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135話 空は青く、夕日は赤く



――朝に(こう)(がん)ありて――



「次期賢者様、お久しぶりでございます」



 そう告げたのは、頭が白髪の男。

 深々と頭を下げる。


 貴族らしく振舞い、気品の高さを(あら)わにする。

 正しくは、天民なのだが……


 彼は、服装を白と黒で統一していた。

 ユニムと同じ歳だが、大人っぽさが(けん)(ちょ)に出ている。


 見た目は『ゼルド』にそっくりだが、彼はゼルドではない。

 彼の名は『エクス』である。

 アルファベットで、エクスを表記すると「EX」このようになる。


 フォーチュリトス王国の『(てん)()(こく)(おう)アレキサンダー』

 ユニムの師である『準賢者ナディア』

 彼女は元(かい)(だい)(じょ)(おう)

 にして『黒拳のアルジーヌ』の異名を持つ。


 実はエクスはアレキサンダーの息子。

 そして、()()にナディアがいる。


 彼は、(じゃっ)(かん)十二歳にして『天王子』に昇りつめた。

 彼のまたの名を『説明者〈エクスプレイナー〉』


 フォーチュリトス王国の王城街の「ウノ」にて

 彼と会った時、握手はしなかった。


 なぜならば、当時ユニムは誕生の『(チーマ)』だったからである。



 まるっきり態度が違う。

 この世界では、(しょ)(みん)のことを(じょう)(みん)と呼ぶのだが

 その上が天の民と書いて、天民である。


 天民とは、『天王子』『海内女王』『天地国王』『四権英雄』を指す。


 そして、その上に賢者がいるのだが……



「ユニム様、アルキメデス魔法学校を案内いたしましょう」



「白髪、頼むのだ」



「白髪? 面白いお方だ。

 構いませんよ。好きなように呼んでください。

 ところで、ゼルドはいないのですか?」



 ユニムの鼓動が高鳴る。心拍数が上昇する。

 青い空を見つめては、流れる雲に意識を持っていかれそうになる。


 苦しい。彼の事を考えるだけで胸が苦しい。


 忘れもしない。


 言わないでいた。

 実は、このエクスという男は、ゼルドに瓜二つの顔を持つ謎多き人物。


 

「そちらこそ、知らないのか?」



「……そうですね。知りませんよ」



 まるで、互いに探り合っているみたいだった。

 穏やかではなかった。


 ゼルドはいまや、珍しき「ケルベロスの魔人」として、四王国全土に異名だけが(とどろ)いている。


 彼の事を語るのは、どちらも気が引けるようで、目線を外した。


 しばし、沈黙が流れる。


 

「行きましょう。

 昨日はやってきませんが、明日は待ってもくれませんから」



 ユニムは(うなず)き、エクスについていく。

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