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TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【階級試験篇】:エスカ

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48話 心思う侭、遊びませう




「さがるっす。さがるっす」


 ものすごい剣幕だった。目は細くなり、つり上がって、顎を少し上げて、見下しているかのような、視線だったが、ゼクロスが、(いぶか)しんでいるのは確かだった。


「怒鳴らないでくださいよ」

「少なくともいい気はしないですよ」

「一旦冷静になりましょうゼクロスさん」

「では、お訊きしますけど……」

「どうしたっていうんですか?」

 

 わからないのだ。その理由がわからない。 

 ゼルドが(たず)ねるてみるが、ゼクロスは木の像を睨んでいる。

 ゼルドは気づいたが、彼は、決して目を離さないのだ。

 そんなことを他所(よそ)に、相変わらず、トシとユニムは、(たわむ)れている。「高い高いするぞ」とユニムが、言うと、ティタインが、「トシは、赤ちゃんじゃないし」と、電気石()しに(しゃべ)っている。


 遊んでいたユニムだったが、様子がおかしいと思い、血気盛(けっきさか)んなゼクロスに尋ねる。


「どうしたのだ」


 それを見かねたゼルドが、ゼクロスの代わりに、ユニムの方向を見て、「あれですよ、あれ」と言わんばかりに、木の像を手で示している。


「あの……ユニム様? ぼく、思ったんですけどね。先ほど、ユニム様が後ろに下がって、この木の像を押したじゃないですか?」


 ユニムは、(うなず)きながら、答える。


「そうだ」


「でも、動いてないんですよ」


「それは当然のことなのだ」


「木の像の、下を見てみてください」


 ユニムは、見てみるが、どこがおかしいのか。いまいちピンとこず、わからなかった。


「……ぼくも、よくわからないんですが、おかしいんですよね。しっかりと固定されているんですよ」


「たぶん、それは勘違いしとるし」


「いや、そんなまさか。動かないんですよ?」

「アレクセイさん、どうなんですか?」


「この木は、不動の木と言って、絶対に動きま……」


「危ないっす」


 ゼクロスが剣を振る。


「危ないのはそちらなのだ」


「ちょっと待ってください。不動の木? 木というものは、普通動きませんよ。だって、植物ですから。それに固定されてるのに不動? 意味がわかりませんよ」


「例外はありますよ」

「"遅咲きの森"の木は、動きますよ」


「それって、もしかして、賢者ジャンヌの(ふるさと)じゃないですか?」


「なんで、そんな詳しいんですか」


「遅咲きの賢者ジャンヌは、かの百年戦争で言い残したんですよね。『私は、決して打ち明けない』……痺れますよぉ」


 ゼルドは、ひとり拍手をしている。


「ゼルド、木の謎は解けたのか」


「考えさせてください」


――木の位置が変わっている。 だけど、木は触れても動かない。 ということは、えっと……自立して動くけど、触っても、何らかの物理的作用を加えても動かないということか考えられるんだけど


 ゼルドは考えみたが、よくわからない。


「危ないっ」


「さっきから、なにをしているのだ。そっちこそ危ないではないか」


「どいてくださいっす」

「ゼルドさん……」


「え、はい、あれ?」


 木の像から、蔓が伸び、ゼルドの足に纏わりついている。


「これは……」


 どんどん蔓は伸びてゆき、雁字搦めになった。


「どういうことなのだ」


「ユニムさん、逃げてくださいっす」

「これは、ヤバいっす」


「ゼルド……」


「ぼくのことはいいので逃げてください」

「正体のわからない敵に攻撃されてます」


 ユニムは頷くと、来た道を戻る。

 セントラルは広く、先ほどの階段がどこだったかわからないが、とりあえず反対方向に走った。

 すると、光明(こうみょう)のレナがいて、不思議そうな顔で、ユニムを見ていた。


 思いがけない再会にユニムは、立ち止まった。


「なにしてんの? ユニムっち」


「ギャル、ゼルドが攻撃されているのだ」


「マジ? やべぇじゃん」

「でも、ここめっちゃ安全だよ?」

「だって、四権英雄(しけんえいゆう)のネイビスがいるし」


「おお、クロノスの子守ぜよ。なんじゃ、わしにようか?」


「助けてくれ」


「何の話だ?」


 ユニムは、急いで、経緯(いきさつ)を説明する。


「誠か?」


「もちろんだ」


「行くぜよ。光明ついてくるのじゃ」


「はーい」




〜ゼルドと3人 武器屋アルドラインにて〜




「ゼルド、大丈夫か?」


「なにがどうなってるんです? これ、試験ですか?」


「違うっす」


 ドンッ


「なんか、聞こえますぅ」


 ドンッ ドンッ


「ああ……怖いです」


「ゼルドさん、蹴ってください」


「はい?」


「蹴ってください」


 ゼルドは、足を上方向に蹴り上げた。


 ガシャン


 剣が動きに連動して、伸びた。


 ザクザクザクザクと、蔓が切れていく。


 装備していた脚剣と、剣靴(シュード)の効果だろう。


「え? 知ってたんですか?」


「そんなわけないっす。予想外っす」


「誰がやったし。自然の魔法だし」


「わかりません」


「あの、そもそもこの蔓はどこから伸びてるんですか?」


「わかったことがあるっす」

「木の像は、動いてるっす」


「はい? 動いてなかっですよ?」


「アレクセイさん、木の像を持ち上げてくださいっす」


「わかりました。少しなら、持ち上がりますかね」

「……よいしょっ」


 留め具を外し、何工程にも及ぶ作業を終えると、その不動の木をアレクセイは持ち上げた。


「え? そんなまさか……」


「おかしいし」


 不動の木から、根っこが伸びているのがわかった。


「……どういうことですか?」


 ゼルドは、恐怖した。


「アレクセイさん、どういうことっすか?」


 その根っこは、人の手にも見えなくなかった。



〜セントラル入口付近の階段〜



 カツッ カツッ カツッ カツ


 足音が聞こえる。


 その者は、緑色の髪をしており、全身に草木を纏っていた。目元を包帯で隠しており、黒い棒で、階段を一段、一段確認しながら、登っていた。


「乱れましょう〜♪ はだけましょう〜♪ 心思うまま遊びましょう〜♪」


 陽気に歌っている。


「もしもし、パープレット君、私グリードグリーンは、何者でしょうか?」


「師匠、なぜこんなことを……」


「いやですね。遊びじゃないですか」

「洗礼ですよ。せんれい」

「まあ、そんなことより、私の質問に答えていただきたいですね」

「私は……何者でしょうか?」


「"林帝(りんてい)"のヴェルデ様です」


「よろしい」

「さあ、行きましょうか」

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