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TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【階級試験篇】:ダウト・コモンセンス
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127話 紲ノ刻

             〈タイズ・オブ・フェイト〉



 スジョンは一点を見つめて、彼女に、どこでネックレスを手に入れたと聞く。

 この時点で、水晶化は解けており、敵意は感じられなかったそうだ。


 彼女は「レナちゃんからもらったのだ」と一言。


 スジョンが言うには「価値を知る者は、少ない。その友人に再びあったら、返すと言い」


 彼女は「わかった」といい。

 スジョンと握手をした。

 


 スジョンは棄権した。


 不戦勝にはなったものの、相手のスジョンは俯きながら、思い詰めている様子だった。


 何度もこれでいいのか。と、問い詰めては葛藤した。


 答えは帰ってこない。


 ゼスター、スジョンに関して、疑問に思っていた。


 魔導演武では、勝利しなければならない。


 でなければ、階級はあがらない。


 これでは、エンシェントに帰れない。


 マスタングとマサメヒに見せる顔がない。


 よそ見をしていた。


 すると、肩が何者かにぶつかる。


 何事だと思い、振り返る。



「魔導演武開始だ」



 繁栄蜂最強の男。


 マスタングであった。


 思わぬ再会に、拍子抜けする。


 準備を終えると、向かい合い。「開始」の声が聞こえる。


 ユニムもマスタングも構えが同じ。


 十二獣拳の使い手。


 ユニムの心を、獰猛な誘惑が襲う。



『倒せば、繁栄蜂だ。ズルをしろ』



 いや、しかし。


 バレれば、魔導演武の参加資格剥奪だ。


 十二獣拳にはある特性がある。


 例えば、足して十三になる刻を打ち合うと、無効化される。


 マスタングは、長年の経験から読んでいるのか。


 ユニムが、二の刻。四の刻。八の刻。


 と行うと……


 十の刻。八の刻。四の刻。と対応してくる。


 会場はざわつく。


 

「あの男は、何者だ?」「ただの輩だろう?」



 ユニムも驚く、彼の戦闘力の高さ、彼女ももちろん本気だ。


 手加減などしていない。


 なぜ、わかるのか。


 ならば、黒曜石を纏うまで「(がん)漿(しょう)化」と叫ぶ。


 

(コン)(ジュウ)化」



 え、今なんと……?


 マスタングの衣服が、筋肉や外骨格の膨張により引きちぎられる。


 その体躯、ユニムの倍以上。


 腕や足は黄色と黒に変色している。


 鎧のような外骨格、美麗な翅。


 大きな蜂にしか見えなかった。


 見まごう事なき、その手は指ひとつひとつに、蜂の針が爪から飛び出ている。


 黄色い顎、赤い複眼、触角。


 ユニムの手は赤く煮えたぎる。


 マグマと毒。


 もしくは、赤と紫だろうか。


 赤い手と黒い手が打ち放たれる。


 これが、繁栄蜂なのか。


 マグマに当たれば、戦闘不能だ。


 それを見越してなのか、ユニムの前腕に拳の甲を当て、食い止める。


 どこの流派なのか。


 ユニムは、歯を食いしばる。


 マスタングが一言零す。


 

「強くなることは知っていた。

 まさか、ここまでとは。俺を超えていけ」



 ユニムは、目をしばたたかせる。


 ならば、黒曜石を頭に纏い、頭突きをする。


 マスタングの顎にクリーンヒット。


 マスタングは笑っていた。


 おかしいのでもない。


 悔しいのでもない。


 娘が育ってくれたこと。



――俺は嬉しいぞ。ユニム。強くなったな。



 大歓声だった。

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