表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【階級試験編】:セミ・デ・グレーヌ・ダムール
57/64

57話 青天の霹靂




「聞こえるか……?」


 二度頷くと、その振動する電気石に耳を近づけるユニム。雑音が酷く、何を言っているかは、わかるが、ものすごく聞き取りづらい。


 私達の世界でも、電話をするとき、声がとぎれとぎれになることがある。


 一種の電波障害であるが、電気石の通話の向こう側から、状況を探ることができた。


 何者かが、話している。ひそひそと、聞いたことのない声で、話している。


 その声は、近づいてくると思いきや、離れていき、同じ人間が、会話をしているようであり、若い声や、老いた声、高い声、低い声も聞こえた。


 ただひとつとして、女性の声だけは聞こえなかった。


 その人物達は、水の中で話しているようだった。

 だが、ゴポゴポと、(あぶく)が浮き上がっていく音は聞こえない。


 その時、ユニムに聞こえるのは、耳を塞ぎたくなるほどの雷鳴であった。



「白河童ではないか。何事だ?」


「けけけ、そうこなっくっちゃなあ、未来の海内女王だったか。今何してる?」



 隣にいるゼルドは、その様子を呆然と見つめていた。聞いていた。



「スーペリアの遅咲きの森にいるぞ……」


「・・・」



 声が、聞こえなくなった。どうしたのだろうか。白胡椒は、黙っているのか。何か、考えているのか。


 ユニムには、わかなかった。


  

「返事をするのだ」


「――聞こえるか?」



 先程と同じセリフだ。


 だが、ユニムは気づいた。この事態が、普通ではないことに、なぜならば、その声は、白胡椒のものではなかった。



「あんたは、誰なのだ」


「これより、そちらに向かう。耳を塞いでおけ」


「な、どういうことなのだ」


【通話が終了されました|】



 ユニムとゼルドは、見つめ合うと体が硬直していた。


 なぜならば、軽い痺れを感じ、感電していたのだ。



「筋肉に異常は、見られんな。内臓も共によし。電気石を確認した。初期型で、間違いなさそうだ」



 先程の男の声である。


 誰なのか?


 二人は、視線を向けられないまま。


 肩に触れられた。



「案ずるな、結局、どんな言葉も瞬間にすぎない。その瞬間を我々は、考え、悩み、腹を立て、怒り狂う。そんな愚かなことはない。悩む必要などどこにある」


「あなたは……?」


「俺は、トライデンス」



 彼の肌は、暗めの褐色であった。その肌に、似合う金色の髪。短髪だが、金髪であった。


「場所を移すぞ」


 この男は、この男と話していると感覚がズレているような気分になるのだ。


 まるで、なにもかも見透かされているような、そのような気分になる。



「電気石を貸せ」


「こ、これでいいのか」



 なんの影響なのか、身体に微弱ながらも電波が流れていることが、ユニム達にもわかった。


 電気は、心地よく体の疲れを癒やしてくれているようだった。



「話は聞いている。クロノスに鍛えられたそうだな。あの、クロノスが四権英雄か……」



 彼は、考え耽っているようだった。


 

「ネロ様です。トライデンスさんでしたっけ?」


「これでよかったか。受け取れ」

「トライデンスとは言ったが、名前はいくつかある。まず、トライデンス。次にプラチナ。そして、忌まわしきゲルブ……」


「やはり、あなたが……」


「白胡椒が世話になったな。ところで、名前は?」


「最初に聞いてくださいよぉ」


「すまん。俺は、口下手だ。例えば、自分の意見を言ったとするだろう。すると、俺は、相手の話を聞いちゃいない。そんな奴だ。ネカァにもよく言われたな。『作れんの?』あの、ネカァがな。まさかな……」


「ネカァさんについて聞きたいです」


「戦友だ」


「もしや、海内女王なのだな」


「おっと、クロノスから聞いていないのか。元四権英雄だぞ」


「なんだと……」

「女で、四権英雄になった者は、いないはずだ。どういうことだ。」


「そこは、複雑だ」

「異名を知っているだろう」


「では、ネカァさんが、緋色の剣士なのですね」


「そうだ、妹のヒイロを護るための、ヒイロを護る剣士、それが彼女ネカァだ」


「私は、ネカァのようになりたいのだ」

「聞き捨てならんぞ」

「女で四権英雄だと……本来なら、私が最初だったのだ」


「ちょっと待て、名前はなんだ。四権英雄になりたいのか」


「私は、海内女王になる女だ。そして、四権英雄となり、神物プラネットパズルを見つける」


「……そうか。いい夢だな」


「夢だと、私は本気だ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ