45話 光明のレナ
「奴隷だって成り上がれますから」
「へぇ、いんじゃね?」
天王子のレナは我々の世界で言うところのギャルという存在に酷似しており、格好も女子高校生のようだった。
その格好は、パンプスに、ルーズソックス、超ミニスカート、萌え袖ニット、かわいげな赤いリボン、はだけた白いシャツ、特にカールのかかった金髪が印象的だった。
「あの、天王子ってみんな二つ名があるんですか?」
ゼルドは、首を傾げる。
「あーし? あるけど、なんで?」
レナは、ゼルドとは反対に首を傾げる。
ゼルドは、いつもそうだが、天王子に興味を持つ。
その理由として、天王子から位が変わるからである。位にはいくつかあるが、奴隷、常民、天民などなど……
「ぼくは、一生奴隷なんでしょうか。階級が上がっても、奴隷のままです。この刻印を身につけなければならないなんて、不甲斐ないですよ」
「位が全てではないではないか。ゼルドにはゼルドの良さがあることをわたしは知っているのだ」
「ユニムさまぁ、ありがとうございます」
――ユニム様が、海内女王になる姿をこの目で見届けたい。その日がくるいつかまで、一緒にいたい
ゼルドは、涙ぐんでいた。
その涙を必死にこらえようとすればするほど、涙があふれてしまったので、 ユニムに気づかれないように、その黒い袖で拭った。
レナがゼルドを見ている。 どうしたのだろうか。
「え、てかさ、名前なに?」
「ぼくは、ゼルドと言います」
率直に答えるゼルド。
――あれ?なんか、どっかで聞いたことあるかも。どこだっけ?まあ、いーし
「ユニムなのだ」
――いや、聞いてねーし。つか、誰?
「よろしくっ」
「よろしくお願いします」
「よろしくなのだ」
「ふーん、レナちゃんここで何しとるし」
バサバサとトシが飛んでいる。
「え、買い物だけど? そっちこそ」
「ゼルドを監視しとるし。ふっ」
「監視してんの? え? 趣味悪くない?」
「なにを考えとるし、別の理由だし」
「え……もしかして、魔人なの? どゆこと?」
「ああ……バレてしまいましたぁ。ユニムさまぁ。実はそうなんですよ。赤狼になれるようになってしまいまして……」
――うちよりちっせえのに、大人びた喋りかたすんなぁ
「やっべぇじゃん」
「どういう意味ですか?」
――ヤッベエ? え、食べ物? 呪文?
「……あ、やばいの意味? なんか、すげぇって感じ?」
――すげぇ? なんだろう。聞いたことのない言葉だ? 外国語かな?
3人と一羽はゼクロスの後を追うようにして、店の中へ入っていった。
武器屋アルドラインは、出入り口からはおおよそ想像もつかないほど、広い店内をしており様々な武器が飾られている。奥の方には 倉庫のようなものも見かけられ、剣士や騎士 、武器を扱う者からしたら、たまらない景観となっている。
剣だけでも10種類はありそうで、ゼルドは、どれにするか迷っていた。
「どの剣も黒いですね」
「ああ、あーね」
「電気石でよいではないか」
「ちょっと待ってくださいよ。ユニム様、ここはきっと、ゼクロスさんのおごりですよ。 ここはありがたく、いただきましょうよ」
「それは人として、よろしくないのだ」
店内を物色する3人と、一羽は、珍しいものから、ありきたりなものまで、いろいろなものを探したり見ることはできたとはいえ、武器屋に入ること自体が初めてのため、驚くことの方が多かった。
気になる武器、目を輝かさせるような武器など、2人にとって目移りしない。
または、心に残るような武器はやはり存在した。
武器に値札と思わしきものはついておらず、値段がわからなかった。
トシことティタインと、レナも武器を見ていたが、買うには至らなかったのかだろうか。
レナは、手に取ってみては少し素振りをしてみたりと、そっけない様子だった。
「なーんか、しっくりこねーし」
「ほんとぉ。とれは残念だし」
ティタインの発言を翻訳すると、「本当? それは残念だね」と言っている。
なぜ彼女が語尾に「し」をつけるのかはわからないが、おそらく何らかの理由があることは間違いないだろう。
「ゼルド、それなんだし」
「聞いとるし?」
「え、なんですか?」
ゼルドの傍らに白い剣があった。




