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144話 鏡の国「ミラージュ」

 


 ――Phantom(ファントム) Garden(ガーデン)-幻影(げんえい)箱庭(はこにわ)――




「……なにがどうなっているのだ」



 ここは、魔法の国のアリスの遊び場にして、彼女の箱庭。



 鏡の国「ミラージュ」



 幻想的な音楽を耳で楽しみ、眼窩から壮観な景色を拝むことができる。


 その名の通り「ミラージュ」のなのだから「ミラー」の「鏡」と掛け合わせてある。


 皆さんもご存じの通り、鏡は左右反対だ。


 しかし、このミラージュでは、何が反対になるのか。

 全く予想がつかない。


 例えば、ユニムに着目してみると、髪が赤色になっている。

 その赤髪はユニムの元の青を正反対にしたような色であり

 瞳の色でさえも、赤くなっている。


 皆が知る。

 紅の瞳〈ブラッドアイ〉とは、違うようで


 ただ、赤いだけのようだ。


 そのため、人肉を喰らいたくなったり

 人を襲いたくなるよな獰猛な野心に駆られたり

 興奮が冷めやまぬ、殺気を帯びたり


 といったような赤狼〈ブラッドウルフ〉特有の 

 類まれなる、獣としての副作用は見受けられない


 そのことからもわかっていただけるかもしれないが

 ユニムは、ただ髪が赤くなっただけである。


「ミラージュ」には、ECILA〈エシラ〉という女性がいる。

『エシラ』は、誰かさんに似ている。

 勘のいいみなさんなら、お気づきかもしれないが――彼女は誰かの“反対”なのだ。


 ユニムが、メルキアデス魔法学校を駆け抜けていく。


 一階から五階へ


 どうしてなのだろうか?


 一階に学びの間がある。


 五階に食堂?


 信じられない光景だった。


 どこもかしこも、あべこべ……まさしく「蜃気楼」「幻影」「幻想」


 これが『ミラージュ』なのか。


 と、膝を叩いては、元の世界に戻れないかと思案するが、前方からユニムを呼ぶ声が聞こえてくる。



「ユニムさまぁ」



 ここは山ではないが、声が返ってくるのを期待しているような発生の仕方である。


 ユニムは「ユニムさまぁ」と言ってやろうかと、少しふざけことを考えたが、真面目に様子を(うかが)った。


 そして、その光景に目を疑った。



 なぜならば――その姿は、ゼルドに違いなかったからだ。



「ゼルドなのか」


「あ、人違いでした」



 腹立ちを抑えながら、(きびす)を返す

 彼の肩をがっしりと(つか)んでやった。



「わたしだ。ユニムなのだ」


「ああ、はい。はい。(てん)()(こく)(おう)になりたいんですよね?」


「何を言うか、わたしの夢は(かい)(だい)(じょ)(おう)だ」


「……あれ、そうでしたっけ?」



 ゼルドだと思っていた。

 見た目は、少年の顔つきをしている。


 だが、どこか様子がおかしい。

 ゼルド……なのか?

 この男は、本当にゼルドなのか?



「貴様、何者だ?」


「ぼくですか? ドルゼですよ。

 やだなあ、ユニム様。

 ぼくの名前をお忘れですか?

 さあ、舟が到着していますので行きましょう」


 

 ユニムは、二三度頷くと、そのゼルドにそっくりなドルゼについていくことにした。

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