表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【階級試験篇】:ベター・レイト・ザン・ネヴァー
120/150

120話 一箭双雕

   〈イッセンソウチョウ・一石二鳥に同じ〉




 皆さんは、お気づきだろうか?

 たったひとつの、純粋で素朴な疑問。


 ユニムは黒曜石を飲み込んだ。


 だが、黒曜石を飲み込んだだけでは、魔人にはなれない。

 石を誤飲しても、体から石は生成されない。


 

 なにかしらの秘密があるはずだ。


 トマト(ポモドーロ)を食べても、トマト(ポモドーロ)にはならない。


 昆獣林檎(ヴァ―ミックアップル)(コン)(ジュウ)と呼ばれる、人型の昆虫人間になれる(りん)()のこと)を食べたら?


 昆獣になれるのか?


 実にあり得ない話ではないだろうか。


 魔法にも、法則や規則があるはずだ。



 強欲の緑(グリードグリーン)にせよ

 昆獣林檎(ヴァ―ミックアップル)にせよ

 銀の弾丸(シルバーバレット)にせよ

 魔人にせよ



 時に人間は疑問を持ち、比べては、劣等感にかられる。

 その劣等感が、焦燥を生み、後悔を生む。



 物事には、順序があり、必ず、原因と結果がある。


 ああしたから、こうなった。


 例えば、剣の修業を三年間したから、剣術が上達した。


 魔法の勉強をしたから、魔法を法則に従い、呪文を唱え、魔法を使用できた。


 必ず、そこには原因があり、結果がある。


 ジェームズ・アレン著の「原因と結果の法則」にも記載がある。



『思いが全てを決める』



 この「思い」が全てを決めるのだから

 どう思うかが非常に重要である。

 

 

 ユニムの能力は、実に不思議だ。

 魔法のそれであり、魔人とも、竜辰とも、獣人とも似つかない。


 もし、魔人サターンを研究し、オブシディアンスライムの仕組みを全て理解したのなら、空気中から黒曜石を作り出し、魔法を実現させられるだろう。


 科学的解釈を用いて、黒曜石の鎧を抽象的から具体的に落とし込む。


 第一、黒曜石の化学元素構成は以下のようなものである。



SiO₂(二酸化ケイ素):

 およそ 70〜80%


Al₂O₃(酸化アルミニウム):

 10〜15%程度


FeO・Fe₂O₃(酸化鉄):

 1〜5%程度


MgO、CaO、Na₂O、K₂O などのアルカリ・アルカリ土類酸化物:

 少量



アーサー・C・ラークは述べている。

『十分に高度な科学技術は、魔法と区別できない』


つまり……

『科学≠魔法』



 この方式が成り立つ。


 どちらも互いを上回る可能性がほのめかされている。


 

(がん)漿(しょう)化」について

 黒曜石に二酸化ケイ素が含まれていることは、わかっていただけただろうか?


 ならば、二酸化ケイ素を用いて、粘度の高い溶岩を生成することも可能なのではないか?


 可能ならば、噴火を疑似的に再現可能だ。


 ――ユニムは、ひとつの答えを導き出した。




 と、その前に。

 そもそも、ケイ素とはなんだろうか?


 二酸化炭素は理解していただけるだろう。

 言わずと知れたシーオーツーである。



 CO₂……これが化学式である。



 では、二酸化炭素を分解していく。



 炭素:カーボン

(炭からとれる元素 → 炭の素)


 酸素:オクシゲン

(酸をつくる元素と考えられた → 酸の素)


 二酸化:「酸素が二つ結びついた化合物」の意味。

 


 言葉を理解するためには、分解する必要がある。


 どういう成り立ちなのか?

 どんな由来があるのか?

 それらを知ることで、いつでも容易(たやす)く、この言葉とはこういった意味がある。

 そのため、この漢字が使われて、この熟語は形成される。

 と、説明できる。


 

 あくまで、私の仮説だが、ユニムは二酸化ケイ素という言葉を分解していないのではないか?


 二酸化炭素はすでに行った。

 次は、二酸化ケイ素だ。



 二酸化ケイ素

 学術名:シリコン・ダイオキサイド


 これならば、猪突猛進のユニムでもわかるだろう。


 ケイ素とはシリコンの化学的名称である。


 我々の身近で説明するならば、ガラスや半導体が相応(ふさわ)しいだろう。


 実は、とても身近な物質なのだ。


 以前に、黒曜石のモース硬度が五・五と説明したが、そもそもモース硬度とは何か?


 モース硬度とは、相対的な尺度であり、引っかいたときに傷ができるかで決められる。



 例えば、私達の手足に備わった〈爪〉

 モース硬度 二・五


 〈ガラス〉と〈黒曜石〉

 モース硬度 五・五


 硬さで有名な〈ダイアモンド〉

 モース硬度 十



 もちろん、ガラスとダイアモンドの中間も存在し、コランダムというものがある。

 ルビーやサファイアなどである。


 実は、ビッカース硬度という、更に正確な硬度も存在する。

 モース硬度とは、あくまで段階でしかなく、比例ではないこと。


 ビッカース硬度によれば……

 サファイアに比べ、ダイアモンドは三倍以上硬いのだ。


 ダイアモンドの魔人がいたならば、防御において最強格だろう。



 



 ところで、ユニムの導き出した「答え」とは?


 相手に対し、距離が届かないと判断したためだ。


 仮の名称を噴火としておく。


 行ったとしても、溶岩は、物理法則に乗っ取り、昇っていく、または拡散される。

 仕留めるには、勝つためには、要領が悪い。


 ならば、狙う先を変えるだけ……




 紹介が遅れてしまった。


 幸運志知の男の名はゼスター。


 この海内女王演武大会に一矢報いるため、マダム・ウィッチの名の下に、魔導演武に参加している。


 彼の目的は、アルクマイオンに挑むことだ。


 彼はとある一族であり、すれ違うたびに、他の参加者からひそひそと噂されていた。



 スニーカーは「KORG」というメーカーのものに間違いなく。


 デニムは「STEAM」


 タンクトップは名も知られていない古着だ。


 そして、ジャケットだが「天草」である。


 セレスティアル語では「天草」だが、四王国では「ジェロニモ」という名前で知られている。


 創業者の天草四郎から来ている。

「ジェロニモ」とは戦士のかけ声という意味であり、一方で「天草」は、日本の熊本県の「天草諸島」を指す。


 天草四郎は、れっきとした異世界人であり、神童とも呼ばれていた。




 ゼスターは、(あお)(ひとみ)で、ユニムを見つめていた。

 彼は、おもむろに(りゅう)()(きゅう)の構えを解いた……

閑話120.5話 Imagin Majin (イマジン・魔人)



 ここで、魔人について触れておく。


 例として、身体変化できる他の者たちを紹介する。



リュウジン

 彼らは、零か一でスイッチを切り替え、爬虫類になっている。



けものびとの場合:

 哺乳類になれる獣人は、言葉ひとつで、もしくは念じるだけ。

 大多数は、無意識下で行っているとも聞く。

 人間の反射に近く、危機を察知すると、獣になる場合もある。



 ――では、魔人は?



 彼ら竜辰と獣人、魔人にはどのような違いがあって、どう変化を遂げているのか?



 魔人は、一線を画す。



 魔獣から、人間へとなるため必要なプロセスが、全く異なる。


 魔獣は、考えなければ、真心もないだろう。

 とむらいという考え方も、彼らにはないに等しい。


 魔人の場合、どうやって魔人になっているのか。

 ではなく、人間の真似事をしているだけなのだ。


 他人の空似があるように、人間の空似なのだ。


 そのため、完全な人間になること。

 それ即ち、究極である。



具体例を紹介



 赤人狼(ブラッドワ―ウルフ) ファング

 人間になっても、瞳が赤く、毛むくじゃらである。

 狼の鋭い牙や、体毛を人間のように見せているが、人間には変化しきれていない。



 黒曜石(オブシディアン)屁泥男(スライムマン) サターン

 見た目からわかるが、泥人形のそれである。



 彼らは、人間に近しい存在になるだけであり、完全な人間になる魔人は、余程高度な知能を持っているか、人間から魔人になったか、もしくは、人間の体内器官を理解し、医学的知識、化学的知識、生理学的知識を拵え、創造主的力を持ったならば、人間を生成することを可能とする。



 しかし、天縛の賢者 ウラヌス

 彼は、桁外れの魔力量と高度な知能を有しているが、ゴールドゴーレムになるのが、限界であった……



 人間をつくるという神様の所業は、セレスティアル人にも、我々にも成し得ない偉業なのかもしれない。


 それ以前に、倫理観や社会的価値観の欠如。

 不具合とみなされ、社会の歯車から離脱せざるを得ない。


 ホムンクルスは、創造主か。

 もしくは、大賢者になってからだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ