132話 三勇あるならば、叡勇ありて
〈3U 4U〉
「つけ加えるなら……俺は、あのロックウェルの弟子だ」
三勇 (三勇奇譚より)→三明賢者ともいう
ロックウ
ゴジョウ
ハッカイ
その弟子たちであり神聖な国『梵』からの使者
暁〈アカツキ〉
白胡椒〈ホワイトペッパー〉
黒塩〈ブラックソルト〉
ユニムは、暁〈アカツキ〉からとある話を持ち込まれる。
『我々三人の使者には使命があり、あと一人を探している』
『其方〈ソナタ〉の力を見込んで伝える。
指導者〈リーダー〉もしくは叡勇〈ヒーロー〉になってほしい。
答えはすぐに出さなくいい』
とのことだった。
ユニムは「海内女王になる」という夢を捨てきれないでいた。
彼女の第一の目標であるからだ。
黒拳のアルジーヌことナディア
赤手空拳の虎舞〈コマイ〉
紅蓮の魔導天使マダム・ウイッチ
悪魔女王蜂〈デモニック・クイーンビー〉
メフィストフェレス
他にも、ナーガ帝国のクイーンスネーク
冷徹のエレナこと氷拳のアルジーヌ
歴代から
黒灰姫〈ブラックシンデレラ〉ことアナスタシア
強いては、スーペリアの初代女王アテナなど。
彼女らのように、天地国王の対となることこそ、農民時代からの夢であり、彼女の茶色い鞄にしまった七つの階級の勲章。
希望の『Ⅱ』から
界十戒の『Ⅹ』まで
誠に残念ながら、天王子の『J』の勲章に関してだが
魔法学校の規則〈ルール〉により、つけなければならない。
忘れもしない真の夢。
あの神物を見つけること。
彼女にとって
マスタングやブルースカイ/セレスト
との掟である。
この『世界の真実』を知りたい
という観測的欲求に付随する。
暁〈アカツキ〉は、朗らかな表情で去っていく。
彼は、霧のように隠れてしまった。
足音さえ鳴らさなかった。
実は、暁〈アカツキ〉から三勇の話を聞いた時、神物プラネットパズルの話に酷似していることに気づいた。
その話とは……
「三人の賢者が語り合った――」
から始まるとある逸話だ。
マスタングから何度も寝る前に聞かされ
折紙童話集から何度も読んだ。
神物を一度でいいから見てみたい。
この目で見てみたい。
外海に行ってみたい。
この世界を……
セレスティアルを冒険したい。
希望の数だけ夢はある。
希望を胸に宿しては、鼓動が高鳴る。
もちろん、ブルースカイ/セレストの助言も忘れていない。
彼は言っていた。
『そうじゃな。まずは、エース〈四権英雄〉になることじゃな……』
ユニムは思う。
おじいさんは『天王子』と訊いたら、驚くだろうか。
彼、セレストがあの時
オルダインの漆黒の森〈ブラックジェットフォレスト〉を訪れなければ……
始まってもいなかった。
ゼルドがあの時いなければ……
憶測や誇大、それらが虚実や妄想となっては、ユニムの脳裏を過る。
始まりはセレスト。
賢者から始まった。
そして目の前には、
白髪のメープルシロップがいる。
四権英雄がすぐそこにいる。
彼が真剣な顔つきで、手を差し向ける。
「『天王子』のユニムだったな。来い――」
急いで階段を駆け上がっていくと
残りの四権英雄達が待ち構えてた。
「ユニム、久しいな」――黒の崇高な剣士クロノス
「待ちくたびれたぜよ。ええ?」――蒼き稲妻ネイビス
「お久しぶりですね」――憤怒の魔術師パープレット
四人と話を終え、五階の『学びの間』に向かう。
校長であるマダム・ウィッチがユニムの手を引く。
「さあ、行きましょう」
扉を開けて、挨拶しようとすると……
「おや、次期賢者様。
優遇いたしますよ」
懐かしき白髪の誰かさんが、待ち構えている。
どこもかしこも懐かしい顔ぶればかりだ。
その最中、茶色い瞳の男と目が合う。
彼の体が、一瞬だけパズルでできているかのように見えた。
ユニムの動きが止まる……
――奇妙な人物だ
と、ユニムは思う。
見間違いだったのか、至って普通の男だった。
幻影だったのだろうか。
――わたしは、夢でも見ているのか
そして、連なるように浮かぶ『弐拾伍のシルエット』
彼らは〈敵〉となるか。
それとも〈味方〉となるか。
――つづく――
これにて、階級試験篇――閉幕す
次話より、魔法学校篇――変革の時