表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女は祈らない  作者: 異原 世界
魔王(ぜろ)再臨編
2/18

第一話 今度こそ!

是非一話から読んでみてください!

——私は「全知」になりたかった。


なんで?


たぶん、そう思う人はいる。 けれど、それはすでに終わった話だ。


私は「世界を、すべて、理解したかった。」


五感で観測できるものだけじゃない。 文章のパターンや、人間の衝動、


どれだけ分析しても、一緒にして持ちえる記述体系はあまりに少ない。 だから私が目指したのは、「神」ではなく「全知」だった。


「私の意思」で世界を変えたいんじゃない。 「世界がどうできているか」を、一つの記述として置きたかった。」


そのはじめは、小学生になったときのこと


「自由研究」というありふれた課題に、当時の私はスッと思った。


「人間には不可能だと言われてることを、つくってみよう。」


近くにあって、だれも手をつけようとしないもの。 それは、太陽だった。


私は、太陽をつくろうとした。


もちろん、夏休みに終わるわけもなく、あの時はいろんな人に怒られたな、いや、ほとんどの人が引いてた。あの親の顔見せてやりたいよ。


もちろん、私も簡単じゃないことは知っていた。


知っていて、それでも、したかった。


「しゃべったことをコピーしただけで」やりたいんじゃない。 「ここにたどり着いた」と、私の言葉で言いたかった。


高速で手を動かせば、どっかの線に引っかかる。 体育のような従題的指示は不要だったけど、太陽をやるにはルールが必要だった。


親の電動洗濯機を切り開けて、モーターを削った。 ごはん中に「ガイガーカウンターって家庭にないの?」と聞くと、父は無表情でカレーをよそった。


自分の高速な考察や、既成の理論を誰かに見上げられたことは一度もない。 でも、思考の形を覚えるのが好きだった。


「なんでそんなことするの?」 その言葉の起点や、背景、他人の心理、思考のグラデーションを分析して、記録する。


それも全知になる過程。 人を軽視したことなんて一度もない。


人間の思考が、世界を形成するんだから。


私はただ、世界のすべてを、「知りたい」それだけなんだよ。


それが、今も、ずっと変わらない。


太陽が失敗したって、それもデータなの。


それを持って、次の世界で、また世界を分析する。


私の名前は朝霧結花(あさぎりゆいか)


全知になりたかった女の子。


そして、たぶん私は…またどこかの空の下で、 同じことを考えてる。




柔らかい布の感触。

ミルクの匂い。

そして、誰かの腕のぬくもり。


遠くで、何かを話す声が聞こえる。

高く、優しく、わずかに震えている声。


――ああ、これ、聴覚か。久しぶり。


ぼんやりと意識が浮かび、私はまどろみの中で自問する。


(……生きてる?)


目は開かない。けれど、わかる。

私は、確かに「生きている」。


ただし、いくつかの異常を、即座に感知していた。


(……体が、小さい。四肢の可動範囲が限られてる。

重心が……狂ってる? いや、骨格から違う?)


皮膚に当たる空気が当たる感覚がする。

いや、当たるというより、“空気が粗い”。


(これ……まるで、プラズマの初期層。反応性が高すぎる)


直後、断片的に記憶がよみがえる。


地下研究棟。起動シーケンス。

あの熱、あの閃光――炉心の暴走と、光の渦の中で、私は……


(――なるほど、死んだ。いや、飛んだ?)


意識を集中すると、視覚は未発達ながら、内側に別の“感覚”が生まれていた。


(……流れてる)


血流でも神経信号でもない。


透明で、温度を持たず、それでいて明確な“圧”を持つ粒子が、空間を漂っている。


(なにこれ。物理法則が違うの?)


私は指を動かそうと試み――わずかに、ぴくりと動いた。


すると、粒子が、ふわっと手の周囲に集まった。


(……やば。これ、干渉できる)


明確に反応している。

まるで私の意志を読んでいるような挙動。


(この干渉性……量子的というより、情報場的。仮称、“エーテル粒子”としよう)


(情報体、かつエネルギーキャリア。つまり、こいつらで何でもできるってこと!)


あまりの興奮に、私は思わず口元を緩めてしまったらしい。


その瞬間、誰かが大きく声を上げた。


「----! ----、----------」


(……何て言ってるんだ、私に知らない言語なんてあったの?)


目をうっすら開けると、光に慣れない目がじんわりと滲む。


視界に、赤毛の女性が映った。

やさしい瞳で私を覗き込み、涙を浮かべていた。


「---、---、--! --------……--------!」


部屋の向こうから、男の人が駆け寄ってくる。


「--……----……!」


(なるほど、私、赤ちゃんポジか。なるほど)


二人はどうやら両親らしい。


見た目からして30代前半。肌も髪もよく手入れされていて、生活レベルは高め。


そして、部屋の作り――梁の木目、石組みの壁、通気窓の構造。


(これは……プレモダン建築? 中世風ファンタジー世界の可能性が高いな)


音のパターンに集中する。

二人の言語は日本語ではないが、構文と音節に規則性がある。


(ふむ、膠着語(こうちゃくご)……格変化は語末。語順固定型。文法のパターンが単純で解析しやすい)


(私にこれを理解できないとでも?)


私は再び目を閉じる。動かない体に代えて、頭脳をフル回転させる。


「---! -----------!」


---


数日後。ベビーベッドの中、天井を見上げながら。


(エーテル粒子は依然として可視。これは私だけの感覚なのか?)


意識を集中すると、粒子がひとところに集まる。


次に、眉間の奥に熱のような刺激が走る。


(これは……意思を介した干渉系?)


(言語の習得状況:母音と子音のパターンは解読済。翻訳は可能。会話も、少しならできる)


私は今、“ソフィア”として育てられている。


この名は悪くない。音の響きも上品だし、他称でも受け入れやすい。


日々、周囲の会話を記憶し、空気中の粒子を観察し、肌の発達を確認する。


(指先の神経反応はまだ鈍い。反射系は仕上がってない。くそ、ノートが欲しい……)


私は考える。


(この世界の物理法則と、前の世界の理論との間にどれだけの差異があるか)


(エーテル粒子の構成と干渉性の根拠)


(そして、私がなぜこの世界に転生し、なぜ“この感覚”を持って生まれたのか)


そのすべてを、私は解き明かしたい。


前の世界は不自由だった。

何かしようとすると必ず邪魔が現れた。

でもこの世界なら、私はできる。

世界の全てを知ることが


読んでいただきありがとうございます

続きが気になりましたらブクマなどしていただけたら嬉しいです!

感想などで批判などでも大変励みになります。

ちょっと傷つきながら改善していきます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ブクマ&評価させていただきました! 主人公のモノローグが中々独特で、魔法ものでありながらSF感のある表現に惹かれました。 とても勉強になる技法だと思います…_φ(・_・
すごい! すごく天才な主人公で、だいぶ何言ってるのか分からないですが、すごく面白いです! 頭が良い人が何に驚くのか、何を楽しいと思うのか、追体験できるのって貴重ですね……! ぜひ続きを読みたいのでブッ…
主人公変わり者すぎです!笑 でもそれがよりキャラを立てて、面白さを作ってると思います!! だいぶsf要素も強く、けど見やすく、説明や文章の作りもすごく上手であっという間に読んでしまいそうです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ