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(11)エピローグ

 

 

「行ってしまわれるのですか」

 

「ええ、お約束の日になりましたので。怪我が治るまでお世話になってしまいすみません」

 

 村長から報酬を受け取ったブリちゃんはこの村を去り、狩人のギルドに戻ることになった。

 

 

 俺はと言うと──。

 

「……って、なんでアンタがついてくるの!」

 

「いや、だって俺、行くとこねぇし、ブリちゃんがいなきゃ異世界の歩き方わかんねぇし。召喚したのブリちゃんだから、面倒見てくんねぇかな?」

 

 と、調子のいいことを言って、彼女についていくことにした。

 天気もいいし、緑の草原と青い山肌が見渡せるのどかな景色はお散歩デートにはもってこいだ。

 

 一方でブリちゃんは呆れながらため息をついた。

 

「もー、任務が終わったら自由って言ったでしょ! ついてこないでよ!」

 

 頬をぷくっと膨らませ、早歩きで俺を置いていこうとする。

 ラビの駆除に奮闘していた時の健気なブリちゃんが霞むほどに、ツンツン要素しかなかった。

 

 言われたとおり、足を止めて立ち止まっていると、ブリちゃんが振り向いた。

 

「……」

 

 ジトッとした目は「なんでついてこないの?」と言いたそうである。

 

「まぁまぁ、そうツンツンしなさんなって」

 

 ポンポンと頭を撫でてやると、ブリちゃんはツンと口を尖らせた。

 この強がっている表情は、本人には申し訳ないけど、かなりそそるものがある。

 

 しばらく黙っていたブリちゃんだったが、むんずと俺の手を掴んで強引に歩き出した。

 

「しょうがないわね! 行き倒れされると気持ちが悪いもの。アタシが面倒を見てあげるしかないわね。感謝しなさい!」

 

 よしよし、懐に入り込めたぞ。これでしばらくは路頭に迷うことはない。

 

「よろこんでー!」

 

「何その返事、変なの!」

 

「ところでブリちゃんって何歳なの?」

 

「15歳。15歳になればこの世界では大人」

 

「へっ!? まじ!?」

 

 現代では未成年の少女に“そそる”なんて邪念を抱いてしまった俺はどうしようもない野郎だが、ブリちゃんはやっぱり放っておけない。

 それを信念に、彼女のパートナーとして、どこまでもついて行くつもりだ。

 

 あ、もちろん、狩人の仕事のパートナーってことだ。

 

 ……今のうちはね。

 

 

 俺とブリュンヒルデの旅は、続くっ……!

 

 

    Fin.


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