44話 ようこそセントラルへ、武器屋アルドラインはあちらです
「あれって、そんなすごい武器なんですか?」
「相当な筋力がなきゃ片手で持つことができないんすよ」
――メープルシロップ様はそのことを知っていた。あそこには、剣が4種類あった。もしかして、現四権英雄の剣なんじゃ
「なに考えてるんすか?」
「な、なんでもないですよ」
3人と一羽は、足並み揃えてその町を歩いて行く。もしくは飛んでいる。
街には様々な店があり、喫茶ル・シエル・ド・ルティティアのような喫茶店も見かけられ、高級そうなレストランや、いかがわしい骨董店、こぢんまりとした本屋、理路整然とした道具屋などがあった。
ユニムとゼルドが目指している。もしくは、連れて行かれているのかは、わからないが、武器屋アルドラインは、なかなか見つけることができない。
どこにあるんだろうと考えたり、遠くにあるのかと考えたりして、街の遠くを見てみるが、武器屋らしいものは見えず、途方に暮れていた。
ゼルドは、怪しいと思い、ゼクロスの手を振り払おうとしたが、ゼクロスの握力があまりに強く、振り払えなかった。
離してくださいよ。と、言おうとすると、いきなりゼクロスが、何もない中途半端な位置で止まってしまった。
「え、どうしたんですか?」
あまりに、唐突なその行為に声を漏らしたゼルド。
「つきました」
――ついていないじゃないか。ゼクロスさんは、何を言っているんだろう
「どんなジョークですか?」
「ここ、道のど真ん中ですよ」
「ここなんすよ……へへ」
「――アシェミネ」
すると、地面から穴が現れた。
恐る恐る穴に近づき、穴の中を見てみると、人っ子一人入れそうなスペースがそこにはあった。
中には、階段が続いており、ユニムとゼルドの2人は、驚いたが、ゼクロスとティタインことトシは、驚く様子を見せず、足早にその階段を降りて行った。
ゼルドとユニムは待ってくださいよ。と言わんばかりに、急いで追いかけるが、その階段は闇に包まれており、とても暗かった。
階段は進めど進めど終わりが見えず、深くへとつながっていることがわかった。
しばらく進んでいくと、壁に松明が設けられており、足元を確認することができた。
その松明も普通の松明ではなく、炎が青白く光っており、ただの炎ではないことが推察ができた。
松明を20本ぐらい数えた先に、木の柱が地中に刺さっている、入り口のようなものを見つけた。
その先には地上で見た景色とは別世界が広がっており、ユニムは感嘆の声を漏らした。
ゼルドはスーペリアの情報を一切知らないために、目を丸くして驚きながらも、その光景を目に焼き付けておこうと何度も何度も視線を行ったり来たりしながらその光景を眺めていた。
「ようこそっす。セントラルへ」
地下街セントラルは、知る人ぞ知るスーペリアの隠れた名所であり、かの元四権英雄、緋色の剣士も、ここを利用していたことがわかっている。
セントラルには様々な用途があるが、その一つに、敵国に攻められても逃げることができる。
または隠れられる。といった、いざというときに、逃げるための我々の世界で言うところのシェルターのような役割も、になっている。
また、セントラルには人工太陽のような役割を持つ、大きな球体があり、地下深くだが、いつも明るく、地上のように燦々と照らされている。
人工太陽を作ったものは定かではないが、賢者かもしくは四権英雄ではないかと巷では、憶測を呼んでいる。
「すごいですね」
「ペットショップはないのか」
「まずは、アルドラインに行くっすよ」
「ペットショップあるし」
「士正義のエイリルなんで、2人は、騎士っすよ。仕事を請け負うこともできるっす」
「買い物したいのだ」
「ぼくは、本が欲しいです」
2人とも、意気揚々に自分の望みを語った。
「まずは、剣すかね……ヘヘ」
武器屋アルドラインに到着すると、店主のアレクセイは不在のようだ。
「ちょっと、様子見てくるっす」
ゼクロスは店の奥へと入っていった。
「げっ、トシいんじゃん。萎えんだけどー」
「あなたは……」
「え、なに? 知ってんの?」
「天王子のレナさんですね?」
「あったり〜」
「あんたらは? こんなとこでなにしてんの?」
「武器を買いにきました」
「そうなのだ」
「え、奴隷なのに士正義なの?やば」




