134話 蒼き瞳と紅の瞳
――蒼生と萬紅――
時鐘が鳴り響く、授業が終わる。
先生が扉から出ていく。
『天王子』達は、食堂に行くものや、瞑想をしている者、次の授業の準備をしている者。
行動は様々で、教室に残っている者もいた。
ユニムは、思う。
――難しすぎるのだ
『自然学難しいよね……』
「うわぁ……誰なのだ」
『こんにちは。ヒマリだよ。と、ヒマリ様が申している』
焔狼〈イグニスウルフ〉の『ベル』と黄色い瞳の女の子がやってくる。
ユニムは、疑問をぶつける
「なんで、思考電波〈テレパシー〉が使えるのだ」
『ユニム殿、挨拶しないのであるか?』
「……こんにちはなのだ」
『……教えようか? ユニムちゃん』
ユニムは驚かずにはいられない。
『ベル』も『ヒマリ』も口が動いていない。
ヒマリに関しては、目が発光している。
その輝きに目を奪われる。
――綺麗なのだ
『……ありがとね。ユニムちゃんも綺麗だよ』
ユニムは、少し狂乱状態だった。
考えていることが伝わる……
一見便利に思える思考電波〈テレパシー〉も、使い方を誤り、牢獄された者もいるくらいだ。
精神崩壊、洗脳、疑似的な鬱状態にさせるなど。
不利益を被る可能性だってある。
思考電波〈テレパシー〉に関して、授業は行われないが、ユニムはヒマリから教わり、ナノテクを用いなくとも使えるようになっていった。
『……じゃあ、自然学について教えるね』
『僕も、学ぶのである』
深紅の瞳……吸い込まれていく、これが焔狼〈イグニスウルフ〉の炎を硝子に閉じ込めたような
時間を止めて、瞬間を捉えたような……紅の瞳〈ブラッドアイ〉
『どうしたのであるか?』
『なんでもないのだ』
ベルに気づかれたので、視線を逸らす。
ヒマリの白い手がすうっと、伸びてくる。
美しい腕だった。
思考電波〈テレパシー〉を操るのが難しく、考えないように……
と、ばかり考え込んでいた。
『……大丈夫だよ。考えていいからね?』
ユニムは息を吐き、ヒマリの優しさに惚れ惚れする。
自然学の創始者である強欲の魔術師グリードグリーン/林帝のヴェルデ
彼によれば、自然を使いこなしたなら、災害級の魔法をも可能とするとのこと。
これに関してだが、……炎・氷・雷……これらも、災害級の魔法があるのだが、ヴェルデが言いたいのは
例えば、竜巻
例えば、嵐
例えば、津波
などなど。
炎と氷と雷を併用することにより、より強力な魔法が扱えるとのことだった。
魔法の同時発動、賢者にしか行えないはずだった。
しかし、賢者の研究により、魔術の進歩は驚くほどの速さで進んでおり
今年の期の『天王子』も優秀の為
あの、魔王シンが魔法を四つ同時に発動していることからも
どれだけ、異世界人が底知れないかを物語っている。
さて、この教室内に異世界人は何人いるのだろうか?
ユニムは、視線を感じた。
彼女を見つめる、蒼い瞳。
その人物とは?