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TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【階級試験篇】:クラージュ

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49話 果断であれ




 時に、運命とは、かの魔人サターンが言っていたように、残酷かもしれない。


 マキャベリ著の君主論にはこのような記載がある。


『人は、慎重であるよりは、むしろ果断に進む方がよい。

 なぜなら、運命は女神だから、彼女を征服しようとすれば、打ちのめし、突き飛ばす必要がある。

 運命は、冷静な生き方をする人より、こんな人が言いなりになってくれる。

 要するに運命は、女性に似てつねに若者と友である。

 若者は思慮を欠いてあらあらしく、いたって大胆に女を支配するものだ』




 光明のレナの電気石が光る。

 誰かと思えば、分割(ディビジョン)のティタインからだ。


「もちもち、どこにおるし」


 相変わらず、滑舌の悪さが際立っている。

 もしもしと言うべきところが、正月の注文のようになっている。


「あーし、今、ネイビスと一緒、ユニムっちが、敵に攻撃されてるって……」


 ティタインは少し黙ると、電気石越しに「う、うん」と肯定する反応を示した。


「そうだし、この魔法はあの人だし」

「まだ、近くにいるし」


 あの人って誰? と、レナが考えていると、後ろにいたはずの、ネイビスがいなかった。


「あれ? ユニムっち。ネイビスは?」


 ユニムが急いで、手で示す。


「反対方向に向かったのだ」


「ええ〜このまま行ったら挟み撃ちできたし〜」


「ネイビスは青く光っていたのだ」


――それってまじやべぇじゃん


「え、やば、本気じゃん」


 ネイビスの能力は、基本的なことはわかっていないのだが、蒼く発光する。

 おそらく、それは、稲妻や(いかずち)なのではないか。と、四王国の人々から、伝聞、見聞されている。


「ここは危ないし、反対の階段から出るし」


「行こ。ユニムっち」


「ゼルドはどこなのだ?」


「わたちが一緒だし」


「大丈夫なのか?」


「大丈夫だし。不思議な物を見つけたし」


「何を見つけたのだ?モフモフか?」


「何を言っとるし、ウネウネだし」


「なんで、モフモフじゃないのだ」


「そんなことより、ネイビスが危ないかもしれないし」


「え、なんで? ()(けん)(えい)(ゆう)だよ?」


「相手は賢者だし、何が起こるかわからんし。ちし」


 ティタインの言っていたあの人とは、賢者のようだ。誰のことなのだろうか。




〜地下街セントラルの階段付近〜




 強欲の魔術師グリードグリーンが、地上に出ようとしたその時だった。


「待つぜよ」


 声は、背後から聞こえた。

 その怒鳴り声から、グリードグリーンは、その者は遺憾であると察せられた。


「なんでしょうか」


 いつ何時であれ、冷静に対処する。それが、賢者としてのつとめ、グリードグリーンは、考えていた。


――果敢に挑む姿勢は素晴らしい。

 自然の力を用いて、在り処を始末さえしたというのに、この男は、気づいた。

 私の存在を感じ取ってみせた。

 ならば、ここは冷静に対処するまで。

 一捻り、ふた捻り加えて、御茶の子さいさいでしょうか。



 グリードグリーンとしても、相手にしたくはないのだ。

 先程の説明から、わかっていただけたかもしれないが、アダマスを代表する蒼き稲妻ネイビスは、詳しい能力がわかっていない。


 元四権英雄達が、四元力の覇者ならば、現四権英雄は、新世代といったところだろう。



 〈順に彼らの「能力」について〉


 クロノス……能力不明

 

 メープルシロップ……能力不明


 ネイビス……稲妻に関する力?


 パープレット……○○になれる


 

 ということだけは、グリードグリーンも理解していたが、上の二人が全くわからないにしても、あのトライデンスが雷帝ならば、弟子の彼も雷を使えるはずだと、踏んでいた。


 だが、なぜ蒼く発光するのか。

 それだけは、わからないでいた。


 グリードグリーンは、盲目だが、そのかわり、触覚や聴覚が常人以上に発達している。


 感覚が研ぎ澄まされていく……


 人間の微かな呼吸音を察知して、彼、ネイビスが喋り始めようとしているのを、察した。


「裏切るんか」

「どういうつもりなんじゃ」

「セレストもゲルブもお主も……」

四皇獣(しめらぎじゅう)におうてから、おかしなった」


 彼、グリードグリーンは、昔から感覚がズレているとは、言われてきた。


 今となっては、どこがおかしいのか分かりもしないが、彼等は、力を分け与えてくれたのだ。

 導き出した答えは……


――おかしいのは、私達ではなく、そちら側では?


「おかしい? おかしいのは、そちらでは?」


 思った通りの言葉を発する。


「忌み嫌われる最悪の元四権英雄が何を言っておるぜよ」


 ネイビスの身体中に電気が走っているかのようで、バチバチと音が鳴っている。


「雷帝のゲルブに遠く及ばないあなたに言われましても、なんとも思いませんが……」


 含みがあった。ネイビスはひとり思う。何か隠しているのでは?


「聞いておるじゃろ? パープレット」


 もし、弟子であるパープレットがここにいたならば、腹を括るしかない。グリードグリーンを追い詰められない。


 階級に関する説明の補足として、繁栄蜂の特殊ギルドセオドニア・Ⓑ があることからも、同じ階級の人物たちは仲がいいのだ。

 彼ネイビスにとって、パープレットとは、仲間である。

 仕事仲間でもあった。

 代表する国こそ違えど、決して傷つけたくはなかった。

 だがしかし、士正義のエイリルであるゼルドに攻撃を仕掛けたのも事実なのだ。

 これを見過ごすわけにはいかず、気づけば、体が動いていた。


「パープレット?」

「ここには、私とあなたしかいませんよ」

「その(ちから)、見せてくださいよ」


「見せもんじゃのうてな」

「使うときは、決まっとる」

「国を護る時ぜよ」

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