた扉なのか?早く閉じてくれ!

そうお星さまに願ってみたりした。


だが弟と違って、ちょっと近寄りたくないような人間な気がする。


喋りもしないし、笑いもしない。髪の色とおんなじで暗いのだ。あいつは。

直観で分かる、近づくなと本能が警告してくる。


そう思ってあまり近づかず、できるだけ避けていたのだが、毎年恒例の本家に集まるパーティーが開かれる時期がやって来た。


これからエミリヤやガトー、ジンなど年の近い親戚も来る。

あいつらは初めて会ったときから攻撃的でちょっと苦手だ。

父方の親戚筋なので後継者争いになるかもしれないと薄々気にかけていた。

優位性はあるのだが、それでも不安は尽きない。


そんな時になんとなくそうなると思っていたが、とうとう妹と会わなければならないという時が来た。


黙って聞いているだけかと思っていたが、あいつはしゃべりだすと一方的にしゃべるやつだった。

しかも地雷を地雷と分かっていながら踏んでいく。最悪だ。

人が頑丈な箱に押し込めてみないようにしていた問題を平気で俺の前に投げつけてきたのだ。


苦手なタイプだ。


ただこいつは未来を何か知っているのではないかとも思った。

今年から講義が始まったばかりで何かを悟っているような感じだった。

もしかしたらこいつはこの世界を二回やっているという意味で特別なのではないか。

回帰というやつか。小説で見たことがある。

それはズルい。反則だ。


今自分の置かれている状況が本当はまだ何の確定もない不安定な状態なのだと俺を突き放し、不安にさせる。今後どうなるかを知っているのではないだろうか。

ただこいつはほとんどしゃべらない。教えてと頭を下げるのは嫌だ。


あいつが言った「ここは地獄かもしれない」という言葉が耳から離れない。


これからやってくる奴らはみんな俺の敵なのだ。


俺は実際自分が優秀ではないと知っている。

会社では役立たずと思われていた。この世界で本当に居場所があるのか不安になる。


俺の人生はこれからどうなってしまうのか、不安で不安でたまらなくなった。

俺は選ばれた人間のはずだ。

なのにこのままじゃいけないのか?


絶対に制度がおかしい。周りがおかしいに決まっている。俺は悪くない。全部この世界が悪いんだ。


世界が俺に厳しいのは、やっぱり地獄に行かされたからなのか。


今俺は何処までも暗闇が続くトンネルの前に立っている。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

ちょっと暗めの話でしたが、いかがでしょうか。


よろしければ、評価の星やブックマークに入れていただけると大変うれしく思います。

どうぞよろしくお願いします。

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