76話 同じ轍を踏むのか、新しい礎となるのか
~【過去】ヴェルデと蒼きリュウジン~
そのリュウジンとヴェルデは意気投合し、いくつか話をした。
四王国であった出来事、自然の素晴らしさ、自然を生み出したい。
私の国は、間違っている。
野蛮な連中しかいない。
つまり、進化の道を辿っている途中であり、私は見つけ出した。
植物や、微生物にその神髄を見た。
彼らは、争いもしなければ、自然を乱すこともしない。
彼らこそ、進化の覇者だ。
その道を辿りたい。
自然を意のままに操り、自然と同等の存在になりたい。
彼は、そう告げたのだ。
「ついてこい」
一言だけ、述べた。
ヴェルデがリュウジンの背に乗ると、リュウジンは飛んだ。
そもそも、飛行力学や、航空力学において、リュウジンの飛翔は、実にあり得ない。
羽も翼もないのに、あの巨体を雲より高く空へと浮かべるのだ。
ヴェルデは、リュウジンを目の当たりにし、もちろん驚いたが、彼らが、人間の言葉を話すことに更に驚いた。
人間の言葉を話すためには、人間と同等の脳の容量が必要になってくる。
インコがやってのけるあれ、ようするに鸚鵡返しは、喉の器官は、発達しているものの、言葉を理解していないのだ。
また、食欲による、生きる、空腹からなる生存本能は、彼らを駆り立て、餌をくれるのなら、鳴いてやろうという心意気であり、決して喜ばせようとなどは、考えていない。
だが、リュウジンはどうか。
ヴェルデの言葉を理解している。
ちなみにこの時、ヴェルデは、インペリアルハーツ語で話していた。
まるで、空を海のように、くねらせながら、宙を進んでいくリュウジン。
彼は、リュウジンの国「ドラゴニクス」へと招かれる。
それは、それは、遠い道のりであった。
四王国の中にいれば、この素晴らしい景色も観れなかったに違いない。
彼は、包帯を取り去ると、その島を視界に入れた。
頂きに拝むは、美しき山々。
その下に構えるのは、雲の城。
あくまで、雲の城とは比喩である。
山々の下に雲が連なっている。
全貌のわからない国、それこそがかの「ドラゴニクス」であった。
「着いたな。だが、この世界も、この国も、上から見れば、一グラムの土に同じ……」
その蒼きリュウジンは、意味深長な言葉をつけたす。
疑問であった。何を言っているのだと……なぜならば、この世界は広いからだ。
ヴェルデは、すかさずその発言に重ねるようにして、疑問を呈した。
「あの……リュウジンさん、どういう意味ですか?」
「もちろん知っているだろう? 土一グラムに含まれる細菌の数は、一億」
「なるほど」




