42話 ティタインだし
あの二人はというと……スーペリアのクロノスことネロの家にいた。
ユニムとゼルドは朝食のクロワッサンを食べ終え、ゼクロスに腕を引っ張られる。
窓のついた木製の扉を出て、白い螺旋状の階段をおりていく。
そこからは、華やかな街へと出かけることができた。
【鉄の貴婦人】の周りに、四つの街があった。
四つの街の境目のように、大きな川が流れている。
運河としても知られるその川は、「セカナの川」であり、荷物を運搬する際にもおおきな役割をもつ。
スーペリア全土に広がっている。
古の伝説によれば、剣の国の異名をもつスーペリアが、古代の神により、大地を巨大な剣で切り裂さかれ、雨が降り、川ができたのではないか……とのこと。
まことしやかに謳われる、神という存在は、四王国全土で信仰されている。
セソ教によれば、存在している。と、主張する者もいれば、セレスティアル人は、進化によって、成り立った。と、主張する人間も少なくない。
俗に、彼らのことを無神論者というが、神を五感で感じとれない以上は信じる術がないのである。
五感とは 視覚と聴覚と触覚と嗅覚と味覚の5種類である。
私たちはその五感を使って、物を見たり、音を聞いたり、物に触れたり、匂いを嗅いだり、味わったりする。いわば、物体や対象を認識するために備わった人間特有の器官である。
だが私たちが五感を使う理由としては、様々にあるが、誰が五感を作ったかと考えてしまうとその理由は誰にもわからない。
……ひょっとすると神が作ったのかもしれない。
昔の人は神の存在を確かめるために、神の存在を求める数式を算出したり、神を呼び出す、怪しい儀式を行ったり、と、試行錯誤したものだ。
神というものは、偶像でしかなく、崇拝することや、祈ることでしか、神を信じることはできない。
その行為は一方的であり、非常に偏屈ではあるかもしれないが、神の存在証明をすることは難しいことかもしれない。
私たちは普段から神に祈ることで安寧や平和を求めているが、人間というものは争う種族であり、その争いはずっと昔から行われてきた。
このセレスティアルの歴史でも、争いを止めるということは非常に難しいことであり、今でこそ平和だが、幾度となく戦争が行われてきた。
戦争が終わる時というものは、どちらかがやめるか。
もしくは、どちらが勝つか、それとも敗北するかしなければ、終わらないのである。
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ユニムは「トシがいるぞ」と声を荒げては、ゼルドは「ユニム様ついてきます」と、おっかなそうに、怖がりながら喋っていた。
「ふっ、なんだし」
すると、珈琲鷲のトシが喋り始めた。
よく見てみると、首のまわりを囲うように、黒い線がある。
その黒い線は何かに繋がっていた。
何かとは 小型の小さな石のようだったが、私たちの世界でよく見る音声を拾うマイクのようにも見えた。
すると、誰かの声が聞こえた。
声は ダミ声であり、少し滑舌の悪さが際立っていた。
ふっと鼻で笑ったかのような声は明らかにセルドに向けられたものであり、彼はそのことに気づいていないが、少し怖がっていた。
「な、なんですか……」
「トシ、喋れるのか」
「おひさしぶりっす」
「わたしは、ティタインよろちく」
天王子のティタインは、女性であり、いくつものペットを飼っていることで有名だ。
トシもその一匹であり、そもそも珈琲鷲という異名の由来は、鳥は好んで、カフェインの含まれているコーヒーなどの飲料を飲むことはないが、俗に私たちの世界でいうインコはコーヒーを飲んでしまうと残念なことになってしまうが、珈琲鷲はコーヒーを飲んでも害がなく、むしろ好むぐらいで、そのことからも体内でカフェインを分解できる器官が備わっているのではないかと考えられる。
そのため 彼らは珈琲鷲と名付けられた。
彼らはコーヒーやカフェラテまたは、カフェオレの臭いを嗅ぎつけて寄ってくるので、スーペリアでは、扉を必ず閉めるようにしておき、喫茶店やカフェでは必ず「戸締りをしてください」と書いてあることが多い。
だが守らない客や、横柄な客も存在していることはそれと同時に言えることであるので、珈琲鷲が集かっている店も少なくない。
「どうやって喋ってるんですか?」
「小型の電気石を取りつけてあるし」
ティタインは、語尾に「し」をつけることが多く、笑う時は、「ちし」と笑う。
「ちし、なにしとるしゼルド」
「こっちが聞きたいですよぉ」
「行けばわかるっすよ」
「わたしは、モフモフな動物がほしいのだ」




