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TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【階級試験篇】:クラージュ

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51話 だから私は、強欲の緑(グリードグリーン)




「あなたの影は(いく)つですか?」


――何を言っているんだろう。影はひとつだ


「答えるまでもありませんよ。ところで、あなたは誰なんですか?」


「であれば、名乗るまでもありませんよ」


 元()(けん)(えい)(ゆう)達は、自分達の名前をひどく嫌っている。


 何故(なぜ)ならば、彼らは、大昔、勇者と共に魔王と闘ったが、()()()()()()からである。


 人々は、軽蔑の目、憐れみの目で、彼らを弱者と見なし、その名は、新聞や噂話、街中で、嫌われた。


 これは、そんなグリードグリーンこと、林帝のヴェルデのお話。


---


「カステッロワインを1つお願いします」


 ヴェルデは、葡萄酒を一つ頼むと、扉から、カウンターに身を移し、座った。


 彼も身長が高く、二メートルはゆうに超えていた。


「大きなお客さんだねえ。(さかな)はよかったかい?」


「結構です」


 この時代に電気石は、まだない。

 彼らはまだ、もたらしていない。


 実は、元四権英雄達は、力をもとに、四つの権物(けんぶつ)(もたら)したとされている。


 なかでも、雷帝の ゲルブ の電気石は画期的であり、彼は、アダマスの現在の(てん)()(こく)(おう) 白胡椒(ホワイトペッパー) や、あのクロノスのかつての配偶者である謎多き 異世界人ネカァ、若き日の 蒼き稲妻ネイビス と共に、造ったとされている。


 ヴェルデは、ひとり考えていた。



――魔王は倒せなかった。

 それでも、何かを、残したい。

 そうだ。この四王国に自然を与えれば、緑が豊かになる。

 私がやるべきことは、たった1つだ。

 この四王国を緑で溢れかえる国々にしたい。



 そう思い立ったヴェルデは、スーペリアに向かった。


 スーペリアの北部にある荒地、荒野と言っても差し支えないかもしれない。



(いくさ)のトロイよ。

 きこえるか。

 私は、力を望む者。

 私は、自然を愛する者。

 私は、あなたを敬愛する者。

 その戦のトロイの名に恥じぬ行為が行いたい。

 戦も力も対立し、いつだって一方向である。

 だが、その力をどうか平和のために使えないだろうか。

 トロイの名のもとに、この地を、緑豊かな地にしたい。

 どうか、私に力を与えたまえ」


柳緑花紅(りゅうりょくかこう)万緑一紅(ばんりょくいっこう)



 たちまち、荒地に草が生える。


 自然魔法緑系の難点は、時間との勝負だということ。


 木は、すぐには生えない。


 時間を早めることだって、できないことはないが、魔力を奪われる。


 魔力は生命力だ。身を滅ぼしてまで、大地を変えるものはいない。


 だが、ヴェルデの心意気は違っていた。


 自分の生命力を理解し、ギリギリまで、寸前まで、自然の魔法を使い続けた。


 彼は、自分の役目は、終わったと考えていた。魔王は封印したのだから、金輪際現れないだろう。



「勇者様、私は、生を全うしました」

「次の世代に――未来を託したい」

「老若男女に幸あれ」



 ヴェルデは、その場に倒れてしまった。






〜フォーチュリトス王国〜



「大丈夫ですか?」


「ここは……」


「フォーチュリトスのオルダインですよ」


「あなたは……」


「ラベンダーと言います。あなたは?」


「私は……」


――ここで、ヴェルデと名乗ってしまえば、この家から追い出される。私の名前は、四王国全土に広がっているのだから、伝えるわけにはいかない。




『欲深いのうヴェルデや』


『俺もそう思う』


『・・・』


『名前を変えたいんですよね』


『グリードなんてどうじゃ?』


『強欲ですか?悪くないですね。グリードとグリーン、相まって、呼びやすいですし』


『グリードグリーンで良いと思う……』


『ありがとうございますネカァさん、あなたの活躍は素晴らしかったです』




---




「グリードグリーンです」


「変わった名前ですね」


 ラベンダーの彼は、ちなみに後のパープレットであり、この地で、ヴェルデと邂逅(かいこう)した。


「この記事ご存知ですか? グリードグリーン様。スーペリアに、森が突如として現れたそうですよ。何事ですかね。この世界セレスティアルは不思議なことが多いです」


 新聞を受け取ると、ヴェルデは、その森が自分がつくったものだと確信を得た。


 後に、その森は"遅咲きの森"と名付けられ、賢者ジャンヌがその森を気に入り、自分の異名に遅咲きをつけた。


 その森では、冬に春の草や花が咲くらしく、季節違いの森 とも呼ばれている。


「遅咲きの森だそうですよ。スーペリアを知らないんですよねえ。グリードグリーン様は、訪れたことはあるんですか?」


「あ……」


 ありますよ。と、いいかけた。

 言わないほうがいいと咄嗟に判断した。

 四権英雄の証である。「A」の勲章も外してあるのだから、格好にも気を遣い、鎧は脱ぎ、我々の世界で言うところの古代ローマ人のような格好をしていた。



「ないですよ」

「ラベンダーさん、ここは?」



 辺りを見回して、異変に気づいた。



――懐かしい。ここは、サンタンジェロ


「私の城、サンタンジェロです」


「とすると、あなたは?」


「天地国王ですよ。国王だなんて、名ばかりです」

「実は、国王を辞めようと思っていまして……」


「どうしてですか?」


「アレキサンダーという若輩者がいるのですが、彼は天王子の中でも、特別優秀でしてね」


「譲渡するのですか?」


「ええ、まさしく……」


 ラベンダーの表情はどこか悲しげだった。哀愁漂っていた。


「私は、向いていないんですよ」

「国王なんて、柄じゃないですし」

「彼の活躍は、現役の頃から聞いていますから、セオドニアの頃から、長をやっていたとか。生まれながらにして、王なんですよね」


「私の話を聞いていただけますか?」


「ええ、もちろんですよ」

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