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9話 私達は向かうアダマス王国へ




「では、(めし)も食ったことじゃ、本題に入ろうかの。アダマスで気をつべきことじゃが………」


  ユニムは驚きを隠せない。ゼルドのあの一言を忘れられない。


「男はメシと言っていいのか」


『ユニム様。女の子はメシだなんて言いませんよ』


 ゼルドが言い放ったその一言が、記憶を思い返させる。


「………どうしたんじゃ?

「おお、そうじゃった。そうじゃった。

「今日は、客人がおるでの。

「なあ、何か話すかの?」


「・・・」


 毛深い男は、うつむきながら、黙秘(もくひ)(つらぬ)いている。


「だんまりか、まあええ」

「よく聞くんじゃぞ、いいかアダマスでは………」


 ユニムの(ほお)(すみ)がついている。何を食べたのだろうか。


 ゼルドが車内を見渡すと、キールトレインの座席の奥側に先程のボロボロの黒い半ズボンに小綺麗な黒いジャケットを肌の上から着ている人がいる。


 ブルースカイの言っていた客人だろう。獣のように毛深く、その左横に赤と金の絵に書いたような宝箱があった。


 一瞬その人物と目が合ったが、何事もなかったかのように、ゼルドは人目もくれず宝箱目がけて一目散(いちもくさん)だ。


「あ!ブルースカイさん!

「宝箱じゃないですか!

「どこで手に入れたんですか?

「何が入ってるんですか?

「触っていいですか?

「いいですよね?」


 質問()めだ。鍵はかかっておらず、簡単に開けられるようだ。


「よさんか」


「えっと、どれどれ?」


 中身を物色(ぶっしょく)していると、暗闇が広がっている・・・


 その暗闇から、突如(とつじょ)として、ベロリと長い舌。宝箱の(ふち)全体にキラリと光る鋭い(きば)が現れる。


「あ………知ってます・・・あの、もしかして、これ宝箱じゃなくて、ミミックですか――?」


 こちらを振り返りながら、顔面蒼白(そうはく)になるゼルド。

 そう言ったのも(つか)の間。ゼルドの頭をその大きな口が(おお)おうとしていた。


「たすけてください。ユニ………」


 次の瞬間、ゼルドは宝箱の正体であるミミックに食われた。


「私はなにも見ていないのだ」


 少し(ひど)顛末(てんまつ)である。


「まあ、聞こえとるじゃろ。でな………」


 元四権英雄にして、賢者ブルースカイの話を要約し、私から、注意点について、()べる。



 貨幣(かへい)の国「アダマス」では、電気石が用いられていることは、皆さんご存知(ぞんじ)だろうか。


 そこで、窃盗(せっとう)に気をつけていただきたい。

 アダマスには、旅人を狙ったスリがいるからだ。


 防犯として、賢者ブルースカイより、呪文がかけられている。


 この呪文は、マンドラゴラの声を発生させるものであり、聞いたものは死の(ふち)(おが)むことになる。 


 だが、安心してほしい。死にはしない。


 触れた瞬間発動するため、盗みはしないだろう。


 また、触ったものにしか聞こえず、ユニム達には、反対呪文もかけられているため。呪文がとけなければ、マンドラゴラの声は聞こえないのだ。


 アダマスには、商人(あきんど)が多くいる。


 彼らは、執拗(しつよう)に物を売りつけてくるが、贋作(がんさく)がほとんどだ。

 何も買うな。とのこと。



 そして、私からアダマスの地形について、紹介する。


・ブロンズプレーンズ (銅平原)


 よく銅が転がっている。なだらかで、高低差が少ない。



・シルバーバレー (銀の谷)


 落ちたら、一巻の終わりだが、谷底には銀が豊富(ほうふ)に採れるという。



・ゴールドコースト (黄金海岸)


 たまに金が流れつく。

 海底深くに眠っているものだとか。

 錬金術師が作ったものなのか。

 宝玉が海に眠っているのかは、(もぐ)ってみないとわからない。



・サファイアレイク (蒼玉湖)


 ネッシーが住んでいる湖だ。

 そのネッシーはサファイアを(まと)っていると言われているが、目撃数や、証言が少ない。

 本当に存在するのだろうか?

 疑問である。



・ルビーケーブ(紅玉洞窟)


 蝙蝠(こうもり)蜘蛛(くも)がいる。 

 ルビーが取れるが、迷宮のようになっている。

 


・エメラルドフォレスト(翠玉森)


 樹木(じゅもく)がエメラルドでできている。

 元々、天然林だっかたが、人々が伐採(ばっさい)するため、人工林になりつつある。



・アメジストデザート (紫水晶砂漠)


 アメジストでてきたオアシスが(まれ)にある。



・パールヒルズ (真珠小山)


 昔は、海だった。

 パールの眠っている小さな山。

 ピンクパールが手に入るかもしれない。



・オブシディアンマウンテン (黒曜石山)


 オブシディアン・スライムが住んでいる。

 火山があり、稀にダイヤが取れるのだとか。

 聞くところによると、例の(おおかみ)がいるのだとか。


 

 そして、待ち(かま)えるのは………



 金剛城 (ダイヤモンドキャッスル)


 賢者 トヨミトにより()てられた。

 歴史は浅く、セレスティアル暦によれば現在より428年前である。



 



 ………おっと、彼らに動きがあった。


「あ、あー。聞こえますか」


 宝箱から、ゼルドの声が聞こえる。

 なんとも間抜(まぬ)けだが、まるで宝箱がしゃべっているようだ。


「聞こえているぞ」


「はよでてこい。なにをしておる」


「それが、鍵がかかってて、出られないんですよ」


「…ん?」


「開けるぞ」


「待て………」


 ユニムがしゃがむと、ミミックがくらいつく。


「しまっ………」


 ミミックの体内は、どこに繋がっているのだろう?


 二人を飲みこむ、巨大な胃袋。


「聞こえておらんようじゃ。探すとするかの」


「ねえ、ブルースカイ。なにがあったの?」


「…ミミックにくわれおった。わしは気づいたんじゃがな、鍵はかかっとらんかったんじゃ、どうもおかしな発言じゃと思うての」


「大丈夫よ。あの子たちならね………うっふふ。その方は誰かしら?」


吾輩(わがはい)か、名乗るほどの者ではない」


「ファングじゃ。ちと特殊な奴での」


「その方に任せたら?」


「そうじゃな。では………」


「セレスト。行ってくる」


「ええか。その名前で呼ぶでない」


 ブルースカイが、視線を向けるとファングの姿はそこにはなかった。


「行ってしもうたの。今日は満月じゃが、大丈夫かのう」

概要 (Overview):ミミック (Mimic)


♢ミミック (Mimic)


 ミミック (Mimic) は、「真似る」「似せる」を意味する英単語であり、生物学における「擬態」を意味する。


 これにちなんで指すロールプレイングゲーム(以下、「RPG」)の世界に登場する怪物モンスターを、本項では記述する。


 他のものに姿を変える能力を持つ「シェイプシフター」と総称される怪物の一種。

 宝箱そっくりの姿をしており、ダンジョンや廃墟の中で数々の難関を乗り越えた冒険者が見つけて宝箱の中の財宝を手に入れるべく開けようとすると、箱の口が牙だらけの口と化して襲いかかり、冒険者は手痛いダメージを受けるというものである。

 RPGに登場する怪物の中でも比較的新しいものらしく、神話や民間伝承での存在は確認されていない。


 実際に宝箱そっくりの外見なのか、別の外見を持つものが宝箱の姿に擬態しているのかは不明。


ウィキペディア(Wikipedia)より

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