表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【階級試験篇】:ラ・ドゥスール・アティール・プリュ・ク・ラ・マルトゥール

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/155

71話 メンデレーⒻ




(りょく)(おう)


「・・・」


 聞こえていないのだろうか?

 ゾルは、一度視線をよこすが無視している。


「聞こえないのか? 緑黄」


 ユニムが、声を少し大きくする。


「・・・」


 やはり、ゾルはだんまりだ。

 どうやら、緑黄とよばれたくないようだ。


「先程の話について、見解を述べたいのだが……」


「なんだ?」


 ユニムが、わざとらしく咳ばらいをする。


「メンデレーエフとはなんなのだ」


「メフィストフェレスだ」


 ユニムの聞き間違いであるメンデレーエフという人物は「科学の予言者」とも呼ばれ、周期律を発見、当時の未知の元素の予言。


 さらには、物理学・化学的性質までを的確に予言したことで、有名であり、我々の世界でも科学界に大きな衝撃を与えたことで、その名が知られている。


 なぜ、ユニムがメフィストフェレスをメンデレーエフと聞き間違えたのかは、わからないが、理由があることには違わないだろう。


 

 ……話が逸れてしまった。


 ところで、メフィストフェレスだが、ユニムに会いたいらしく、ゾルが、ギルドの最深奥と案内する。


 途中、光明のレナ、分割のティタインともユニムは会ったが、レナは忙しいのか、簡単に挨拶を済ませ、ティタインのみがついてきた。


 どういうわけか、青羊(ウォーターシープ)のシツジらしき魔獣と珈琲鷲(コーヒーグル)のトシが入れ替わっている。


 いつ入れ替わったのかは、わからないため、不思議に思えたが、彼女たちと会うのは久しく、スーペリア以来である。


 ユニム達は《メーラ・ジャッロヴェルデ》に来てから、三日以上の日付が経過している。


 そのため、声や顔、背格好、それから、特徴までも、忘れていてもおかしくない程の久しさであった。


 実は、試験を受けてからというもの、「(へん)()()」として、ユニムとゼルドは、認められ、「(メイ)」の勲章を獲得した。


 それぞれ、(かばん)に、右肩に、しまったり、交換したりしていた。


 トライデンスからは、おめでとうの声はなかった。


「悪くない」と一言添えられ、ユニムは、反発しそうな勢いだった。


 ゼルドはキョトンとして、「悪くない……つまり、良いの反対では?」と、これまたうまい具合に甘言(かんげん)を放つ。


 彼、ゼルドに何か、(たくら)みや思惑があるのかは知れないが、トライデンスからは、はっきりと、「悪くない」の後に、「信じられん」と付け加えられた。


 これは、彼の性質それ(すなわ)ち、ケルベロス〈獄猋〉になれてしまうこと、ブラッドウルフ〈黒狼……黒いためコクロウ、ブラックウルフとも呼ばれる〉になれてしまうことが、その発言から、裏打ちされていた。


 緑黄のゾルも「変加護でケルベロスは聞いたことがない」と、その事態の異常さを(ほの)めかしていたことからも、「信じられん」の発言の真意が読み取れる。


 従来から、ゼルドの母親は誰であるのか。父親は誰であるのか。


 ゼルド本人も様々な憶測を浮かべていた。


 だが、ユニムに対しては、言及されてこなかった。


 彼女は、不思議なことに自分の父親や母親について、あまり深くは考えない。


 なぜならば、彼女の目的は海内女王になることにほかならず、両親の所在は、重要度が低いのかもしれない。


 今すぐに行うべきことから、外れており、彼女はいつも階級を上げること、強くなること、情報収集の三点を念頭に入れているようであり、それ以外は、二の次となるようだ。


 それにしても、メフィストフェレスの名は、まことしやかであり、悪魔なのか、女王なのか、蜂なのか。


 ユニムにも、疑問となる点が多くあるようだった。


 もし、悪魔であるのなら、人以上の存在。


 もし、女王であるのなら、階級海内女王(かいだいじょうおう)は確実。


 そして、蜂……海内女王なのか、繁栄蜂なのか。紛らわしくもあった。


 もし、繁栄蜂(はんえいばち)ならば、あのマスタングが黙っていない。と、思われたが、マスタングは、()(しつ)しない男である。


 階級が高いからと、強さを見せびらかしたり、階級を利用して、一攫千金などなど。


 なかには、ずる賢い者もいるようで、階級試験詐欺、階級詐称、勲章強奪、勲章を偽造して売りつける。といった、犯罪行為、所謂(いわゆる)、王法に違反する行為も見受けられるのだとか……


 どの国にも不届き者はいるため、階級試験の詳細は(おおやけ)に語られないのだ。


 暗黙の試験といったところだろうか。


 さて、ユニムの疑問についての話であった。


 もし、二番目の疑問――もし、女王であるのなら、階級海内女王(かいだいじょうおう)は確実。


 これについてだが、説明を付け加えるなら……



 フォーチュリトス   黒拳(こっけん)のアルジーヌ


 アダマス       赤手空拳(せきしゅくうけん)のコマイ


 インペリアルハーツ  ()(れん)()(どう)(てん)使() マダム・ウィッチ


 スーペリア      悪魔女王蜂メフィストフェレス



 ユニムは知らないが、実は、メフィストフェレスは海内女王である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ