46話 願わくばこの脚に剣を
その剣はわずかに小さく、ゼルドは不思議に思った。これは小人の剣なのではないか。
もしくは 子供用なのではないか。 自分もゼルド自身も子供ではあったが、それにしてもその剣は明らかに小さかった。
ゼルドはそれを手に取ってみるが変形するように使われているのか、ガシャンと音がすると剣が飛び出すような仕組みになってるのがわかった。
その剣にはなぜかベルトのようなものがついており、銀色のバックルが特徴的だった。
どうやって扱うのかはわからなかったが、おそらく腕に固定して相手に突き刺すものではないかと踏んでいた。
「これどうやって使うんですかね」
ゼルドは、首をかしげている。
「それは脚剣だし。脚につけて使うことで手が不自由な人でも扱えるし。アルティメカの選手は脚剣を使うことに、めっちゃ慣れとるし、聞いとるし?」
「聞いてますよ。 そもそも、アルティメカとは何ですか?」
「アルキメデス魔法学校で行われるスポーツの一種だし。ちしたちも参加するし。 ゼルドは参加するし?」
ティタインは、一人称が「ちし」のようだ。
「いえ、僕はまだ 天王子ではないので参加することはできないんですよ。でも、いつか必ず参加したいですね。ところでこの"キャッケン"でしたっけ?これは、いくらするかご存知ですか?」
「知らんし。アレクセイに聞くし」
「アレクセイって誰ですか?」
「ヘンテコなおじいさんだし」
「もしかして、賢者ですか?」
――賢者に会いたい
もしくは、賢者と話してみたい。と、思っていたゼルドは、自然と声が明るくなる。
「違うし、界十戒だし」
「あ、うち、そろそろ行かなきゃ。またね、ゼルドっち。えっと、ユニムっち。」
「あ、はい。また、お会いできることを楽しみにしています」
彼は、お辞儀をする。
「わたしは、海内女王になるのだ」
「はい、はーい」
「あ、待って。これあげる」
「え、なんですかこれ」
「じゃんじゃじゃーん」
「ネックレスとブレスレット」
「身につけてると、いいことあるかも」
「とれはね、わたちも持っとるし」
「シツジがいつもびしゃびしゃにするし」
「じゃあね」
「あ、ほんとぉ」
「行っちゃったし」
「んん~ゼルド、脚剣を身につけるし」
「はい、わかりました」
「こうでしょうか」
ガチャン
床に剣が突き刺さる。
「あ…」
「ぷふ、おもすろ。ちし」
「ティタインさん、ここアルドラインは武器屋ですよね?」
「ん?そうだし」
「なぜ、靴が売っているんですか?」
「履いたらわかるし」
脚剣を身につけながら、その靴を履いてみた。
特殊な構造をしているようで、履き心地が悪かったのを ゼルドは覚えている。
その靴には バネが仕込まれているのか。とても歩きやすくまた、はねるのもたやすかった。
だがゼルドは普段、跳ねたりもしないのでどんな用途で、またどんな目的で、この靴を使ったらいいのかわからなかったが、ふと思いついたことがあった。 敵の攻撃を飛んで避ける時に役立つのではないかと思っていたのだ。 試しに飛んでみると…
「うわぁ」
靴底から剣が飛び出しトシを使って間接的に喋っているティタインが驚いていた。
「うぅ、危ないしゼルド」
どこからともなく拍手が聞こえる…
「お見事です。血を流しては、その握った拳で己の愚かさを知る。後悔を知る。それが人間というものです」
「時に、後悔とは、何の役にも立ちませんが、後悔を後悔することは、さらに役に立ちません…」
「存じております。賢者ゲーテですね」
「おっ、アレクセイだし」
「こんにちは皆さん」
「賢者になりそこねた『界十戒』アレクセイ です」




